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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『ブルッフ:《スコットランド幻想曲》 《ヴァイオリン協奏曲第2番》 パールマン(vn)、コボス指揮、ニューフィルハーモニア管弦楽団』

Bruch_ScotlandGensoukyoku_Perlman_NewFilharmonia.jpg 前に、ムター&カラヤン指揮ベルリンフィルのCDを紹介した事がありましたが、そこで僕はブルッフを「あ、実はいいかも」と思ったのでした。ところが中古で買う主義の僕は、目ぼしい次の1枚になかなか出会わず。そしてやっと出会ったのがこのCDでした。おお~どちらも聴いた事がない曲、ヴァイオリニストも指揮者もよく知らない人だけどゲット!そして…いや~これも素晴らしい曲、音楽に浸ってしまいました

 「スコットランド幻想曲」は、序章から4楽章まで続く、ちょっと甘めのシーンの多い機能和声音楽でした。主役にヴァイオリンがいて、それを管弦が支えるので、ヴァイオリン協奏曲と言っても良さそう。スコットランドの作家ウォルター・スコットの作品を読んで霊感を得て書かれ、スコットランド民謡から取られた旋律を色々と用いて作られたそうです。味つけはたしかにロマン派音楽的なのですが、これが「ロマン派いつもこうだよ」とか「またこういう様式か」みたいに退屈してしまうことがなく、自分の筆致で書かれた風景画を次々に見るような。軽めで新鮮、心地よい音楽でした。

 「ヴァイオリン協奏曲第2番」はニ短調で3楽章制。スコットランド協奏曲とは違い、軽くなく劇的。ヴァイオリン協奏曲1番もそうでしたが、この第2番も第1楽章が長大で、ここだけでひとつのドラマという感じ。重く始まりますが、中間部はヴァイオリンが甘々、それを受けるオケがまた劇的で荘厳な雰囲気を醸し出し、今度はヴァイオリンと対立していきます。しかし…う~んなるほど、一歩間違えればバラバラになりそうな振幅を持ちながら統一感を感じるのは、これでもソナタ形式だからなんだな…って、これをソナタと言ってよいのかどうかは分かりませんが。1回聴いただけでは分かりにくかったですが、見事な構成の楽章ではないですか。なんでこんな素晴らしい作曲家が埋もれてるんだろう。
 第2楽章は緩徐楽章…といいつつ、いきなりヴァイオリンの超絶技巧。なるほど、この曲はヴァイオリンの名手サラサーテの初演を前提に書かれたそうです。だから随所に技巧的なところが出てくるんですね。僕はヴァイオリニストじゃないので分からないんですが、この曲のヴァイオリンって、そうとう難易度高い気がします。
 そして第3楽章。2楽章と3楽章はセットで考えた方がいいんだな、と思いました。というのは、僕にはこの2楽章が最終楽章の序章のように聴こえたもんで(^^;)。循環形式を取ってるし、3楽章の冒頭に移行部が用意してあって綺麗に繋いでるから、余計にそう思うのかも知れません。なるほどこうする事で、第3楽章のソナタが単純な形式に感じず、それでいて複雑な構成ながら統一感を失わずに済むんですね。う~ん勉強になるなあ、これは楽式を勉強していた学生時代に聴いておきたかった曲かも。

 録音は、オケとヴァイオリンに別のマイクが立っているのか、それともヴァイオリンの近くにマイクが立ってるのか、ヴァイオリンはぜんぜん残響がなく、逆にオケは響きがあって遠い感じ。時としてヴァイオリンとオケのバランスが悪いな、と思うところもあったり。まあでもこういう録音の少ない作品のCDを買う時は、この程度の事は仕方ないですね。

 ブルッフは、全体の統一感を保つ事に慎重で、かつ各シーンは自分の筆致を保ったまま綿密に書き込む作曲家さんなんだと感じました。けっこう複雑な構成をとりながらも統一感を失わない所は、マーラーワーグナーより上かも。さらに、細部が何かの物まねにならないところも、アーティストとして見事、自分の言葉を持っていると感じました。これだけ見事な音楽を書きながらイマイチ有名じゃないのは、作品が2流だからではなく、単純に作品が少ないからなんじゃないかと思いました。だって音楽は文句なしに素晴らしいので。ブルッフはドイツの作曲家で、若い頃から立派な曲を書き、一流どころと仕事をしていたにもかかわらず、50歳近くまで放浪生活を続けたそうです。う~んなるほど、本当の意味でアーティストだったんですね、きっと。


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『松田聖子 / 20th Party』

MatsudaSeiko 20th Party 2000年発表、松田聖子さんのデビュー20周年記念アルバムです!なんでこのアルバムを持ってるかというと、シングルカットされた「Unseasonable Shore」という曲がめっちゃくちゃすばらしかったから。しかしあの聖子ちゃんにほうれい線が…時は残酷です。あと、歳をとってからの松田聖子さんはおでこを出すことが多くなりましたが、あれは隠した方がいいと思います。

 作家は、作曲が原田真二さんと小倉良さん。編曲が鳥山雄司さん。作詞は作詞家のほか、松田聖子さん、矢野顕子さん、そして吉法師…この時期に聖子さんと結婚してた歯医者さんかな?聖子さん、旦那さんに印税をあげたかったのかも知れませんね。そしてこの吉法師という人の作詞がいいです。僕はこのアルバムで「Unseasonable Shore」しか聴かないんですが、その詞はこんな感じ。

 いつかきっと君を連れて水平線の向こうまで
 夕日がほら、波に溶ける ふたりのステージみたいだね
 幸せも想い出も、波間に沈んでいくの


 なんという切ない歌詞でしょうか、たまらないです…。というわけで、「Unseasonable Shore」1曲のために、いまだ手放せずにいるアルバムでした(^^)。。


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『松田聖子 / Bible II』

MatsudaSeiko_Bible2.jpg 聖子ちゃんは2枚組ベスト盤『Bible』でお腹いっぱい…と言いたいところですが、なんとあれには僕の好きだった曲「小麦色のマーメイド」と「天国のキッス」が入ってなかったのでした。ついでに、出せば1位を記録していた全盛期のシングル曲でも、「野ばらのエチュード」「渚のバルコニー」「秘密の花園」「ガラスの林檎」「時間の国のアリス」も入ってない!チャート1位曲を入れないベスト盤ってすごいな、そのへんのアイドルには到底真似できる事じゃないぞ…。というわけで、僕はこの第2集も買う事になったのでした。聖子ちゃんやアイドルのCDって、昔は中古盤屋で1枚100円や200円で投げ売りされていて、レンタルするより安かったんですよね(^^;)。

 バイブルの1と2を合わせて、ようやく聖子ちゃんの80年代のシングルはコンプリートだ、やれやれ…と思ったら、1にも2にも「野ばらのエチュード」が入ってない!ダブって入ってる曲が結構あるんだから、どっちにも入ってないシングル曲があっちゃダメだろ、ソニーはそういう仕事の仕方をする会社なのか見損なったぜ…って、よく調べなかった僕が悪いんですけどね。。もしかしたら聖子ちゃんは「ちゅるりら、ちゅるりら~」という歌詞を馬鹿にされた経験があってそれがトラウマなのでは…僕、あのサビアタマのところのコード進行、好きなんだけどなあ。

 それ以外は、特に不満はありませんでした。「ガラスの林檎」の詞は、僕が思っている以上の深い意味がありそうだと思いましたが、理解できる範囲だけでも素晴らしい詞。「あなたをなくせば空っぽの世界ね」って、こんな言葉を聴いて心が動かない人なんていないのでは。。そうそう、聖子さんの曲ですが、外人が作曲するようになってからは、かなりつまらない音楽になったと感じちゃいました。僕は明らかに洋楽寄りな人間ですが、日本のアイドル歌謡にはアイドル歌謡成信額があると思うんですよね。松田聖子さんや中森明菜さんの果たした偉業は、昭和アイドル歌謡の良さを失わないままでニューミュージックの要素を組みこめた事だったんじゃないかと。これ、トシちゃんマッチも、モーニング娘やAKB48 も出来ませんでしたからね。。


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『松田聖子 / Bible』

MatsudaSeiko_Bible.jpg 1980年代の女性アイドルと言ったらこの人が極めつけでしょう、松田聖子さんです!全盛期の聖子ちゃんは、テレビをつければ絶対にどこかのチャンネルで彼女が出ている状態で、3カ月も経つと新しいシングルが出てまた流行る状況でした。聖子ちゃん以前にここまでのペースでテレビに出ていたアイドルと言えば西城秀樹とピンクレディーぐらいでしたから、まさに世代交代。というわけで、松田聖子さんのファンではない僕ですら、80年のデビューから86年あたりまでのシングル曲は聴いた事がないものがひとつもない状態。この2枚組CD『Bible』は、ついに売れなくなった90年代になって、ソニーが出したベスト盤です。稼ぐだけ稼ぐ気だな。。

 いや~懐かしい、たまらないっす。でも冷静に聴いてしまうと、デビューから2年ぐらいは、作曲編曲とも意外と70年代アイドル歌謡の延長という感じでした。「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」「チェリーブラッサム」「白いパラソル」あたりは、僕にはすべて同じ曲に聴こえる大量生産状態、ついでにオケもいなたいです (^^)。これは、1曲売れたら飽きられるまで同じ路線で売りまくるという、昔の日本映画や歌謡曲の伝統を引き継いだものに思えました。ピンクレディーやチェッカーズがそうでしたしね。また、「風は秋色」と「青い珊瑚礁」など、同じ曲のバリエーションじゃないのかというほどよく似た曲が2曲セットになっているように聴こえますが、これってレコード会社かプロダクションのの作曲家への曲の発注が「会議で曲シングル曲を選択したいので、バリエーション違いを2曲提出してくれ」というものだったんじゃないかなあ。または作曲家側が2曲同時発注されて、時間がなくてバリエーションで済ませたか。。この最初の2年ほどはセールスが判断基準に来る産業音楽っぽいザ・昭和歌謡でした。

 サウンドが変わったのは「瞳はダイアモンド」や「Rock'n Rouge」あたりからで、83年4月が転機でしょうか。このへんから呉田軽穂(松任谷由実さんのペンネーム)作曲の曲が多いんですが、それってアーティストイメージの年齢を上げようという意図だったのかも。アレンジの差もあるかもしれませんが、「夏の扉」「風立ちぬ」などの財津和夫さんの曲と、「Rock'n Rouge」「瞳はダイアモンド」などユーミンの曲では、作曲家としてのレベルが違うな、と感じたり(^^;)。そうそう、個人的には尾崎亜美さん「ボーイの季節」と大村雅朗さん「Sweet Memories」がお気に入りでした。「Sweet Memories」のサビのSUS4の処理とか、「ボーイの季節」のサブドミナントマイナー…ポップスの曲の良さって、こういうほんのちょっとした技が七味のように効いてくる所ですよね(^^)。これは天地真理「水色の恋」の時からの伝統。

 そして、デビューして4年目あたりから詞が深くなっていて、中には心にグッときたものも。松本隆さん作詞の素晴らしさは有名ですが、尾崎亜美さんも素晴らしい!たとえば…

ああ、泣かないでMemories、いく千粒の雨の矢たち見上げながら
(「瞳はダイアモンド」松本隆)

なつかしい痛みだわ ずっと前に忘れていた
でも、あなたを見た時、時間だけ後戻りしたの
(「Sweet Memories」松本隆)

時よいかないで Keep me summer time あなた、遠くを見ているの
妬けるほど熱い目を夏に向けて
(「ボーイの季節」尾崎亜美)


 デビュー時の詞(「夏の扉を開けて、私をどこか連れて行って」みたいな)と比べると、聖子さんが深い男女関係を結ぶ年齢になってきている事を詞にも反映させたのでしょうね。これは、アイドルを疑似恋愛対象と見るようにつくられているだろう詞で、キャンディーズなんかもまさにこういう方向でしたが(もしかして元祖かも?)、このへんの時代の聖子さんが、詞も曲も一番充実していたように感じました。それ以降になると「争いのない国へ」(Strawberry Time)とか「地球という名の船の」(瑠璃色の地球)とか、話の規模が巨大化して何を対象にしているのか分からなくなってきた少年ジャンプ的な展開に、聖子さんの人気が陰っていった原因があったのかも。

 シングルカットされていない曲もけっこう入ってるくせに、シングル曲がすべて入っているわけでもないので、僕みたいな聖子ちゃんファンではない人にとっては、「シングルだけはコンプリートして収録して欲しかった」というのが本当の所です。でもとにかく懐かしかったし、何曲か素晴らしい曲があっただけでも感涙もの。こうして僕は、このCDに収録されなかったシングル曲を求め、『Bible II』も買う事に(^^;)。その話はまた次回!


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『石川ひとみ / まちぶせ』

IsikawaHitomi_Machibuse.jpg 81年発表、女性アイドル石川ひとみ5枚目のアルバム『まちぶせ』です!小学校もそろそろ高学年になってきたころ、女性アイドルだと石川ひとみさんや川島なお美さんがすきでした。たぶんエロカッコいいお姉さんが好きだったんだろうなあ…。清純派とかブリッ子とか、本当に興味がなかったです。男は強いチョイ悪だけど優しく、女はエロカッコよくないと。

 好きだったのは大ヒットしたシングル「まちぶせ」。この曲は荒井由実作詞作曲&松任谷正隆編曲ですが、Jポップスの勘どころを何かつかんでいるんでしょうね、子どものころは「いい曲だなあ」と妙に好きでした。ただ、いま聴くと、この曲のどこにあれほど心を動かされたのか分かりません…似たようなことを僕は寺尾聡「ルビーの指輪」や久保田早紀「異邦人」にも感じるんですが、もしかすると曲ではなくアレンジや詞が好きだったのかも知れません。

 他の曲、作家陣は穂口雄右さんに芳野藤丸さん、浜田金吾さんなどなどバラバラでしたが、共通しているのは演奏やサウンドの質感が思ったより新しい事。大雑把な自分の記憶で言うと、石川ひとみさんってピンクレディーのあとで松田聖子の前と記憶していますが、サウンドはむしろデビュー当時の松田聖子さんよりだんぜん新しかったです。石川さんがナベプロだった事を考えると、もしかするとアイドルじゃなくて歌手路線も視野に入れていたのかも知れません。

 歌も、ヴィブラートのコントロールなど、当時のアイドルの中ではけっこうな歌唱力と思いましたが、いかんせん面白いと感じた曲がなくてですね(^^;)>。参考までに比較すれば、相本久美子さんより明らかに可愛い上に歌唱力もだんぜん高いのに、相本さんのアルバムの方が断然好きだったりするんですよね。これは完全に曲や詩の世界観ゆえで、やっぱりポップスって曲が重要なんですね…。というわけで、僕にとっての石川ひとみさんのベスト・パフォーマンスは、「8時だヨ!全員集合」でのお医者さんコントかも知れません(^^;)。でも、もっと売れていいアイドルさんだったと思っています。


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『Lightnin' Hopkins / The Texas Bluesman』

Lightnin Hopkins_Texas Bluesman 1967年録音(68年リリース)、ブルースの名門レーベル・Arhoolie からリリースされたライトニン・ホプキンスのアルバムです。このアルバムはアンプリファイしたギターでの弾き語り。ライトニン・ホプキンスのアルバムって、音楽はほぼ同じなのに、アルバムごとに何かがちょっとずつ違うので、ファンだと買わざるを得なくて困ったもんです(^^;)。

 僕がこのアルバムで良いと思ったのは、スローブルースが多い事、演奏が丁寧な事、そしてブルース・ギターの達人の演奏が1音1音しっかり録音されていた事でした。つまり、ギターでコピーしやすいんですよ(^^)。これは自分で弾いてみたい僕にとっては教科書にしやすいレコードでした。
 そういうのを抜きにして音楽だけを楽しむとすると、エレキギターとはいえ、むしろアコギに変なリヴァーブをかけてミックスした60年代前半にリリースされたアルバム群より、むしろいい音に感じました。いい音といったってブルースですからいい加減な録音ですが(^^;)、60年代前半のライトニン爺さんの録音のひどさに比べたら、ただ録音してリヴァーブかけただけみたいな素朴なミックスが、むしろ余計な事してくれない分だけいい音に聴こえるんですよ奥さん。
 スローブルースが多めなのも、僕の趣味にぴったりでした。スローブルースって、スローとはいってもその間にいろんな音を挟めるようになるので、むしろ手数も情報量もブギやロックンロールより相当に多くなるとと思うんですよね。

 かつてないほどにライトニン爺さんの弾くギターの1音1音がクッキリはっきり聞こえて、伝説のモノトニック・ベースを自分で弾けるようになりたい方にとって、これこそ最強の教科書じゃないかと…僕のことですが(^^;)。
 1912年生まれでレコード・デビューが46年ですから、この頃には大ベテラン。ところが忘れられていた伝説のミュージシャンが発掘されたわけではなく、この頃でも毎年のように新しいアルバムが発表されていたんだから、常に人気があったんでしょう。でも60年代末あたりでそれが途絶えてしまったので、これはキャリア晩年の名作という事になるでしょうか。40年代のアコースティック・ブルース時代の演奏にはかなわないけど、すごく好きなアルバムです。


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『Lightnin' Hopkins / Lightnin' Strikes Back』

Lightnin Hopkins Lightnin Strikes Back 1962年にレーベルVee Jay が録音/発表アルバム『Lightnin' Strikes』に4曲を追加したレコードです。単に4曲を追加しただけでなく、曲順も変わっていました。

 冒頭がMC で、お客さんが笑っています…おお、ライブ盤か?お客さんの拍手も飛んでくるし…とおもったら、冒頭の4曲が『Lightnin' Strikes』未収録のライブ録音でした。このライブ録音はアコギ弾き語りで、ギターがメッチャうまいです。いやあ、やっぱりライトニン・ホプキンスはアコースティック・ブルースの弾き語りがいちばんいいと思っちゃいますね(^^)。
 一方のスタジオ録音は、アコギ弾き語りのものと、エレキギターを使ったバンドのセッションが混じっていました。それにしても、『Sings The Blues』以降のホプキンスおじいちゃんのアルバムは、スプリング・リヴァーヴをかけ過ぎで音がビヨンビヨン。せっかくアコースティックで表現ある演奏してるっぽいのに、この過剰なミックスでそういうのが全部かき消されて台無しですよ奥さん。

 ライトニン・ホプキンスのギターに魅了されてきた僕が気になったのは、このあたりのライトニンって、けっこうギターをジャンってストロークしちゃうことが増えた事です。せっかくモノトニックのベースを弾きながら、フレーズも分散和音も弾くひとり多重奏をしてるのに、これやると歌とギターの単純なホモフォニーに聴こえちゃうんですよね。ノリノリな時ほどこれをやっちゃうので勢いなんでしょうが、変な癖がついてしまったように聴こえました。ブラインド・レモン・ジェファーソン直伝のあの素晴らしいギターに戻っておくれライトニン。

 若い頃の僕は、ブギなどのアップテンポな曲が多く、音がエコーでビヨンビヨンのこのアルバムがあまり好きじゃなかったです。長3度を強調した曲も増え、あの引きずり込まれるような深みある暗さも薄れて感じました。その典型が最初のライブで、リラックスしてお客さんを笑わせて楽しんでいるようなセッションでした。でもいま聴くと、ストローク演奏の多さやエンターテイメントな音楽の多さを含め、これはこれでいい音楽だし、これもまたブルース。演奏だってさすがにうまくて、さすがは伝説のブルースマンと思いました(^^)。


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『Lightnin' Sam Hopkins』

Lightnin Sam Hopkins ジャケットがカッコいい!完全にジャケ買いしたのも今となってはいい思い出です(^^;)。レコードは1500円ぐらいを予算にしていた当時でも、このアルバムは頑張って3000円ぐらい出して買った記憶があるんですが、今では1万円越えになってるみたいです、このアルバム。というわけで、1961~62年録音(62年リリース)、アーフリーが録音したライトニン・ホプキンスのアルバムです。ライトニン・ホプキンスひとりでの弾き語りの「California Showers」だけがアコギで、あとはアンプリファイしたギターを使っていて、1曲を除いてドラムとのデュオ演奏でした。あ、あとピアノを演奏している曲もありました。しかもうまい。

 すべてじゃないんですが、R&B やロックンロールと言った方がいいような曲がけっこう入っていてびっくり。なるほど、61~62年というとロックンロールはとっくに誕生してたし、それどころかもうビートルズ登場直前ですね。テキサスの田舎の酒場で演奏していた頃と違って、この頃のライトニン・ホプキンスはレコーディング・ミュージシャンとしても名を成していたわけで、似たような音楽ばかりだと新しいアルバムを作る意味もよく分からないし、ついでにロックで成功すればブルースとは桁違いの収入だろうし、色んな思いがあったのかも知れませんね。チャック・ベリー以降ビートルズ以前というこの時代に聴いていたら、かなりイケてると感じたかもしれません。

 ただ、私はダークでやさぐれて馬鹿テクなアコースティック・ブルース時代のライトニン・ホプキンスのスローブルースに痺れた口なもんで、このアルバムを初体験した若い頃は「おじいちゃん、金が欲しくて売りに走ったのかな」と思ってしまいました(^^;)。いま聴くと、ロックンロール以降のブルースマンの挑戦に聴こえて、ホプキンス爺さんの面白い異色作に感じました。あ、とはいえ、スローブルースも演奏してましたよ。


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『Lightnin' Hopkins / Mojo Hand』

Lightnin Hopkins Mojo Hand 1960年録音(62年リリース)、テキサス・ブルースを代表するブルースマンであるライトニン・ホプキンスのアルバムです。ジャケットの強烈さもあって、ライトニン・ホプキンスのアルバムでいちばん知名度のあるものじゃないでしょうか?!

 ヴォーカルギター、ベース、ドラムのバンド・ブルースでした。僕、このアルバムのギターをエレキだとずっと思ってたんですが、もしかするとスプリング・リヴァーヴの跳ね返り音でエレキに聴こえていたのかも知れません。だって、ギターのみならずヴォーカルまで風呂場の中で歌ってるようにワンワンとエコーが掛かっている曲があるんですもの。さすがにこれはエレキ・ヴォーカルじゃないですよね(^^)。
 実際にアンプリファイしているのかも知れませんが、エレキ・ギターと感じたもうひとつの理由は、実際に奏法がアコースティック・ブルースを弾いていた頃よりもエレキ・ギター寄りになっていた事です。モノトニック・ベースではなく単旋律とコードの演奏が増えたんですよね。これはドラムとベースが入っているから、ギターでリズムキープもバスも表現しなくて良くなったからかも知れません。または一世を風靡したシカゴ・ブルースのスタイルに近づけようとしたというのも、ありそうといえばありそう。

 ギターのプレイスタイルだけでなく、音楽自体にも変わったと感じる曲も混じっていました。ブギやR&B みたいな曲もあるんですよね。ブルースって酒場とかで演奏して日銭を稼ぐプロ音楽家という側面がありますが、戦前ブルースや戦後すぐの南部のアコースティック・ブルースでは、音楽自体はフォークロアそのものという感じだったのが、音楽自体にもプロという側面…つまり客の要望に合わせるエンターテイメントの総祖が出てきたように感じました。

 評価の高いアルバムですが、僕的にはゴールドスターやアラジンに残した弾き語りのアコースティック・ブルース時代の方に軍配をあげたいです。ライトニン・ホプキンスのあの見事な演奏技術が後退したという意味で、僕的にはこの路線のライトニンはイマイチ。「Santa Fe」「Gliry Bee」「Have you ever loved a woman」など、カッコいい曲や演奏も入っているんですが、それらだってアコースティック・ブルース時代と比べると弱いというか。それでも、僕が初めて聴いたライトニン・ホプキンスはこのアルバムだったもんで、どこかに思い入れが残ってるんですけどね(^^;)。


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『Lightnin' Hopkis / Sings The Blues』

Lightnin Hopkis Sings The Blues 1947~51年録音、1961年にクラウンからリリースされたライトニン・ホプキンスのアルバムです。元々は10インチ盤でリリースされていた音源が中心で、RPM レコードが録音したすべてのシングルに未発表音源を足したものだそうです。昔、日本のPヴァインがこのアナログ盤を復刻したんですよね。あの頃のPヴァインは「こんなものまでLP復刻するのか!」と驚くだけでなく余計な心配までしたものでしたが、それを買っていた自分もたいがいです。

 すべてライトニン・ホプキンスのひとりギター弾き語りでした。47年から51年というとアコースティック・ブルース期かと思いきや、エレキギターか思わせるような、低音が抜けてヒステリックにビンビンと鳴るギターを弾く曲もありました。へえ~51年の時点ですでにエレキ・ギターってあったんですね。

 また、録音なのかドブロギターを使っているのか、アコースティック・ギターではありそうだけど妙にギターの音がビヨンビヨンと響くものがあって、個人的にはこれらがちょっと辛かったです。アコースティック・ギターを弾いている時はそれぞれの弦の音がしっかり聴こえて多声に聴こえて「メッチャうまいわ」と思ったのに、エレキだと音が潰れてホモフォニーに聴こえちゃうんですよね。

 やっている事はアラジンやゴールドスター、それにフォークウェイズのセッションとそんなに変わらないんですが、あれらは「ギターうまいなあ」「歌が深いなあ」と思ったのに、これはエレキや変な音の録音のために、そこまで感じ入る事ができませんでした。いい音楽だと思うんですけど、プレーヤだけじゃなく楽器や録音って大事ですね。時代がエレキ全盛期に突入していく頃で仕方のない事なんでしょうが、ライトニン・ホプキンスを聴くなら僕はアコースティック・ギターを使っているものが好きです。


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匿名で代金支払い/受け取りをする方法とは?Amazonギフトカードで支払うんだぜ!

AmazonGiftCard.jpeg というわけで、ブログを読んでくださっている方から互いに匿名の状態でノートPCをいただいたわけですが、「Windows 11 の入らないスペックだし、どうせ捨てる物だから」と仰っていたにもかかわらず、僕にとっては思いっきりスペック高い!いやいや、こんなのタダで受け取るわけにいかないだろ…
 そこで、謝礼として代金をお支払いしようとしたのですが、匿名で支払いや受け取りをするにはどうすれば…そうだ、アマゾンギフトカードで支払う方法があるって聞いたことがあるぞ!!というわけで、送る側も受け取る側も匿名でやり取りできるAmazon ギフトカードの贈り方調べ、実行してみました。

■Amazonギフトカードは、Amazonでの買い物がギフトカードのポイントで出来る商品
 Amazonギフトカードは、ポイントでネット通販サイトのAmazonでの買い物が出来る一種の電子マネーです。Amazonって昔は本やCDの通販サイトでしたが、今では家具や家電から食料品までなんでも扱っているので、その商品券と来れば実質的にはお金みたいなもんですよね。。というわけで、現金のかわりの支払いとしてはいい選択じゃないかと。

■Amazon ギフトカードは色々な形式がある
 アマギフって、コンビニでも売ってますよね。あれ、僕は買った事ないんですが、カードタイプなんだろうと思います。
 でもって、アマギフにはいろんなタイプがあります。ひとつはコンビニで売っているようなカードタイプで、「ボックスタイプ」「封筒タイプ」なんてものがそれです。これらは外装が違うだけで、要は中にギフトカードが入ってます。
 もうひとつは、カードではなくデータのタイプで、「チャージタイプ」「Eメールタイプ」なんていうのがそれです。チャージタイプというのは、自分が登録しているアマゾンのアカウントに直接チャージするもので、Eメールタイプは指定したEメールアドレスにデータが届くものです。

■要は、番号さえ知っていればオッケー
 で、アマギフの原理ですが、Eメールだろうがカードだろうが、要はそこに印刷されているギフト番号さえ知っていればオッケー。だから、送る側が受け取る側に番号さえ伝えられればいいわけです。しいてこの支払方法の条件を挙げるとすれば、貰う側がアマゾンに登録してアカウントを持っている事。そうじゃないと貰っても使えませんからね。。

■送る側も受け取る側も匿名でアマギフを送る
 というわけで、要は番号を伝えられればいいわけですが、僕が買ったのはEメールタイプ。もし相手のEメールアドレスを知っているようなら、Eメールタイプのアマギフを購入して、その時に受け取りてのEメールアドレスを登録すれば、先方のEメールアドレスに、ギフト番号の記されたアマギフのギフトメールが届きます相手のEメールアドレスを知らない場合は、自分のメルアドにあてにアマギフを送って、twitterでもfacebookでもラインでもいいので、相手にギフト番号を伝えるという方法でもオッケーです。

■逆に言うと、番号がバレると誰でも使えてしまう
 裏返して言うと、番号が分かれば誰でも使えてしまうので、受け取ったらすぐ自分のアマゾン・アカウントにチャージしてもらいましょう。チャージさえできてしまえば一安心です。

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というわけで、アマギフを活用した匿名での代金支払い方法でした!って、こんなの誰でも知ってますね。。あくまで自分用の備忘録ということで(^^;)>。。


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匿名で荷物の発送/受け取りをするには?クロネコヤマト宅急便を利用した方法

kuronekomembers.jpg このブログで知り合った方とチャットで話している時に、僕が出先で使っているノートPCが古いものだと伝えると、「いらないノートPC持ってますからあげます」と言ってくださいました。貧乏人の僕には神様のようなひとこと、なんていい人なんでしょう、ありがとうございます(つ﹏<)。。
 ただ問題がありまして、おたがいに名前も住所も知られたくなかったわけです。でもって、匿名で送る方法ってないんだろうかと調べると…ありました!クロネコヤマト宅急便の、「宅急便をスマホで送る」サービスの「LINEでリクエストする」を利用すれば出来ました!

■クロネコヤマト宅急便で匿名で発送/受け取りをするための条件
 このサービスを受けるには、条件があります。以下の通り。
 ・送る側と受け取る側がLINEで友達になっている必要がある
 ・クロネコメンバーズ会員になる必要がある

 後者は簡単になれますので問題なし。前者は、ご年配の方など、そもそもラインを利用できない環境にある方だと出来ないので、注意が必要ですね。
 そうそう、この送り方の場合、利用できるのはクロネコ宅急便と宅急便コンパクトのみとなる事と、送り主が普通の宅急便料金に加えて110円をプラスで払う必要があるみたい。そうそう、着払いでこの方法は選べません。

■やり方!
 これは簡単。
(送る側のやる事)
 送る側はクロネコメンバーズでクロネコヤマトのサイトにログイン、「宅急便をスマホで送る」→送り先を「LINEでリクエストする」とすれば、受け取り手が発送先を入力する段取りとなるのでオッケー。そして、送り手側の「個人情報の公開設定」で非公開にチェックを入れればオッケーです。
(受け取る側のやる事)
 そして受けとる側です。送る側が発送手続きをすると、ラインからメッセージが届いて、そこからクロネコのサイトに飛んで受け取る側の情報を入力する事になります。その入力の際に、「個人情報の公開設定」で自分の住所氏名を非公開に設定すればオッケーです。

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 便利な時代になりましたねえ。ネットで人と繋がることが増えましたが、個人情報の漏洩にも気を遣うことが増えました。こういうサービスがあってくれるのはとてもありがたいです(^^)。


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『菊原初子 / 人間国宝 地歌筝曲 菊原初子』

KikuharaHatsuko_NingenKokuho_JiutaSoukyoku.jpg 地歌筝曲で人間国宝となった菊原初子さんのCDです。書籍『音楽の原理』によれば、地歌と筝曲って元々は別の物だったけど、非常に接近したために今ではひとつにくくられる事が多いんだそうです。でも地歌って元々は三味線ですよね?どこで箏と合流したんだろ…というのは、このCDで何となく自分なりに理解できました…あってるかどうかは知りません(^^;)。

 筝曲と言えば、無知な僕にとっては生田流と山田流ですが、菊原さんは「野川流三弦古生田流菊原家4代目」という肩書も持ってるので、生田流ということになるのかな…すみません、これも分からないです。。
 ジャケット写真からして、僕は菊原初子さんという方は箏奏者だとばかり思ってたんですが、箏と三弦の両方を弾き語りしていました。しかもむしろ三弦を弾き語りしている曲の方が多いし。あ~なるほど、なんで箏を使い筝曲と三弦を使う地歌が一緒なんだと思ってましたが、両方演奏するからなのかな…。

 音楽。全5曲すべてが歌い物で、編成は三曲合奏(箏、三味線、尺八の合奏)が3曲(うち1曲は三弦が2竿)、箏が1曲、三弦2竿が1曲でした。
 最初に聴いたときの印象は、音だけで言うとデュナーミクや表現が狭く、一方で作品も演奏も緻密。子供のころにバッハを聴いたときに似たような事を感じましたが、そういう意味で言うとファーストインプレッションは面白くない音楽かも。ところが何度も聴いて詩やアンサンブルや何となく理解できるようになってくると、えらく美しくも面白くも感じるものになってくるから不思議。だいたい、芸妓が出家して過去を振り返る歌とか、面白くないわけがないですよね。。

 「ゆき」は三曲合奏で、1781~1800年ぐらいに出来た曲だそうで…すげえ。いや~表現力に富む尺八とメカニカルな箏と三線のアンサンブルが良いです!詞も面白くて、出家した芸妓が過去を思い出す詩歌。書き出せば10行ほどの詞ですが、まったく無駄な無くて見事。若いころに成就できなかった恋の心理描写がまた素晴らしくて、それをふり返って浮かぶ言葉「捨てた浮世の山かづら」がもう…。

 「浮舟」は組曲(「箏組歌」というらしいです)で、6曲を連ねたもの。作曲は三橋検校弥之一(1690?~1760)で、「源氏物語」に出てくる女のひとり浮舟を主題にした歌でした。音楽部分は変化しているようには感じられず(とはいえ、終盤でゆるくクレッシェンド)、詞が変わっていました。中には「伊勢物語」から引用された一節もあるんだとか。

 「出口の柳」も江戸時代に書かれた曲で、宇治加賀掾作詞、杵屋長五郎作曲。室町から戦国時代に活躍した絵師・土佐光信の娘・遠山を歌ったもの。遊郭に身を沈められ、想い人の狩野元信と未来を誓い合うが、その夢がかなう前に死んでしまいます。思い捨てがたく亡霊となって戻ってきて、元信の妻に頼んで7日間だけ嫁入りをするが…いやあ、すごすぎるだろ。。音楽も序盤は本調子で、途中から二上りになるのがカッコいいっす。。

 「金五郎」は三弦を二竿つかった歌でした。元禄時代に実在した歌舞伎役者・金屋金五郎と遊女・小さんの物語。小さんに見受け話が持ち上がるが、金五郎と小さんの関係がバレて破談に。金五郎は小さんのもとに通い詰めるが病弱のために死んでしまい、小さんは自殺しようとするが止められて出家。あ~江戸時代の浄瑠璃によくあるパターンですね…こういうのって「三下り半太夫もの」っていうそうです。

 「八千代獅子」はもともとは尺八の曲で、のちに胡弓や三弦にも移された超有名曲だそうです。本当は初段が手事から始まるそうですが、このCDは初段を省略していきなり歌から始まってました。途中は三曲合奏の完全に器楽、ここは本文なのかなと思いました。

 菊原初子さんは父から引き継いだ琴友会を主宰した人で、祖父と父から野川流三味線組曲全曲を伝授され、これが国宝級なんでしょうね。だって、菊原さんが後進に伝授したり楽譜化しなかったら、そこで途絶えてしまってもおかしくなかった伝統ですから。ちなみに三味線組曲は筝曲・地歌のルーツになった安土桃山時代に生まれた音楽三味線音楽には語り物と歌い物がありますが、歌いもののルーツが三味線組曲なんだそうで(これも『音楽の原理』からの引用)、素晴らしいものを聴くことが出来ました。しかし物語が深すぎる…。浄瑠璃や琵琶や尺八は好きだけど筝曲・地歌系の音楽は正直言って苦手でしたが、これは実に良かったです!


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『藤井久仁江 / 人間国宝 地歌 藤井久仁江』

Fujiikunie_Ningenkokuhou_jiuta.jpg 地歌筝曲とか筝曲と謳われたCDはけっこう目にするのですが、単独アーティストもので地歌と言い切ったCDってなかなかないんじゃないかと!人間国宝となった藤井久仁江さんのCDです!地歌と言い切るだけあって、全曲が歌と三弦による演奏でした。ただ、曲によって三弦の竿の数が1だったり2だったり、みたいな。

 まず最初に…正直に言うと、このCDを聴く限り、僕には地歌長唄端唄の差がよく分かりません。しかも、このCDの解説だと、手事もの以外の曲は端歌って書いてあるし…。そうそう、純邦楽で言うと、地歌と地唄とか端唄と端歌の違いも、僕はよく分かってないです(^^;)。毎回忘れないようにこのブログに書くけど、次に聴くときには忘れちゃうんですよね。
 そこでウィキ先生にお伺いを立てると…ものすごくザックリ要約すると、地歌が成立したのは江戸時代で、西日本で広まった三味線音楽を地歌、東日本で広まったものを江戸唄といったのだそうです。浄瑠璃が発展するのはそのあとなのかな?でもって、地歌、長唄、端唄などが「歌いもの」で、琵琶や浄瑠璃は「語りもの。これ以上くわしく掘り下げても今の僕の頭には入らないので、今回はここまでにしておこう。。

 でもって、このCD。4曲入りで、2曲が端唄、2曲が手事ものでした。
 もともとがジャズやクラシックから本格的に音楽に入った僕的には、「難波獅子」と「八重衣」の手事もの2曲は入りやすかったです。手事ものとは言うものの詩句はついていて、詩句は和歌で、和歌と和歌の間に手事(器楽)が入る感じ。器楽部分は本手と替手の二重奏で追奏を含むアンサンブルが見事!熱くならない演奏(ロマン派以降の西洋音楽比)がクールでカッコよかったです!
 歌部分。地歌筝曲の歌を聴いていると、「え?本当にこれでいいの?」と思うほどの棒歌いのものも少なくない中、節を利かせた歌い方をしていて味があってなかなか。西洋音楽に慣れてしまった耳からすればピッチのふらつきと音感の甘さが気にならなかったと言えば嘘になりますが(^^;)、でも地歌筝曲系の歌はこういうものがすごく多いので、そういうものなのかも。
 詩句では、さすがに「芦刈」と「すり鉢」の端唄2曲の詞が良かったです。とくに賎の女(しづのめ)のひとり寝を歌った「すり鉢」の情感は見事でした。

心ごころに逢はぬ日も、逢ふ日も夜は独り寝の、暮を惜しみて山かづら、昼のみ暮す、里もがな

 地歌は日本の歌いもののルーツとも、筝曲より先に成立したものともどこかで聞いたことがあったので(僕の勘違いかも)、もっと古い音楽かと思っていました。だから地歌とだけ名乗っていたこの人間国宝の録音は、そういう古い音楽を代々細々と継いできたものかと思いきや、藤井久仁江さんは生田流筝曲・地歌のひとなんですね。しかもNHK邦楽技能者育成会の出身(ここ出身の邦楽演奏家は多いですが、たしか今は廃止になったはず)というし、そこはちょっと残念。ところが実際の音楽も歌も演奏も僕には感じるところがいっぱいあって、聴いて良かったCDでした!


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『地歌舞選集』

JiutamaiSenshuu.jpg 最初の三味線の音が聞こえたとたんに引き込まれ、独特の節回しの歌が聴こえた時にはもう心を持っていかれていました。いやあ、これはいい…。火鉢とか障子とか畳とか和服とか日本髪とか、時代劇で見た江戸や大阪の町人の生活空間はおろか、僕が子供のころに父の故郷で見た日本的な風景がブワッと蘇るような気持ちがしました。そういう所で常に鳴っていた音、みたいな。

 このCDは、1960年録音/61年に『地歌舞選集その一』としてリリースされたLPの復刻だそうです。「茶音頭」「八千代獅子「鶴の声」の3曲収録で、いずれも米川文子(歌・三絃)と米川みさを(箏)の演奏でした。へえ、箏が入っても地歌って言うのか…。あと、このCDの解説に書いてあったわけではないですが、地歌舞という音楽があるわけではなく、地歌に勝手に踊りをつけたのが地歌舞で、日本舞踊のひとつなんだそうです。地歌舞の成立は江戸末期で、京都の井上流と吉村流、大阪の山村流と楳茂都流が名門で、この4つを上方四流というんだそうな。
 音しかないこのCDになんで地歌舞というタイトルをつけたのか…もともとのLPには振り付け解説がついていたそうなので(CDにも1曲だけついてました)、それでそうしただけで、音だけ聴けば純粋な地歌として聴けるんじゃないかと。

 浄瑠璃でもなんでも、三味線音楽ではその詩に惹かれることの多かった僕ですが、このCDに入っていた曲はすべて歌を含めた演奏に惹かれました。とくに「茶音頭」と「八千代獅子」はそれぞれ16分と10分と演奏時間が長く、中間にかなり長い時間の手事パートが挟まてるんですよね。歌と三絃の米川文子さんって人間国宝だそうですが、なるほどハスキーで歌も独特な節回しでゆりを深くかけるの歌声は絶品。で、三絃も「チョイ~ン」みたいな音色変化やゆりがカッコ良くて、またこれが高級な音がしないでちょっと安っぽい(誉め言葉です^^)のが日本の町人文化の背景に流れていた風流な音そのもののように感じて、じつに素晴らしかった!
 西洋音楽にかぶれていた若い頃の僕がこの音楽を聴いても、ぜったいにおもしろいと思わなかったと思うんですが、変われば変わるもんですね。。とはいっても、僕はもしかするとこの音響を聴いているんじゃなくて、その背景になった文化を聴いているのかも。いやあ、ぜひ日本舞踊とセットで観てみたくなってしまいました(^^)。


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『Egberto Gismonti / Academia de Danças』

Egberto Gismonti Academia deDancas 1974年にブラジル人ギタリスト/ピアニストのエグベルト・ジスモンチが発表したアルバムです。僕が持っているCDはジスモンチの個人レーベルCarmo のものですが、元々はEMI からのリリースだそうな。このアルバムの邦題は『未来へのシェヘラザード』で、アラビアン・ナイトを意識したコンセプト・アルバムだそうです…が、ポルトガル語が分からない僕には何言ってるのかさっぱり(^^;)。管弦、ジャズ、そしてあからさまなロックを含んだごった煮の編成と音楽性でした。

 前半5曲は「Corações Futuristas」と名付けられていて、18分ほどをメドレーで一気に突っ走る組曲。管弦楽部分は恐らくシェヘラザードの物語を担当していて、エキゾチック&ファンタジックで予算少なめのハリウッド映画のよう。その中間をEL&P 的なプログレッシヴ・ロックが埋めていて、こちらが本線に感じました。ECM からリリースされたジスモンチの音楽とのあまりの違いにビックリ。でもこの前半はロックすぎてつまらないかな。。

 後半9曲は「Academia De Danças」(直訳すればダンス・アカデミー)と名付けられていました。おおむね前半と同じごった煮の音楽でしたが、前半よりはやや穏やかな展開。ジスモンチには珍しい露骨なジャズ・ピアノが聴ける馬鹿テク演奏はM13「Trem Noturno」(この曲、フルートもすごかった!)、ラテン・プログレッシヴ・ロック調は終曲「Baião Do Acordar」。でも僕が一番好きなのは、果てしなく美しいピアノ弾き語りのM6「Bodas de Prata」と、そこからシームレスで繋がるM7「Quatro Cantos」。いや~これは演奏も曲も美しかったです。

 アルバム自体はややポピュラー入った管弦劇伴調の音楽やプログレ、そして器楽の混じったハイブリッドなヴォーカル・ミュージックで、アラビアン・ナイトを追うコンセプト・アルバムとして楽しむのが本来なんでしょうね。でも僕が好きだったのはピアノ弾き語りの2曲だったという(^^;)。やっぱり僕は器楽演奏家としてのジスモンチが好きなんだな。
 というわけで、69年のデビューから74年までのジスモンチのアルバムは、すべて故郷ブラジルでのリリースで、音楽はブラジルやロックやクラシックやジャズなどのチャンポンのヴォーカル・ミュージック。そんなジスモンチがECMを通じてヨーロッパからアルバムを発表するようになると、一気にインストになり…その話はまたいつか!


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『Egberto Gismonti / Água & Vinho』

Egberto Gismonti Agua and Vinho 邦題は『水とワイン』、1972年にブラジル人ギタリスト/ピアニストのエグベルト・ジスモンチが発表した4thアルバムです。僕にとっては超絶技巧なインストこそジスモンチですが、これも『Sonho 70』同様にヴォーカル・アルバムでした。アルバムの終盤にインストを含むややテクニカルな演奏を聴ける曲が2曲ありましたが、ECM 移籍後に聴けるあの強烈な演奏からすればまだまだって感じかな(^ロ^)。

 『Sonho 70』の音楽性がイージーリスニング系ボサノヴァとプログレッシヴ・ロックのハイブリッドだとしたら、このアルバムはフレンチ・ポップとプログレッシヴ・ロックのハイブリッドといった趣でした。音楽そのものは、ちょっと風変わりなフレンチ・ポップといった感じで、あんまり面白くありませんでした(^^;)スマヌス。
 ところで、なんでフレンチ・ポップなのか…ぜんぜん分かりませんが、しいて言えばジスモンチってフランスで歌手マリー・ラフォレのディレクターを務めていたことがあるので、なにかフランスとつながりがあるのかも知れません。そういえばジスモンチが指示を仰いだナディア・ブーランジェもフランス人音楽教師ですしね。何でもできると言えば聞こえはいいけど、これは典型的な器用貧乏だな。。

 デビューからここまでアルバムごとにレーベルを渡り歩いてきたジスモンチですが、このアルバムはOdeon。Odeon はEMI 傘下のレーベルで、ここからOdeon やEMI からのリリースが続くので、ショット契約ではなくなったんでしょう。僕が好きなインストなジスモンチはまだ始まっておらず、初期はブラジル音楽やポップスやプログレッシヴ・ロックなどをミックスしたヴォーカル・ミュージックの作曲者という感じだったんだな、と。


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『Egberto Gismonti / Orfeo Novo』

Egberto Gismonti Orfeo Novo ブラジル人ギタリスト/ピアニストのエグベルト・ジスモンチが1971年に発表したアルバムです。なんとレーベルはドイツのMPSで、これが音楽に影響したように感じました。小編成でインスト色の強いアルバムですが、それって雑多なジスモンチの音楽性を芸術音楽の一点に絞り込む結果になったと感じたんですよね。

 アルバムは前半はブラジルのヴォーカル・ミュージック。ブラジル音楽と言っても、「黒いオルフェ」とか「いそしぎ」みたいなややムード・ミュージック調の映画音楽ってあるじゃないですか、ああいう匂いでした。

 そして後半は弾きまくりのギター・インストの連続で、これが素晴らしかったです!!白眉は以降のジスモンチのギター曲の代表的なレパートリーになった「Salvador」。このレコードではベースとフルートも参加していましたが、おおむねギターの独壇場。僕はこの曲を後年のライブビデオで聴きましたが、このレコードを聴くと印象がけっこう違って、なるほどギター音楽はバーデン・パウエルのコピーから始まった人なのだろうと思いました…な~んて感想を書いている間に、アルバム終盤でバーデン・パウエルのメドレーが出てきました(^^)。

 いやあ、76年にECMからアルバムをリリースするようになるまでのジスモンチの音楽は、いろんなものをチャンポンした掴みどころのないキワモノ音楽という印象が強かったんですが、その中でこのアルバムは良かったです!いちばん良かったのはディレクションなんでしょうが、この「ジスモンチの本当の才能はギター器楽曲とそのとんでもない演奏能力にある」という見解は、MPS やECM というドイツのレーベルのプロデューサーの眼力が大きかったんじゃないかと。何をやるかって、何が大事かって事が分かっているということでもあって、すごく大事なことなんですよね。。以降ECM からリリースされる事になる超絶ギター・インストの始まりはこれ、推薦です!


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『Egberto Gismonti / Sonho 70』

Egberto Gismonti Sonho 70 1970年発表、ブラジル人ギタリスト/ピアニストのエグベルト・ジスモンチのセカンド・アルバムです。読み方は「ソーニョ70」で、レーベルはエレンコからポリドールに移りました。デビュー直後のジスモンチはアルバムごとにレコード会社が違うので、これは移籍ではなくすべてがショット契約だったのかと。ちょっとずつ大きなレーベルに移っていくので、スター街道を着実に登っていく出世魚みたいですね(^^)。

 ジスモンチと言えばギターやピアノを超絶な技巧で弾きまくる硬派なブラジリアン・インストというイメージを持っていますが、このアルバムは売れ線を狙ったようなヴォーカル・ミュージックでした(^^;)。曲も硬派かというとそうではなく、管弦が入ってフワーッとイージーリスニングに仕上げたボッサと、プログレッシヴ・ロックのハイブリッド、みたいな。

 ジスモンチは1947年生まれなので、このアルバムをリリースした時は23歳。作曲家を目指した面影もなければも器楽の達人でもなく、この「売れたい」「プログレカッコいい」という中二病全開の音楽は、今からすれば布団をかぶって涙で枕を濡らしていたとしても不思議ではないかも (^^;)。ただ、70年前後のポピュラー音楽で最先端を行くなら、プログレは通らないわけにはいかない道だったんだろうし、そうだとしたらこれは一種の通過儀礼。致し方ないところかもしれません。


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『Egberto Gismonti』

Egberto Gismonti 1969年発表、ブラジル人ギタリスト/ピアニストのエグベルト・ジスモンチのデビュー・アルバムです。

 アルバム冒頭は、以後も繰り返し再演されてジスモンチの名刺のような曲となったギター・インスト「Salvador」。僕がこの曲を初めて聴いたのは10弦ギターを両手でハーモニクスを作りながら演奏する超絶技巧なギター演奏でしたが(ブラジルで放送されたジスモンチ特集番組でのライヴ演奏!)、ここでの演奏はバーデン・パウエル調のボッサでした。バーデン・パウエル調と言えば、3曲目「Pr' Um Samba」も典型的なサンバ/ボッサ調の曲で、ギタリストとしてのエグベルト・ジスモンチのルーツはバーデン・パウエルだったのかと思わされました。弾き語りもしてましたしね…そうそう、ジスモンチってごついルックスの割りに声が高くて細いです(^^;)。まあ、レーベルがElenco なので、バーデン・パウエルの色があったからこそデビュー出来たのかも知れません(^^)。

 とはいえ音楽はバーデン・パウエルのエピゴーネンというわけではなく、いろいろな音楽のミックスと感じました。「Tributo A Wes Montogomery」はタイトル通りでオクターヴ奏法満載でしたし(^^)、「Lírica II」はA&Mが発表しそうなストリングス入りのムード音楽調ブラジル・ポップ、「O Gato」はラテン調インスト・プログレッシヴ・ロック、みたいな。

 クラシックの作曲家を志向した事もあるという側面は感じる事はありませんでしたが、とにかく多様。その共通項を拾うならゴリゴリ硬派な芸術音楽ではなくポピュラー・ミュージックである事と、ブラジル音楽かブラジル音楽と何かのミクスチャーという事。この多様性、悪く言えばまとまりがないとも言えるし、よく言えば新しい外部の音楽と自国の音楽を統合してブラジル音楽のモダン化に踏み込んだとも言えるかも。そういう意識があったわけではなく、いろんな音楽を吸収できるだけのアンテナと技術を持っていたミュージシャンが、そのすべてをやったという所なのかも知れません。


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コミック『ホットロード』 紡木たく

HotLord_3.jpg 全4巻、1986~87年に、別冊マーガレットに連載された少女漫画です。題材は不登校と暴走族で、学校からドロップアウトしかけて暴走族の集会に行くようになった中学生の少女が主人公です。族の男ではなく、その彼女になっていく少女視点というところが面白かったです。

 この漫画、少女視点での不登校や暴走族像というのがリアルに描かれていて、伝わってくるものがありました。70年代生まれという世代的なこともあるのでしょうが、僕は兄が暴走族に片足を突っ込んでいたことがあるし、友だちのお兄さんにも思いっきりそういう人もいたんですが、暴走族のどこが良いのかまったく分かりませんでした。群れて爆音出して道を走って何が面白いの?喧嘩して怖い思いするのが楽しいの?幹部に上納金を巻き上げられてうれしいの?みたいな。それがこの漫画を読んで、なぜ子供が暴走族に惹かれるのか、なんとなく分かった気がしました。社会で行き場を失った子供たちが、自分と似た状況の友達と一緒に過ごせる場所、それがこの漫画に描かれていた暴走族の姿でした。

 この漫画に、暴走族の頭が歩くと他の人が頭を下げる様子を見て、少女たちが「かっこいい」というシーンがありました。ほかにも、高校に行かずにガソリンスタンド働いて自立する少年、「おごってあげる」という言葉にほだされて最後に強姦されそうになる少女、少年鑑別所送りになる少年、母親とうまくいかずに家に帰らなくなった少女…僕に暴走族を理解できなかったのは、僕自身がドロップアウトしたわけではないからなんですね。ただ、暴走族になりかけた兄に対して理解出来なかった事が、この漫画を読んで腑に落ちた事がいろいろあったもんで、この漫画ってかなり核心をついているんじゃないかと思いました。僕自身は暴走族の内側に入った経験がないので分からないですけどね。

 強かろうが弱かろうが、若かろうが老いていようが、けっきょく人間は自分で立ち上がるしかないですが、若いころってまだ知識もないし自活するだけの力もないし、色んなめぐりあわせである程度こういう子供も出てきてしまうのかも知れません。『ビー・バップ・ハイスクール』は最高に面白い漫画でしたが、虚実入り混じる漫画に思えてたんですよね。でも『ホットロード』はリアルを感じて、素晴らしいと思った漫画でした!
 ところで…アマゾンを見ていて気づいたんですが、いまは完全版というのが出てるじゃないですか!!うわあ、読んでみたい…。


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コミック『ハイティーン・ブギ』 後藤ゆきお(原作)、牧野和子(画)

HighTeenBoogie_.jpg 1977年に雑誌に掲載されるやいなや、大ヒットとなった少女コミックです!全26巻、ドロップアウトした高校生の少年少女が、愛を力に変えて自立していく物語です。近藤真彦主演で映画化もされましたが、原作漫画に夢中になった僕にすれば(って、まだ小学生でしたけどね^^;)、「アイドルがハイティーン・ブギを演じられるわけないだろ」なんて思ってました。というのは、この漫画って暴走族がらみのストーリーなんですよね。

 翔は暴走族のリーダー。しかし桃子と出会う事で暴走族を抜ける。一方の桃子はみなしごで親戚に預けられており、学年でいちばんの成績ながらも夜は喫茶店でウェイトレスをしている。最初は翔を嫌っていた桃子だが、一途な翔に惹かれはじめる。翔は財閥の跡取りだったが学校にも行かずやりたい放題だったが、親に勘当されて行き場を失う。ある日、桃子が義兄にレイプされそうになったことをきっかけに、翔と桃子は同棲を決意する。

 物語は、翔が桃子と別れまいと海に飛びこむ前と後で分かれていると感じました。ドロップアウトして同棲をはじめた若い二人の話となる前半は、間違いなく大傑作!学校をやめてアルバイトを探して働き始める桃子。桃子に出来た子供のために必死で働く翔。狭いアパートで一緒に協力して自活するふたり。翔をモノにしたくて重に桃子のレ〇プを依頼する美樹。重の子供と知りながら、自分の子供として育てる決心をする翔。狭いアパートで同棲しながら必死に働いて出産費を稼ぐふたり。父親に海外留学を強制されるも、桃子と別れないために船から海に飛び込む翔…もう、名シーンのオンパレードです。

HighTeenBoogie_17-last.jpg 一方の後半は、…なにせ映画化されたほどヒットしたもんで、物語を強引に延長したんでしょうね。間延びしちゃうわ、荒唐無稽な話が随所に出てきてしまうわで、せっかくの名作が…(^^;)。
 そんな後半にも名シーンがいくつかありました。ひとつは、暴走族時代の仲間の重が、やくざの鉄砲玉になって死んでいく場面。「翔ヤンたちとワッパ転がしてる頃が一等楽しかった」…涙が止まりませんでした。もうひとつは、ずっと翔を想いながら、翔を諦めて海外移住を決意した美樹の別れのシーン。心の中でつぶやいた言葉は「バーイ、私の愛する人」…いやあ、これだけ辛い思いをしているのに、その思いを「バーイ」と明るく締めるなんて、めっちゃイケてる姉さんじゃないですか!こんなカッコイイ人いないだろ。。
 そして、病に侵されて自分の死期を悟ったあとの桃子の生き方と、その最後。桃子が翔と子供に残した遺言がもう…漫画を読んでいてこんなに胸を締めつけられた事はなかったかもしれません。それぐらいに辛いラストでした。

Highteen Boogie_26 小学生が読みにはあまりにマセたこの漫画を何で僕が読んでいたかと言うと、7歳年上の兄が読んでいたから。そのころ兄は高校をドロップアウトしかけていて、半分暴走族になっていたし、なんとか卒業できたものの高校も4年通ってました。僕はスリリングな展開を面白がっていただけでしたが、兄にとっては「学校をやめて自活する方法もあるかも」という切実な現実の教科書として読んでいたのかも知れません。当時は受験戦争や暴走族が社会問題となっていた頃で、兄の世代のドロップアウトした若者たちは、学校をやめてもひねくれずに自活する人をある意味で「親から独立して人生を切り開いているカッコいいやつ」と英雄視するような価値観があったのではないかと思っています。
 そして、翔と桃子の愛の物語は…恋愛に関し、僕って若いころから浮気の虫が出てきてしまう事がたまにあります。でも翔と桃子を見ると、ひとりの人と添い遂げるってなんて素晴らしい事なんだろうと思ってしまうんですよね。いつまでもフラフラしてないで自分もこうありたいな、みたいな。

 映画化して人気が出たからか、ストーリーが強引に引き延ばされた節があって、中だるみが激しかったのは残念。それでも、子供のころから何度読み直したか分からないほどの大フェイバリット漫画です。70~80年代にドロップアウトを経験した若者にとってはバイブルだったんじゃないでしょうか。素晴らしい漫画でした!


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TVドラマ『積木くずし ~親と子の200日戦争~』 原作:穂積隆信

TsumikiKuzusi_TV.jpg 1983~84年に放送されたテレビドラマです。全7話…意外と短かったんですね。原作は俳優の穂積隆信で、娘が非行に走って家庭崩壊した自分の家を描いた(ほぼ)ノンフィクション。娘の香緒里役を演じたのは、萩本欣一のTVバラエティにレギュラー出演してブレイクしていた高部知子。ところが彼女、喫煙写真をフォーカスされて、リアル不良少女として芸能界から追放となってしまったんですよね。。

 病気で髪が赤くなった事でいじめを受け、それをきっかけに非行に走った中学生の香緒里。不登校だけでなく暴走族にも出入りするようになる。慌てた両親は警察のカウンセラーに相談し、なんとか解決を図るが…。


 ドラマはなんというか…観ていて生きた心地がしなかったっす(^^;)。家庭崩壊で家の中が荒んで荒んで胃がキリキリしっぱなし、生き地獄だと思いました。でも、先が気になって観ちゃうんですよね。。
 このドラマが流行した80年代前半、いじめ、非行、暴走族、不登校などが社会現象化していました。なにせ僕の兄がそうだったもんで人ごとじゃなかったんですよ(^^;)。母がこのドラマを食い入るように見ていたんですが、きっと自分の息子と重ね合わせ、なんとか兄を理解しようとしていたんじゃないかなあ。実際、このドラマで使われていた横浜銀蝿の曲「横須賀BABY」がよく兄の部屋から聴こえてきてましたし(^^;)。

 たしか最終回にとんでもない視聴率をたたき出した怪物番組だったと記憶してるんですが、なんでVHSやDVDになっていないのか…高部知子さんのあの事件が問題なのかなあ。ドラマに罪はないのにね。


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『横浜銀蠅 / 全曲集』

YokohamaGinbae_Zenkyokushuu.jpg ツッパリという言葉は今でもあるのか…ないな(^^;)。これはツッパリという言葉が流行していた1980年頃に活躍していたロックンロールバンド、横浜銀蠅のベスト盤です。ちなみに横浜銀蝿の正式名称は「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL」っていうんですよ、しってました?
 横浜銀蠅が流行していたころ、僕はまだ小学生。暴走族やツッパリが社会問題化していて、その影響を受けたナメ猫が流行、非行に走った少女のノンフィクション小説『積木くずし』が大ヒット…ヤンキー文化ですね (^^;)。

 僕がはじめて知った横浜銀蠅はテレビの歌番組で聴いた「ツッパリHigh School Rock’n Roll登校篇」だったもんで、最初はコミックバンドだと思ってました。「電車に乗ったら便所に駆け込み、一駅だけのハッピータイム」なんて感じの詞が爆笑もので、「ベスト10に入ってないかな」なんて楽しみにしてました。
 そんな横浜銀蠅をロックンロールとしてカッコいいと感じたのは、3枚目のシングル「羯徒毘璐薫'狼琉」から。僕が知ってる横浜銀蠅の曲はみんなロックンロールですが、テンポは速いしビートが強いので疾走感が強烈!聴いていて爽快なんですよ!いま聴いてもやっぱり爽快に感じました。色物バンドと思っちゃいけませんよ奥さん。

YokohamaGinbae_pic1.jpg 当時、子供の非行をテーマにしたテレビドラマ『積木くずし』の中で、横浜銀蠅の「横須賀Baby」と「ぶっちぎりRock'n Roll」がよく流れてました。これらを聴いているうちに、僕の横浜銀蠅にたいするイメージが確定しました。もちろん小学生だったんでうまく言葉に出来たわけじゃなくて、ぼんやりしたイメージ程度のものだったんですけどね。
 成績がクラスでずっと下の方だと、もう頑張る気力もわかなくなてしまうと思うんですよね。でも、学校では「学校以外」という基準はないし、まわりはみんな学校という基準だけで戦ってるから、自分だけこぼれていく感覚があるんでしょう。そういうドロップアウトしかけた子供って、学校以外の道が見つかるまでの間、本当に辛いと思うんですよね。そういう少年少女や青年たちの同朋意識、気持ちの代弁、ストレスのはけ口、そういうもののひとつが暴走族文化でありロックンロールであり、横浜銀蠅だったんじゃないかと。少し前に登場していた矢沢永吉が「道を示してくれる兄貴」だったのに対して、横浜銀蠅は「同じ境遇にいる仲間」みたいな感覚だったんじゃないかなあ。

 僕の兄は、学生時代にちょっとした不幸な出来事からグレてしまって、親と衝突していました。僕自身は目線が子どもの側だったもんで、なんとなく兄が横浜銀蠅を聴いている気持ちが分かる気がしました。今このCDを聴くと、曲によってテーマが「暴走族」「サーファーギャル」「落ちこぼれの不良」「落ちこぼれの女子」みたいにはっきりしてて、メッセージを誰に伝えているのか、狙いがよく分かります。同意するかどうかはともかく、聴いていて「なるほどなあ」という詞が多いです。
 ただ、ロックンロールバンドの宿命で、音楽自体はワンパターンになってしまわざるを得ないし、聴いている側が大人になってしまったらもうアウトなので、それが短命に終わってしまった理由かも。

 ところで、今だってドロップアウトする子供はいるだろうに、そういう子はどうするんでしょうね。世相としては、些細な事でも袋叩きにする了見の狭い社会になってきたので、昔みたいに跳ね返そうとする子よりも、引きこもっていくか、逆に極端に跳ね返し過ぎるようになった子が多い気がするなあ。どっちが良いのかはちょっと分からないけど、長い目で見ると自立しようと努力して突っ張る奴の方が見込みがあるんじゃないかな…そういう「跳ね返す」原動力のひとつになった音楽だと思います。


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『シェーンベルク: Weihnachtsmusik & Transcriptions アルデッティ四重奏団』

Shoenberg_Weihnachtsmusik and Transcriptions シェーンベルクの室内楽編成のアレンジ仕事を集めたCDです。シェーンベルク作曲の作品はWeihnachtmusik(クリスマスの音楽)のみで、あとはマーラーやブゾーニやヨハン・シュトラウスの曲のアレンジでした。

 「クリスマスの音楽」は、超理論派シェーンベルクの曲とは思えないほど大衆的で素朴な室内楽曲。編成はピアノ、ハーモニウム、ヴァイオリン2本とチェロ。いや~、こんな素朴であったかい曲を、ドイツのログハウスでクリスマスに家族で聴いたら、最高に幸せな気分になっちゃいそうです。シェーンベルクの曲とは思えない(^^;)。
 マーラー「さすらう若者の歌」、これはマーラー自身のオリジナルを聴いたことがありますが、やはりドイツ民謡調。マーラーとシェーンベルクは仲がいいんだか悪いんだか分かりませんが、少なくとも仲が良かった時期もあるんでしょうね。
 ヨハン・シュトラウスの曲をシェーンベルクがアレンジするというのもビックリですが、このCDには「皇帝円舞曲」と「南国のばら」の2曲のアレンジが入ってました。う~んこれはなんでしょうか、アルバイトで編曲の仕事をしたか、授業で編曲の見本としてこういう事をやったのかも。しかしシェーンベルクのアレンジが見事で驚きました、声部の乖離とか、教科書のように美しいです。本職のロマン派作曲家よりうまいんじゃないか、すげえ。
 そして、唯一硬派なシェーンベルクっぽさを聞く事が出来たのは、ブゾーニ「ベルセウス・エレジー」という曲のアレンジ。まず、オリジナルの曲自体を僕は知らないんですが、この曲、ドイツ世紀末音楽って感じのほの暗さが出ていて異常にカッコいい!原曲がどんな編成だったのかすら分からないんですが、このCDでは弦楽5重奏に、フルート、クラリネット、ピアノ、ハーモニウムという編成へのアレンジ、これがまた素晴らしくて、鳥肌ものでした。ブゾーニ、ちょっと聴いてみたくなってしまいました(^^)。

 実はこのCD、よく見ないで「お、シェーンベルクのこんな曲知らないぞ」って買ってしまって、家に帰って聴いてる時に、さすがにこれはシェーンベルクの曲じゃないだろうと再度クレジットを見て、編曲集と気づいたのでした。ところが怪我の功名というやつで、ブゾーニの見事な作品に出会う事も、シェーンベルクの今まで知らなかった天才を知る事も出来たので良かったです!アルデッティ四重奏団をはじめとした演奏も良かったです(^^)。


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『マーラー:交響曲第3番 バーンスタイン指揮、ニューヨークフィル』 1961年版

mahler symphony no3 1961_bernstein 今回まとめて聴いたマーラーの交響曲第3番の録音、最後は1961年にバーンスタイン&ニューヨークフィルが行った1度目の録音です。2回録音が行われていて、2度めがデジタル録音で1度目が61年という古い録音と来れば、少なくとも録音面では2度目の録音の圧勝と思うじゃないですか。ところがそんな甘いものじゃなかったです。。

 前回も書きましたが、ことホールで演奏される事になる管弦楽曲ともなると、演奏なみに録音が重要。特にマーラーの3番は最終楽章のアダージョの和弦がどれだけきれいに響くのかで、けっこう変わってきちゃうと思うのでね(^^)。
 そしていざ聴いてみると…ああああ~これだ、これしかない、これに決めた!!もしかしたらワンポイント・ステレオ録音がメインの録音なんじゃないかと思うんですが、そういう意味でいうと聞き比べたほかの録音とはこれだけが毛色違いでした。そんなステレオ感たっぷりの音で聴くマンハッタン・センターのアコースティックを含む和弦の美しさとオーケストラの一体感、そして音場感が本当に見事!!いや、もうサウンドだけで持っていかれてしまいました。。
 でもそんな事を思ってしまったのは和弦だらけのアダージョな第6楽章を聴いたからかも知れない、管や打との絡みが出てくるとファイデリティや立体感が損なわれる事もあるかも…と思って第1楽章も聴きましたが、もう素晴らしいことこの上なし!!というわけで、この録音はけっきょく全曲を聴いてしまいました。

 ところで、マーラーの交響曲第3番って、なんで6楽章なのか…初めて気づいたんですが、このCDの日本語ライナーには、各楽章の標題が書いてありました。いわく…
1. パンの目覚め―夏がやってくる
2. 草原の花が私に語ること
3. 森の動物が私に語ること
4. 夜が私に語ること
5. 朝の鐘が私に語ること
6. 愛が私に語ること


 ああ…各楽章の標題を文字通りにとれば、このシンフォニーは生まれ落ちたこの世界への賛歌なのかも。で、最終楽章のアダージョはいかにも天に召されていくような楽章なので、死んだ後の自分を含むすべて、それを指して愛、的なものじゃないかなあ。それと対比された1楽章の「夏」とは人生の始まりの事、人間そのものであり、だから長大な楽章になっているのかも。2から5は生きているこの世界の自分以外のもの。つまりは人間の誕生から死までへの参加なのかも知れません。う~ん、これは出会えてよかったマーラーの3番の演奏でした!


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『マーラー:交響曲第3番 バーンスタイン指揮、ニューヨークフィル』 1987年版

Mahler_Sym3_Bernstein_1987.jpg マーラーの交響曲第3番の聴き比べ、続いてはバーンスタインです!バーンスタイン&ニューヨーク・フィルはマーラーの3番の録音を2回行っていて、これは1987年ニューヨークのエヴリー・フィッシャー・ホールで録音された2度目のもの。ライヴ録音で、なにかの賞を取っていたはずです。

 第6楽章は和弦の響きが感動に直結するような曲想でもあるので、聴いていて、クラシックの管弦楽曲は録音が大事なんだなと改めて思ってしまいました。僕がプレイヤーだったからかも知れませんが、どうしても録音って曲や演奏に耳が行っちゃうじゃないですか。でもオーケストラともなると、どの楽器が聴こえて、どういう風に音が混じって…という部分が、オケだけじゃなくて録音にも相当に左右されますよね。弦の第4プルト以降より録音エンジニアの方が作品尾完成度を左右するんじゃないかと思うほどです。だって、サウンドって感動の中でもかなり大きなウェイトだと思いませんか?

 この録音を現代的な視点からいえば、録音の良さは今回聴き比べた4つのCDの中で最高でした。音場、音像、低音の充実感、SNの良さなど文句なし!ところが…もしかするとステレオ感を強くした録音だからか、オケがバラバラで交響していないようにも感じてしまいました。ここはオケというよりも録音なんでしょうね。立体感を優先しすぎてバラバラになった、みたいな。
 また録音を含めた音のハイファイさ加減に騙されて感動しちゃいそうになりましたが、演奏が溜めすぎて、溜めよりも歌わなくなっているのが気になってしまいました。いかにアダージョとはいえ音楽は流れるようにしないと止まっちゃうよな、みたいな。

 でもそれって他のCDと聴き比べたらそう感じただけのことで、この演奏と録音だけを聴いたら普通に感動したのではないかと思ったりもしました。やっぱり聴き比べなんてするもんじゃないな…しかしどうして友人のマーレリアンは、マーラーなのにアメリカのオケばかり推薦したんでしょうかね。。


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『マーラー:交響曲第3番 ショルティ指揮、シカゴ響』

Mahler_Symphony3_Solti Chicago 東京の桜〇水という所に、クラシックの呼び屋さんの家があります。その方はもうなくなってしまったんが(´;︵;`)、その方が自宅地下で営業していたミュージック・サロンは今も残っています。ホール脇にとんでもなく広いCD庫があったんですよ!僕が見た中で日本人でいちばん多くCDを持っていたのはあの人だなあ…。それを見て僕はうらやましく思うと同時に、「クラシックの同曲の指揮者違いやオケ違いを追いかけるのはやっぱりダメだ、きりがないわ」と改めて感じました。そんな量、生きているうちにひと通り聴き返すことなんて絶対に出来ないですから…。
 ところが何の因果か、今回はマーラーの交響曲第3番の聴き比べをする事に。仕事の都合でマーラーの交響曲第3番を聴きこまないといけなくなったんですが、僕が持っているシノーポリ&フィルハーモニア管弦楽団の録音は、悪くないけどどこかに物足りなさを感じていたんですよね。というわけで、知り合いのマーレリアンに「誰の演奏&録音が良いの?」と訊いたところ、「俺ならショルティ&シカゴ響かバーンスタイン&ニューヨークフィルを推薦するね」との事。というわけで、その方の家でそれぞれ6楽章だけを聴かせていただきました。

 まずはショルティ&シカゴ響、1982年のシカゴのオーケストラ・ホールでの録音です。演奏は…僕はかなりショルティびいきな人間で、マーラーではショルティ&シカゴ響の2番8番は聴いた瞬間に「あ、これだ!!」と思ったほどでした。だけど3番はちょっと劇的な感じが薄いかな。。ショルティってスコアの読み込みが深くて作曲家を尊重する人らしいですが、もっと芸的でもいいかも。あと、録音なのか演奏なのか分かりませんが、よく聴こえる楽器と潜る楽器があるというか、演奏がちょっとデコボコ。
 録音は、ちょっとハイファイさに欠け、SN荷がやや悪く、音もあまり突っ込んでませんでしたが、実際のダイナミックレンジはこれぐらいにした方が広くとれるのかも知れませんね。また録音自体は立体的で僕個人はきらいじゃないぜ、みたいな。

 とか言って、それは今回4つのレコードを聴き比べたからそう思っただけで、このCDだけ聴いたら絶対に気にならないと思いますけどね(^^)。大きくみれば間違いなくいい演奏だと思いました‥6楽章と1楽章の一部しか聴きませんでしたけど(^^;)スマヌス。。


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『世良公則 / Do(動)』

SeraMasanori_Do.jpg 僕が目にしてきた世良公則さんは、70年代のツイストでのバンド活動、84年の映画『Wの悲劇』での俳優活動のふたつで、以降は目にする事がありませんでした。それが90年代なかばになってヴォーカリストとして再浮上!そこでリリースされたのが、1995年発表のこのアルバムでした。
 このアルバムには「鼓動」という新曲と、ペドロ&カプリシャスがヒットさせた「別れの朝」のカバーが入っていて、どちらもCMで使われたんですよね。僕は後者を聴いて「世良さんだ、懐かしい!相変わらずすごいなあ」と思って惹きつけられたのでした。

 このアルバム、全曲ではないものの、ほとんどが「Sera Band」というロック・バンドの演奏。世良さんはヴォーカルだけでなくギターも弾いていました。そのバンドの演奏も録音もメッチャいいんですよ!いやあ、もし自分がレコーディング・エンジニアだったら、ロック・バンドの音作りのリファレンスにしたくなるアルバムです。
 そして、世良さんのヴォーカルがツイスト時代以上に凄かったです。あの迫力に耳が行きがちですが、実はピッチもリズムもいいんですよね。けっこう歌いまわすんですが、大事な音はきちんとアプローチしてるので、曲が崩れないんですよね。「別れの朝」なんて、世良さんを聴いた後だと、ペドロ&カプリシャスが音痴に聴こえましたし(^^;)。でも、ペドロ&カプリシャスのヴォーカルは前野陽子さんで、60年代後半の日本人のポピュラー・ヴォーカリストでは屈指の名シンガーです。それぐらい世良さんが素晴らしいという事なんでしょう。

 それなのに、僕はこのアルバムを楽しめませんでした。演奏も録音も良くて、超強力なヴォーカルがいて、それでも楽しめないんということは…曲か詞がつまらないんでしょう(^^;)。詞は「憂鬱な顔はよせよ」「ためらう前に走り出せ」的な世良節、作曲は世良さん本人。パフォーマンスはいいのに作品がつまらない…天は二物を与えずって事かな(^^;)。


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『ツイスト / BEST HIT SINGLES』

Twist_BEST HIT SINGLES 世良公則さん擁するツイストの『BEST & LAST』というレコードを買った若い頃の僕でしたが、そこには好きだったシングル『性(さが)』が入ってなかったのです。買う時に気づけよって話ですが、それってアントニオ猪木のいない新日本プロレスや、メル・ギブソンの出演しないマッドマックスを許せるかって話ですよね。僕は許せなかったので、『BEST & LAST』は売り、11曲という決して多くない収録曲数のこっちを買い直したわけです。少数精鋭、僕にとっては「あんたのバラード」「性」「宿無し」「銃爪」「燃えろいい女」さえ入っていれば必要充分なのでした(^^)。

 ツイストはやっぱりいい!ヴォーカルの押しの強さも素晴らしいし、なにより詞が胸にグサッと刺さります世良さんの詞って、働いてはいるけど貧乏で、ボロボロのアパートに住んで銭湯行ったり、夢もなかなか実現できず夢のままで、彼女とも同棲したり別れたり…みたいな60~70年代の日本の若い労働者階級の生活感がにじみ出ていて、それが自分とオーバーラップして泣けるのです。そういえば世良さんが出演していた映画『Wの悲劇』もそういう世界観だったな…。ロックと言っても、舞台はまだ貧しさと暗さの抜けきらない70年代日本って感じ。それが飾ってばかりの言葉じゃなくて、生々しい本音のように感じるから、胸に刺さるのです。

あんたと暮らした2年の日々を、今さら返せとは言わないわ (あんたのバラード)

おいらは宿無し、お前にはあたたかな温もりもやれやしない (宿無し)


 また、こういう生々しい言葉を伝える世良さんのヴォーカルがすごい!当時のスタジオ録音の限界か、世良さんの迫力を拾いきれてませんが、それでもカッコいい!ロックって、全身から何か発さないといけない、若い頃の世良さんや矢沢永吉さんの熱唱からはそれをビシビシ感じます。メロディをなぞるんじゃなく、感情そのもののような歌、素晴らしいヴォーカル!今こういう風に「歌に自分を全部託す」みたいな事をやるとダサいと思われるのかも知れませんが、歌ってこうありたいもんですよね。子供のころはがに股で力んで歌うsらさんの物まねをみんなでして笑ったりしてましたが、あれって好きの裏返しだったんだな…やっぱりツイストは最高でした!


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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