
1960年8月15日録音(61年リリース)、
エリック・ドルフィーのリーダー・アルバム第2弾です!ファースト・アルバムの4か月後の録音…当時のジャズって、行けると思ったミュージシャンの録音って矢継ぎ早なんですよね。編成はファーストの2管クインテットからワンホーンのピアノレス・カルテットに変更!メンバーはファースト・アルバムと同じなのはドラマーだけで、ドルフィー(a.sax, fl, b-cl, B-flat cl)、ロン・カーター (cello)、ジョージ・ダヴァイヴァー (b)、ロイ・ヘインズ (dr)。
ワンホーンとはいえ、
ほとんどの曲でロン・カーターのチェロがドルフィーのカウンターラインを作っているので、構造的には2管ピアノレスみたいなものでした。それにしてもロン・カーターってピッチが悪い(^^;)…まあそれは置いておいて、ジャズ・バンドでチェロを使ったもんで、耳新しかったです。
ロン・カーターノチェロってすごいゴリゴリと弾いていて、アドリブなんてファズをかませたハードロックのギターみたいなノイズ感で実にジャズ、カッコよかったです。ほら、低音域の擦弦楽器のアルコって、実際に生で聴くと「え、こんなにノイズだらけの音だったっけ?」と思うぐらい、ノイズ成分の多い音じゃないですか。あれを奇麗に鳴らすのがクラシックであり擦弦楽器の肝だと思うんですが、ロン・カーターはノイズ自体を迫力ある音として利用しちゃう、みたいな。まあ、そこを目指したというより、そうなってしまうから、それを有効に活用した、みたいな感じだったとは思います。
弦で言えば、
チャールズ・ミンガス作曲の「Eclipse」では、チェロとコンバスがどちらもアルコを使い、ドルフィーのB♭クラリネットと合わせて三重奏となるアンサンブルを作るんですが、こういう事を出来るのがジャズ馬鹿でないというか、音楽的な視野が広いと感じました。恐らくこの曲がピアノレスにした理由で、
このアルバムの真の狙いは、スリーコースのアンサンブルを作りたかったんじゃないかと。ちょうどこのアルバムを作っていた頃、ドルフィーってミンガスのバンドにも参加していましたしね。
ファースト・アルバム『アウトワード・バウンド』に次いで、これも概ねバップの範囲で創り出した先鋭的な音楽でした。尖ってはいるけどあくまでモダン・ジャズの範囲内、みたいな。
スティーヴ・レイシーや
セシル・テイラーもそうですが、若い頃の僕は、ニュー・ジャズ方面はモダン・ジャズの先を行って以降のものが好きでしたが、モダン・ジャズも楽しく感じるようになったいま聴くと、これはこれですごく面白いですね。モダン・ジャズの中から芸術音楽を創れる人の駒が徐々に揃い始めた瞬間の記録、と感じました。
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