
1963年1~2月録音(63年リリース)、これぞサード・ストリーム・ミュージックの典型ともいうべきジャズとクラシック・オケを混ぜたような楽団・オーケストラUSA のアルバムです。音楽監督は
モダン・ジャズ・カルテットのジョン・ルイス、指揮はガンサー・シュラー…完全に
サード・ストリーム・ミュージックやジャズ・アブストラクションですね。
でも僕はこのアルバム、サード・ストリーム・ミュージックの流れではまったく行きつく事がなくて、有名なシモスコ&テッパーマン著『エリック・ドルフィー』を読んで、
ドルフィーの参加レコードを漁っていた時に見つけたのでした。いやあ、こんなすごい事をやっていそうなオケやレコードが、ぜんぜん知られてないんだなあ、と思ったものでした。
曲は7曲で、うち1曲が組曲。作曲は、ジョン・ルイスが4曲、ゲイリー・マクファーランドが2曲、アメリカ国歌1曲(アレンジはガンサー・シュラー)でした。編成は、2つの弦楽四重奏、ジャズ・ビッグバンドとクラシック・オケのあいの子のような管チーム、ギターとピアノを含むジャズのリズム・セクション、というもの。いやあ、この編成のスコアを書くだけですごいと僕は思ってしまうなあ。。そして、ソリストを立てた曲が3曲あって、2曲はジョン・ルイス(ピアノ)、1曲がエリック・ドルフィー(アルト・サックス)でした。
ただ…サード・ストリーム・ミュージックって、少しだけ前衛的な部分があったりしたじゃないですか。でもこのアルバムの場合、
古いアメリカの映画音楽をジャズとクラシックをチャンポンにしたオケが演奏した、ぐらいの音楽に聴こえてしまいました。スマヌス。なんというのかな、それこそ、MJQ がジャズと古いクラシックの室内楽を混ぜたような音楽をやる時ってあるじゃないですか。あれの大編成版、みたいな。その中でもいちばんレベルが高い作編曲と思えた曲は「Grand Encounter」ですが、それだってせいぜい『
ウエストサイド・ストーリー』ぐらいのレベルだし、そもそもこの曲はジョン・ルイスではなくマクファーランド作曲なんですよね。。
先述した本『エリック・ドルフィー』によると、
オーケストラUSA って、単にサード・ストリーム・ミュージックを目指しただけでなく、現代音楽作品や作曲された新しいジャズ作品など、幅広いこれからの音楽を目指したオケだったそうです。実際に、コンサートでは
アイヴズの作品なども演奏していたようですしね。そのコンセプトたるや実に見事だと思うのですが、いかんせん作品がコンセプトについてきてない…と思ってしまったのは、きっと僕だけじゃないんでしょう。だって、もしそれを本当に生み出せていたら、売れているにせよいないにせよ、少なくとも一定レベル以上の音楽家から評価を得られていたと思うんですよね。
スポンサーサイト