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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『Eric Dolphy / The Illinois Concert』

Eric Dolphy The Illinois Concert 1963年3月10日、幻となっていたエリック・ドルフィーのリーダー・グループのライブ録音です。ワンホーン・カルテットで、ピアニストはハービー・ハンコック
 ドルフィーは1962年に自分のバンドを結成すべく、ジョン・コルトレーンのバンドへ脱退を告げ、ハービー・ハンコックをメンバーにしたリーダー・グループを結成したことが知られていました(ドルフィーの研究書であるシモスコ&テッパーマン『エリック・ドルフィー』に言及あり)。でもこのあとハンコックはマイルス・デイヴィスのバンドへのレギュラー参加が決まって脱退。代わりに参加したのがヴィブラフォンのボビー・ハッチャーソンで、ハッチャーソン参加以降の録音はそれなりりにあるものの、ハンコックと組んだバンドの実態は闇の中…という状態でした。それが1999年になって、ブルーノートがハンコック参加時のドルフィーのリーダー・バンドの録音を発掘! それがこのアルバムでした。
 当時の新生ブルーノートは、コルトレーン参加時のモンクのバンドの録音とか、こういう発掘を積極的にやってたんですよ、ありがとう…一応ラジオ放送用に録音されていたものだそうですが、録音は良くなかったですけどね(^^;)。そうそう、イリノイ大学での講演という事もあってか、イリノイ大学のブラス・アンサンブルやビッグバンドと共演したものが1曲ずつ入っていました。でもこれで音楽の質が落ちたという風には感じませんでした。大学生、頑張りましたね(^^)。

 特に新曲が書きおろされたわけではなく、これまでのドルフィーのアルバムに収録された曲、ヨーロッパ公演のリーダー・グループで取り上げた曲、そしてスタンダードで構成されていました。だから、ドルフィー自身がやっている事は、60年に録音した3つのリーダー・アルバムや、ミンガスのバンドでやった事と変わっていないのですが、ハンコックが入っているからか、曲の構成も和声も、マイルス・デイヴィスやウェイン・ショーターの60年代前半の音楽みたいに感じました。60年代前半のジャズ和声にとって、ハンコックって完全にキー・パーソンだったんだなあ。

 で、このハンコックの支配力が強くてですね…例えば、このライヴの1曲目は、スタンダード曲「朝日のように爽やかに」をハ短調にして演奏してるんですが、ドルフィーはドミナントでホールトーンを露骨に使いに行って(ドルフィーはよくこの手を使います)、グロテスクと感じるほどの奇抜なサウンドを出してます。無伴奏のイントロどころか、ヘッドですらこのアプローチに行って、むっちゃくちゃカッコいいんです。ところがハンコックは、その前後でフォースビルドなんか挟んじゃったりして、実にモダンでシャレオツなサウンドを出すんです。こういうアプローチは、この頃のハンコックが取り組んでいたものだし、リードシートを配って、あとは個人に任せるスタイルで演奏するタイプのジャズなら、音の選択は個人に任されているので仕方ない事ですが、でもハンコックのピアノがドルフィーの生み出す和声感覚を中和してしまっていると感じてしまいました。せっかく激辛のカレーを頼んだのに、そこに牛乳を混ぜてマイルドにしてしまっているようなもので、ドルフィーの生み出したヤバカッコよさが実に大人なサウンドで包み込まれて、典型的な60年代ジャズのサウンドに要約されてしまうという…。

 ただ、非常にカッコよかったものもあって、それは「アイアン・マン」。これが素晴らしい個性を放った音楽と演奏!この曲を聴くためだけにこのアルバムを買っても損はないと思えるほどでした。「アイアン・マン」ってて、この数か月あとにドルフィーはスタジオで録音しますが、この時点で完全に仕上がっていたんですね。この曲に至っては、ドルフィーはドミナント以外のところでもとんでもない跳躍を使ってアドリブしていますが、これを支えるハンコックのピアノが見事。というか、ハンコックがいなかったら、僕はプログレッションを見失っちゃいそうです。

  ドルフィーとハンコックの和声アプローチの話ばかり書いちゃいましたが、ベースのエディ・カーンとドラムのJ.C.モーゼスの演奏も実に見事でした。プロは違いますねぇ…。よく見れば、カッコよかったけどまとまりきっていなかった60年録音の3つのドルフィーのリーダー・バンドのサウンドが、ここで一気に洗練されてジャズのメインストリームに食い込んだ感じ。悪く言えば、メンバーが増えるほど中和されて個性がそがれて無難なところに落ち着いてしまうというジャズのセッションの悪い面が出たかも。曲も新曲は1曲しか揃えられていない段階のようだし、この録音は大学での公演を利用したバンドの試行錯誤の記録、という所が実際のところかも。ジャズって、このぐらいのところで「これで良し」にしてしまうものが多いけど、ドルフィーならもっと先まで行けた…というのは、これ以降にドルフィーが残した音楽が証明している気がするんですよね(^^)。その話は、また次回以降に!


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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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