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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『Eric Dolphy / In Europe』 Vol.1 – Vol.3

Eric Dolphy_in Europe_1 生前のエリック・ドルフィーにリーダー・アルバム発表の機会を与えていたのは、1枚を除いてすべてがプレスティッジとその子会社のニュージャズというレーベルでした。プレスティッジって、ドルフィーに対しては、リーダー作はもちろん、それ以外もいっぱい参加レコーディングを斡旋してたんですよね。生前には数えるほどしかリーダー・アルバムをリリース出来なかったドルフィーも、いざ夭折してしまうと、出るわ出るわのリリースラッシュ。そんな中、生前のドルフィーを応援していたプレスティッジがリリースしたアルバムが、この3つのアルバムでした。エリック・ドルフィーは1961年の8月末から、2回目のヨーロッパ・ツアーに出かけていますが、この3つのアルバムは、そのうち61年9月6 と 8日に行われたコペンハーゲン(デンマーク)でのライブ録音を集めたものです。

 ジャズ・ミュージシャンの外国での公演って、ギャランティーの都合でサイドマンを現地調達する事があります。バンドをみんな呼んだら、ギャラ以外にアゴ足枕もかかりってしまいますからね。。僕も何度が受ける側の仕事をしたことがありますが、あれって難しいんですよ。前もってリードシートと参考音源ぐらいは貰えるけど、合わせは当日の本番前に、ヘッドだけ合わせてあとはソロオーダーの確認ぐらい、なんて当たり前だし、相手が大物であればあるほど「とにかく足を引っ張らないようにしないと」って思いが強くなって、どんどん演奏が小さくなっちゃうし、そもそもバンドってそんなすぐまとまらないですよね。で、探りながらやって、ようやく勘所がつかめた時にはもうツアー終了、みたいな。
 コペンハーゲンの現地ミュージシャンをバックにつけたこの公演もまさにそんな感じで、メンバーはみんなそれなりに弾ける人たちに聴こえましたが、いかんせん合わせが少なかったのでしょう、正面から積極的にやりあうんじゃなくて、完全にバックバンドとして振舞っちゃっていました。

Eric Dolphy_in Europe_2 でも、この『イン・ヨーロッパ』3部作に関しては、そういう事情は悪い方ばかりに出たばかりではなく、いい方にも出たようにも思えました。極端に言えば、うすいガイドのついたドルフィーの無伴奏ソロのようになったように思えるのです。
 ドルフィーって、当時のアルト・サックスで言えば、チャーリー・パーカー以降に登場した最大の天才とすら言えそうなのに、意外とソロをあまりもらえなかったり(コルトレーンとの『Ole』や『Africa Brass』や、オーケストラUSAでの演奏とか)、リーダー・バンドが常に双頭バンドのようになっているもんで、ドルフィーの独壇場とはならなかったりして、この『イン・ヨーロッパ』3部作ほどアドリブをガッツリ聴けるものは、これまでになかったんですよね。それがこのレコードでは、ほとんどひとり舞台。しかも、フルートもバスクラもアルト・サックスも、満遍なく吹きまくっていました。また、バックをつけるミュージシャンも、ビートもコードも分かりやすく分かりやすく演奏していて、主賓がやりやすいようにおぜん立てするんですよ(^^)。

 たとえば、Vol.1 のトップを飾る「Hi-Fly」はコンバスとのデュオですが、コンバスはピチカートで4分音符しか演奏しない…なぜそうしたのかは兎も角、おかげでドルフィーのフルートのアドリブの凄まじいこと凄まじい事。。
 同じくVol.1 収録の「God Bless the Child」はバスクラの独奏でしたが、これも多分「みんなエリック・ドルフィーを聴きに来てるんだから、1曲は無伴奏を」と思ったからこそですよね。ちなみにこのバスクラ・ソロがまたすごくて…なんだろ、モダン・ジャズのこの手のアドリブって、押し引きはあるんだけど、起承転結や序破急を作るというのとはちょっと違うじゃないですか。それなのに耳を惹きつけられて、あきせずにずっと聴けてしまうのは、起承転結でないにせよ物語的に繋がっていく展開があるからじゃないかと。このアドリブの場合、有名なあの歌い出しのフレーズを分散和音にしたフレーズを物語の軸に展開させていて、これで見事にストーリーを作ってしまうんだなあ。

Eric Dolphy_in Europe_3 アドリブの凄さついでに言えば、フルートの超絶アドリブは、同じく第1集に入っていたカルテットでの「Glad to Be Unhappy」が見事でした。テーマでのフルートは、音はかすれるわピッチは下がるわ不安でしたが、アドリブになるや凄すぎました。ドルフィーってフルートだと、アルトやバスクラのような跳躍するフレージングは抑え気味にする代わりに、プログレッション上にディミニッシュをはじめとした経過和音を挟んで、めっちゃカッコいいラインを作るじゃないですか。それをあのスピードでやられたら、そりゃもうノックアウトされてしまいます。。ドルフィーすげえ。

 アドリブのアルト・サックスのワタシ的イチ押しは、第2集に入っていた「The Way You Look Tonight」。カルテットでのアルト・サックス演奏ですが、第1集はフルートとバスクラの演奏だけだったので、満を持してのアルト。これが大爆発のアドリブで、歌い回しだの構成だの関係なし、高速で強く吹き続けます!明るく楽しい曲でこれをやられると、ニコニコと微笑みかけられながら顔面を殴られている気になるんですけど。。ドルフィーってこの時点でパーカーを超えてたんじゃないですかねぇ…いやいや、どっちがという事ではなく、どっちもすごいですね(^^)。

 曲で好きだったのは、第3集に入っていた「In The Blues」。カルテット編成でのアルト・サックス演奏ですが、どういうわけか何テイクも入っていて、しかも演奏途中で止めてやり直したりもして(^^;)。しかし最初のテイクが、とんでもないサックスの高速アドリブです!この曲、ヘッドがヤバカッコいい!タイトルこそ「In The Blues」ですが、独創的な和声と進行を持つ曲なんですよね。。あ、そうそう、最後のテイクがいちばんテンポが速くて、あまりの速さにテーマが怪しいですが(^^;)、テンポは速いのにテイク1の方が演奏自体のスピード感を感じるのは何故なのか…速すぎてみんな8分音符になってるからかも知れません。。

 なにせ外タレ用の即席バンドなので、上記のように不具合が出る点もしばしば。「Oleo」なんて、ドルフィー自身がソロ・オーダーを間違えてドラム・ソロの中で吹きはじめちゃうハプニングもあります。でも、そんなオレオですら、演奏の勢いの凄さと言ったら(この曲はドルフィーだけじゃなくて、バンド全体が熱いです)!ドルフィーって、生涯を通じて誰かのリーダー・バンドへの参加をやめませんでしたが、62年には本格的に自分のバンド結成へと動いてました。それって、信頼できるツートップとなる共演者なしでフロントを務め切った61年の欧州ツアーが自信になったんじゃないでしょうか。楽曲もアドリブの考え方もバップの範疇、ただそれで実現したアドリブが異次元。若い頃はもっと尖った曲が好きだった僕は、曲ゆえにやや敬遠気味だったレコードですが、いやいやこのアドリブを聴かないという手はありませんよ、奥さん。




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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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