
もうすぐ平成もオシマイ。でも平成の音楽を思い出そうとしても、これというものが全然思いつきません。ZARDとかWANZとかのビーイング系?小室ファミリーみたいなavex系?モーニング娘とかAKB48みたいな女性アイドルグループやSMAPみたいなジャニタレ?どれも世代が違って卒業した世界だったので、耳にする機会がほとんどありませんでした。別の言い方をすると、平成には、10代を過ぎた後に聴くことのできる流行歌がなかったという事かも。昔なら演歌なり何なり、大人が聴ける歌謡曲があったんですけどね。。そんな中、少しだけ聴いたとすれば、宇多田ヒカルさんあたりのR&B系の女性ヴォーカルかも。小柳ゆきさんはそうしたR&B系女性ヴォーカリストのひとりで、ちょっと遅れてきた人だったかな?MISIAさん、UAさん、宇多田さんと女性R&B歌手がブレイクしてるという事で、芸能系プロダクションのバーニングが急きょ持ってきた歌手、みたいな。そんなわけで、
歌手としての実力は充分と思ったけど、曲や売り方にどこか芸能チックなものを感じた人でした。売れなくなってくると脱がされたり、ミュージシャンじゃなくて芸能界チックなんですよね。金の事しか考えてなさそうな音事協系の大人たちにいいように使われる商品っぽいというか、ザ・芸能界に身を置いて翻弄される日本の女性タレントの運命を見るようでした。かわいそうに…。
このアルバムは洋楽カバー集です。でも、最後にこの人の歌った
「あなたのキスを数えましょう」が入っていて、この曲が好きで買いました。洋楽カバー部分は、何から何まで洋楽の猿真似なのでダサかった(^^;)。何でもかんでも英米の真似するだけで自分の主張はないのかよ、みたいな。でもそれ自体が平成の日本の傾向にも思えます。政治も完全にアメリカさんの言いなりだしね。政治どころか、精神的な所まで「西洋カッコいい」みたいになってしまったのが平成の歌音楽だったのかも。平成の日本の音楽「産業」界って、ディレクターもアレンジャーもプレイヤーも、こういうアメリカの文化戦略にまんまと染められたような人たちの集まりだったな、と今にして思います。
でも、大好きだった「あなたのキスを数えましょう」はメッチャクチャ良かったんです!オーケストラ・アレンジな部分は「こうすればカッコいいでしょ」みたいなディレクターの浅はかさが痛かったですが、詞と歌唱力の素晴らしさですべて帳消し。タイトルは、彼と別れる事になってしまった女が「(今まで)あなた(とした)キス(の数)を数えましょう」という意味です。
「出会わなければよかったの?」
「こんな日が来るなら抱きあえばよかったよ、もっと」
「嫌いになって、楽になって、夜を静かに眠りたい」 失恋体験がある人なら、こんな言葉を言われたら胸に刺さらないわけがないですよねえ。。
そして、この曲での小柳さんの歌唱力が素晴らしい!いや~、
この時代のJポップの女性R&Bシンガーは、宇多田ヒカルさんとMISIAさんのデビューアルバムを聴いた事がありますが、ピッチは安定してるし声量はあるし声は太いし表現力はあるし、小柳さんがいちばん凄いんじゃなかろうか。発音の怪しい英語詞なんて歌わないで、日本語詞で勝負すればいいのに。結局、平成のJポップは音楽そのものが洋楽丸パクリだからか、若い子がみんな英米に憧れまくってしまうのも自然といえば自然なのかも知れませんね。
平成のポップスの光明は、力ある女性ヴォーカリストが目立った点にあったんじゃないかと。たとえ海外のものまねであったにせよ、宇多田さんや小柳さんがいなくて、もしモーニング娘にavexにAKB48が平成の日本ポップス界だったらと思うと、いくらなんでも子供だましな安すぎる文化だっただろうな、と(^^;)。いや、AKBとかの本人たちが悪いというんじゃなくて、彼女たちのようなものをしか拾えない聴く側の幼稚さや、そういう下世話な売り方しか考えない売る側の産業音楽業界の文化レベルの低さがね。な~んて言いつつ、僕は「あなたのキスを数えましょう」以外の小柳さんをぜんぜん知らなかったりして(゚∀゚*)エヘ。まあ、世代が違うから仕方ないですよね。。とにかく、「あなたのキスを数えましょう」の詞と歌唱は大好きでした。すばらしい!
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個人的には宇多田ヒカルさんやMISIAさんの
『R&Bにこれだけ寄せましたよ』感が駄目でしたんで、
余計に『歌唱力勝負』って感じは好きでした。