
このCDに入っている「パドヴァの聖アントニウスのためのミサ曲」も、
デュファイが作ったミサ曲のうちのひとつということで、思わず手を出してしまいました(^^)。デュファイはミサ曲を7~10曲ぐらい作ったらしく(!)、
交響曲を確立したのがハイドンなら、ミサ曲を確立したのはデュファイなんでしょうね(^^)。ただ、このミサ曲がデュファイ作かもと言われ始めたのはけっこう最近(20世紀なかば)で、その後えらい学者がデュファイ作と認定したことで、めでたくデュファイのミサ曲のひとつに仲間入りしたんだそうです。
誰が書いたかは僕なんぞには知る由もないのでとりあえず横に置いて、この曲の印象だけをまず述べると…どの曲もほぼ3声(1曲だけ4声)。組ミサですが5章の連作ではなく、10章から出来てます。
キリエやグローリアなどの5章は入ってるんですが、それ以外にイントロイトゥスとかグラドゥアーレとかオッフェルトリウムとか、聞いた事のない楽章がてんこもり。解説を読むと、トレント写本というものの中に入ってる楽曲をデュファイ作と認定してまとめられたようなので、もしかすると実際にこういう形の組ミサじゃなかった可能性もあるのかな?また、こういう組ミサのスタイルが確定したのもデュファイかららしいので、まだ当時は5章からなると確定していたわけじゃなかったのかも。
「パドヴァの聖アントニウスのためのミサ曲」は、このCDだとイントロイトゥスという章から始まるんですが、この楽章、まるで現代のイージーリスニングのよう。森の中で妖精と出会ったような、お菓子の家を盛で見つけたような、そんな不思議なメルヘンを感じる音楽 (^^)、とてもミサ曲とは思えませんでした。「ス・ラ・ファセ・パルのミサ曲」とか、傑作と言われる「アヴェ・レジーナ・チェロールム」と比べると、この曲だけ作風が違って聞こえます。カノンではなく、まるで定旋律にメリスマつきの和声づけをした音楽に聴こえるからかな?本当にデュファイの曲なのか疑ってみたりして(^^;)。でも、誰が作ったのかはともかく、
メッチャ気持ちいい!バッハの作るフーガよりも、和声的な色彩感は明らかに上。かといってルネサンス音楽のポリフォニーがみんなこういう色彩感を持ってるかというと、たとえばローマ楽派のパレストリーナなんかはそうでもないので、これはあくまでデュファイ個人の持ち味なんでしょうね。素晴らしい!
そして、ポメリウムの合唱ですが、ヨーロッパではなくアメリカのグループだし、ジャケットはなんだかポップだし(美しくて好きですけど^^)、聴く前は若干ナメてました。でも、クレッシェンド/ディミネンドをつけて歌うシロス修道院~
ヒリアード系ではなく、
綺麗に音を響かせるコーラスで、バランスもピッチも完璧、メッチャ美しい!音は、まるでデジタルリヴァーブをかけたような機械的な美しさ…と思ったんですが、クレジットを見るとニューヨークの教会での録音のようです。1995年アメリカ録音…なるほど、録音はちょっとイージーリスニングっぽくもないですが、中域の音がだんごになる所だけちょっと削ったとか、そんな感じなのかも。美しいコーラスである事は間違いないです!
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