
諏訪内晶子さんは桐朋学園大卒。そして桐朋在学時に、チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で史上最年少の1位を取りました。クラシックの演奏家って箔をつけるために、世界中にある小さなコンクールに出て優勝して、プロフィールに「○○コンクール1位」って書くんです。でもチャイコフスキー国際コンクールはビッグなコンクールで、そんなセコい話じゃない、ここで1位を取ったら胸張ってプロ演奏家としての道を選択していい…そんな感じ。諏訪内さんって美人なので、最近の大手レコード会社がよくやるビジュアル系クラシックかと思われがちですがそれだけではないなかなかの本格派なのです(^^)。まあ、今は
ムターでも
クレーメルでもCDで簡単に聴けてしまう時代なので、そういう人たちと比べられると誰だってキツいですけど(^^;)。
このCDは、けっこう最近に出た(2016年録音)諏訪内さんの新作。ヴァイオリニストって、ほぼ間違いなくピアニストとのデュオCDを作りますが、この編成になると選曲ってだいたい決まってきますが、そんな中でこのCDは曲の組み合わせがメッチャいい!R.シュトラウスとフランクのヴァイオリン・ソナタ、その間に武満さんの「悲歌」。選曲だけでも手抜きの許されない真っ向勝負であると感じます。ジャケットは思いっきりビジュアル系ですが(^^;)。
演奏は…ヴァイオリンの演奏はどこを切っても完璧、うまい!ただ…木を見て森を見ずというか、どの部分でも同じテンションで全力で歌い上げてしまうソウル・シンガーみたいで、常に音色が似ていて、押し引きのグラデーションが淡く感じます。シュトラウスのヴァイオリン・ソナタなんて、もっとシンフォニックに派手に抑揚つけて、シーンによって色を変えないとマズいんじゃないかな、な~んて思ったりして(^^;)。日本の女流プレイヤーって演奏だけに専念していて、プレイがムッチャうまい反面、ただ演奏することしか考えてない人が多い印象があるんですよね。演奏プランは何から何まで師匠頼りで、師匠から離れるとただ演奏してるだけになっちゃう、みたいな…。
録音は、音像がはっきりしないのと、ヴァイオリンよりピアノの方が常に少し大きい気がします。この編成で、音量を同じにしてはいけないと思うんですよね。少なくとも、ピアニストはそう思って演奏するはず。これはプレイヤーが悪いのか、ディレクターが悪いのか、エンジニアが悪いのか…最近のクラシックの新録って、機材は良くなってるんだろうけどこういう音楽的な所がダメになったと思うものが多いです。昔は、「うわ~グラモフォンってやっぱりすごいな~」とか思ったんだけどな。。
でもやっぱりメッチャいい音楽。武満さんの「悲歌」は有名な曲なので説明不要と思いますが、シュトラウスのヴァイオリン・ソナタもフランクのヴァイオリン・ソナタもメッチャいい曲で、とても楽しめました。
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