ところがこの曲、どういうわけかあんまり人気がありません。そして、ちょっと不幸な曲でもあるのです。まず第1に、コンサートでこの曲が演奏される時に、交響曲ニ短調を演奏した後でこの曲の「プシュケとエロス」という楽章だけが演奏される事がけっこう多い事。なんでそうするかというと…これは僕の勝手な憶測ですが、フランクの交響曲ニ短調って、名作と言われてるけど、実はそんなにいい曲と思えないんですよね。ところが、プシュケの中に入ってる楽章「プシュケとエロス」は、それはそれはとんでもなく美しい曲なんです。美しいだけじゃなくって、なんとドビュッシー以前に思いっきり4度堆積和音を使ってる驚異の音楽。ラヴェル「ダフニスとクロエ」冒頭の美しすぎるあのサウンドでさえ、この楽章を参考にして書いたんじゃないかと思うほど。最後にこんな曲が来たら、いまいちパッとしない交響曲ニ短調が5割増しぐらいでスバラシイ曲に聴こえちゃうってもんじゃないですか。というわけで、こうやって演奏するコンサートがけっこうあるくせに、プシュケ全曲はなかなか演奏されないという(T_T)。 第2の不幸。僕は、プシュケを4曲から構成された交響詩だと思ってたんです。実際、CDでもそうなってるものがほとんど。僕はこの曲が好き過ぎてスコアも持ってるんですが、そのスコアですらそうなってます。ところが実際の「プシュケ」はそうじゃなかった!!それがこのCDで、他のCDや楽譜だと「プシュケとエロス」で終わってるのに、このCDだとそのあとも音楽が続く!あと、3曲目「エロスの花園」も、他のCDや楽譜だと管弦パートが終わったらそこでおしまいなのに、このCDだとその後に管弦伴奏の合唱する部分があったのです。しかも、それらがどれもとんでもなく美しい…。思うにですね…もしこの曲を演奏するとなったら、オーケストラだけでなくて男女混成合唱が必要。でもそんなに人気がある曲じゃないから、お金がかけられない。…そうだ、合唱パートはざっくりカットしたろ!でもそうすると最後の「Souffrances et plaints de Psyche」で終わっちゃっておさまりが悪いなあ…そうだ、ここもざっくりカットして、美しい「プシュケとエロス」で終わるようにしたろ!…まあこんな感じで、いつの間にやら4曲版が定着しちゃったんじゃないかと。
第1パート ・Le sommeil de Psyche ・Psyche enlevee par les Zephirs 第2パート ・Les Jardins d’Eros ・Dieu jeune et fort (合唱つき) *これがスコアにも4曲形式のCDにも入ってない ・Psyche et Eros
第3パート *以降は4曲形式のCDには入ってない ・Amour, elle a connu ton nom (合唱つき) ・Souffrances et plaintes de Psyche ・Eros a pardonne(合唱つき)