通称「ホワイト・アルバム」、ビートルズが1968年に発表したアルバムです。アルバムとしては
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』 の翌年で、
『マジカル・ミステリー・ツアーズ』 とだいたい同じころかな?2枚組です。
『マジカル・ミステリー・ツアーズ』のところで、「このへんからビートルズはバンドサウンドではなくて、スタジオでしか作れないようなダビングやエフェクト前提のアルバムを作るようになった」なんて書きました。でもホワイトアルバムは、サージェントとマジカルミステリーみたいな超スタジオ作品というだけでなくて、半分は
『リボルバー』 ぐらいの頃のビートルズのバンドサウンドが聴ける感じ。
1曲目のロックな「Back in th U.S.S.R」なんて、リボルバーに入っていてもまったく違和感ない んじゃないかなあ。
リボルバーが大好きな僕としては、最高です。 でもそれだけじゃなくって、A面後半の「Wild Honey Pie」あたりからコラージュやサイケサウンドが出てきて、曲もカットアップでつないだりして、だんだんサージェントやマジカルミステリーみたいな怪しくスタジオ作品っぽい感じに。ライブをやめてレコード制作に徹したもんだから、「ヒットチャート用の2~3分の曲の寄せ集めじゃなくて、アルバムという作品を作るぞ!」って気合いがあったんでしょうね。そうそう、このアルバムから、ビートルズが作ったアップル・レコードの作品なので、よけいに気合いが入ってたのかも。あと、よく物議を呼ぶコラージュ曲「Revolution no.9」ですが、僕は意外と好き(^^)。まあ、現音やシュールレアリスムやフルクサス系と比べてしまうと、さすがにアレですけどね。。そうそう、そういう系の話でいうと、カルト宗教の教祖で大量殺人をしてしまった
チャールズ・マンソン が啓示を受けてしまったという「へルター・スケルター」が入ってるのもこのアルバム。そしてビートルズに憧れたチャールズ・マンソンが、ビートルズより数段レベルの高いミュージシャン(と僕は思ってます)な所がまた面白い。
悪い点を挙げるとすれば、アレンジを完成させられないまま発表しちゃった、みたいな曲が多い事でしょうか。弦とかのオーバーダビングで何とか体裁を整えようとしてるものが多いので、楽式とかアンサンブルをポストプロで何とかしようとしたのがバレバレ。しかもこの悪しき風習はのちのポップスに思いっきり影響を与えます。そんなわけで、短い曲がメドレーのように次々に続く中盤は、そうしたくてそうしたんではなく、1曲1曲の完成度を高めることが出来なくてそうなってしまったように聴こえてしまいました(^^;)。
というわけで、60年代前半の
バンドサウンド期と、後半のスタジオ音楽制作期の両方のビートルが混ざったようなアルバム です。なんだかんだ書きましたが、もしかすると
後期のビートルズではこのアルバムが一番好きかも 。
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僕もこれは好き!
変にまとめずに、とっちらかったものをとっちらかったままドーンと掘り出している感じ、ビートルズ4人の興味と引き出しの広さをそのまんま見せた感じのなんでもあり加減がいいですねー。