なぜか3作連続で取りあげてしまった柳ジョージが一時参加していた、グループサウンズ時代の日本のバンドです。同時に、日本のロック黎明期の最高峰。柳ジョージは、1曲だけリードギターで参加しています。しかし凄いのは柳ジョージじゃなくって、バンド全体の実力。ハモンドオルガンがミッキー吉野、リードギターがエディー藩、ベースがルイズルイス加部…いやあ、スーパーグループじゃないですか。。
な~んて言ってますが、僕の青春時代は80年代なので、グループサウンズというのはリアルタイムでは見ていません。右も左も分かっていない中学生の頃ですら、かなり古臭くってドン臭いイメージがあって、自分から積極的に聴く気にはなれませんでした。そういう先入観が払拭されるきっかけは、例の中学生の時の同級生。彼は中学でジミヘンのキリング・フロアーやファイアー、あるいはクリームのクロスロードなんかを平然と弾きこなしているような凄さだったのですが(実は、お父さんがプロのアコーディオン弾きだったそうで…)、その彼が学園祭で演奏したのが、ジミヘンとかじゃなくって、なんと「はっぴいえんど」という日本の古臭いバンドの曲。驚異のギタープレイを楽しみにしていた僕は、肩透かしを食わされた気分でした。僕は日本のポピュラーより洋楽の方が全然上だと思っていたので、日本の…というだけでもう下に見ていたんですね。でも、ジミヘンのハードナンバーまで弾きこなす彼が、わざわざ選んだぐらいなので、日本の古いロックって、もしかしていいのか?と、ちょっと価値観を揺さぶられました。で、後日にそんな話をしていると、彼が古い日本のロックやグループサウンズなんかのレコードを何枚か貸してくれました。その中に、ゴールデン・カップスのベスト盤が混じっていました。残念なことに、僕の先入観はほとんど当たってしまって「やっぱりグループサウンズはダメだわ…」と思いかけていた所で、ライブ演奏が2曲だけ入ってました。しかしこれがもの凄かった!!特に印象的だったのがサイモン&ガーファンクルの「59番街」のカバーで、これをものすごくカッコよくロックアレンジしていて、ゾッとしました!!そんなわけで、シングルカットされた如何にもグループサウンズな歌謡曲はいいから、このライブ演奏の入っているオリジナルを聴きたいと探すと…ありました!それがこのアルバムです!!
例の"59番街"のほかにも、クラプトンやジャック・ブルースのいたクリームの"I'm so glad"、果てはバタフィールド・ブルース・バンドの曲までやってます。選曲だけでもセンス良すぎだろ、これ。。しかし本当に凄いのは選曲センスじゃなくって、演奏のクオリティ。これがハンパでない。フュージョン的な小器用さじゃなくって、ロック的なダイナミックさと、もの凄い表現力なんです。う~~~ん、これはスゴイ。。
いやあ、この1枚で、僕の日本のロックバンドに対する印象はガラッと変わりました。とはいえ、やっぱり時代が時代なので、黎明期の日本のロック音楽って、レコード会社主導の歌謡音楽っぽいものは結構残ってるんですけど、そうでないものは録音自体があまり残ってないんですよね。で、60年代当時の日本のバンドのリアルな所というのは、メジャーではないレコード会社が作ったものとか、当時のラジオ録音で残っているものとか、ライブ録音とか、そういうものが多い気がします。これだけべた褒めしておいて何ですが…ゴールデンカップスは、このライブ盤以外は聴かなくていい気がします。もう、ジャガーズとかフォーリーブスとかと変わらない商業歌謡をやってますから。。
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