
ピアノ・ソナタ、
ピアノ協奏曲、
2台のピアノと打楽器のためのソナタなどなど、
バルトークにはピアノ曲やピアノが主人公の曲がいっぱいあるのに、僕がバルトークのピアノ曲と言って最初に思い浮かべるのは、ピアノ練習用に書かれたミクロコスモスなのでした(゚∀゚*)エヘヘ。でもね、これが練習曲なんて馬鹿に出来ないプログレ具合ですごいんです!これを聴いたら、「
キース・エマーソンやリック・ウェイクマンは天才」とか「プログレはうまい」なんて恥ずかしくって口が裂けても言えなくなってしまうシロモノです。
ピアノの技術習得用の曲集なので1曲1曲が短く、全部で153曲。6巻まであって、徐々に難しくなっていきます。序盤は「ドレミ、ファミレ」みたいに単純なので、音楽観賞用に聴くには面白くないと思います。それでも音楽のトレーニングをしてると思って聴くと、それなりに面白かったです。「模倣と倒置」とか「10度による旋律」というタイトルを見ながら聴くと、そこを意識して聴けるようになる、みたいな楽しさですね(^^)。ピアノを演奏しない人は、右手と左手がどういう動きをしているかを自分で想像しながら聴くと、「おお~これはゲーム的な面白さがある!」なんて思うかも(^^)。
そして
観賞用の音楽としてすごい事になるのは、曲が難しくなる後半。というか、3巻の後半あたりからは、すでに十分に観賞に堪える内容。半音階で作られたインベンションとか、すでにそのへんの月並みな響きの音楽より圧倒的に面白いんじゃないかと(^^)。
4巻に入ったら、もう月並みなサウンドなんて出てこないので、今の時代の人が聴くなら、
ベートーヴェンや
モーツァルト聴くよりこっちの方が好きな可能性すらあるんじゃないかなあ(あたしだよ!)。タイトルを見ながら聴くと、さらに面白さ倍増。「2つの5音音階で」とか「ぶつかり合う音」とか、音楽を印象で聴いてしまいがちな人は、構造的に聴くことが出来て、今まで聴いていた音楽とはまったく違うものが見えて「おおっ!!」となるかも。
そして、
第5巻と6巻。ここからはプロが演奏会で演奏してもお金を取っていいレベルの曲がズラリ。曲もかなり長くなって(といっても、普通のピアノ練習曲ぐらい)、バルトークワールド炸裂!制作年がバルトークが一番妥協せずに前衛色を進めてた時代のものなので、
初期のロマン派時代やアメリカ亡命後のエンターテイメントな音楽より、ミクロコスモスの方が面白い! 演奏と録音。練習曲という事を考慮してか、ホールでのおごそかな音ではなく、1音1音しっかり聴こえるぐらいの残響で、けっこうせまめの部屋でのナチュラルな響き。演奏は
、第6巻も見事に弾きこなすのはさすがプロ、すげえ。脱帽です。ちなみに山崎さんはミクロコスモス全曲の日本初演ピアニストで、ミクロコスモスを使ってのピアノ指導法の本も出している、日本のミクロコスモスの第一人者です。が!最初の方は演奏している方も退屈なのか、子どもでも間違えないような曲でリズムが揺れたり怪しいタッチがあったり(^^;)。超ムズカシいシュートを決めるくせに、1対1でゴールポストの枠外に外す、みたいな。でも音楽観賞用としてこのCDを買う人は、3集か4集あたりから聴くと思うので、まあ問題ないんじゃないかと。練習の手本として欲しい方も、音楽として観賞したい方も、どちらにもバッチリのCDと思います。バルトーク、やっぱりすごいなあ。大好きな作曲家です。
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