ジャワ島に色んな音楽がある以上、
バリ島にもケチャやガムラン以外に色んな伝統音楽があるんだろうな…みたいに思っていたところで、こんなCDが目に留まりました。そりゃ買うでしょう(^^)。これは、バリ島にある色んな音楽を集めたCDです。キングのこのシリーズにしては珍しく、現地録音でした(^^)。
1曲目
「チャプクン」は、バリ島のすぐ近くにあるロンボク島から持ち込まれた、祝い事の際に演じられるという合唱音楽でした。声で演奏するガムランというか、ケチャとガムランの合いの子というか、そんな感じの音楽。昔の日本の結婚式で、おっさんたちがみんなで佐渡おけさを歌う、みたいな感じなのかな(^^)?
2曲目
「ガンバン」はガムランの演奏形態のひとつだそうです。5曲目の
「サロン」もガムラン系。ところで、どちらも楽器の名前でもあると思うんですが、音楽の名前でもあるのかなあ。ライナーを読んでも、そのへんがはっきりしませんでした。
3曲目「ゲンゴン」と4曲目「ウングン」は、音楽の名称なのかよく分かりませんでした。どちらも口琴の名前ではあって、多人数でやるから、カエルがゲコゲコ言ってるみたい。バックの演奏は、日本のちんどん屋そっくりでした。チャンチキと笛と大太鼓ですからね(^^)。
6曲目「キドゥン」は女性合唱でした。ライナーによると、
バリ島では器楽と声楽がはっきり分かれていて、器楽はガムラン、声楽はトゥンバンと呼ばれるそうです。あれ?という事は、2曲目と5曲目のガンバンとサロンは、ガムランの中の下位分野という事なのかな?
キドゥンは、トゥンバンの中のスカル・マディヨに属する宗教歌だそうです。おお、バリの音楽ではじめてつまらないものに出会った!…宗教歌は芸能じゃないから、面白さなんて追求してないんでしょうね。

7曲目は
「アルジャ(Arja)」という恋愛歌芝居だそうで、庶民の娯楽として人気があるんだそうです。音楽は沖縄民謡とガムランが混ざったみたいな感じで、チンドン伴奏で「島唄」を笛が演奏、それがアッチェルしたりリットしたり、みたいな。
いちばん激しくなった所はアフロキューバンなみの熱さで、それが終わるといきなり展開部に!さすがはバリの芸能、高度だわ。。このアルジャという芝居、アドリブ要素が強くて、途中で役者が本気になって他の役者に殴りかかったり、芝居が終わると客同士がいつの間にか恋人になってたりするんだそうです。いや~、面白そうだな(^^)。
8~9曲目は、比較的新しい若者の生み出した大衆音楽なのかな?8曲目は
ジョゲット・ブンブン、これが強烈!ものすごいスピード感、ガムラン界のスラッシュ・メタルだ!ジョゲットは一種の模擬恋愛の舞踊なんだそうですが、バリ西部では金属打楽器を使わずに竹の打楽器だけを使って、ジョゲット・ブンブンになったそうで。「ブンブン」と呼ぶ理由がなんとなく分かるほどのうねり具合、これはやばい。。いきなり全員でフォルテになったり、いきなりピアノになったり、徐々にではなくいきなりテンポが速くなったりと、一体どうやればこんな一糸乱れぬアンサンブルが可能なのかと度肝を抜かれました。ケチャもガムランもそうですが、バリ島の合奏の統率力は、考えられないほどのレベルの高さです。
9曲目の
ジェゴックもすごかった!これは何と呼んだらいいのか…民族ミニマル・ミュージックという感じ。ジョゲット・ブンブンと同じように、竹製打楽器の大合奏なんですが、違うリズムがいくつも重なってひとつのうねりになる構造はケチャに似てます。でも、もっと野蛮でロックな感じ。 バリやインドネシアの音楽って、ロックやクラブミュージックもすごいんですよね。このCDはあくまで民族音楽やバリ産音楽に限定されていましたが、さすがは世界有数の芸能都市、ものすごかったです。西洋音楽とはまったく別ルートの音楽にこれだけレベルが高いものがあるという事を知らない人は、ぜひ!
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