
ついに来ました、ストラヴィンスキーです!!「春の祭典」です!!…って、なんでブレーズの超有名なレコードとか、名盤ひしめく大名曲の録音の中で敢えてこれなのかというと…もう自分でも説明不可能です。いちばん心震えるのがこれなんです。これが好きなんですよ。。
な~んて言ったらレビューにならないので、ちょっと分析する事に。要するに、アレンジが凄く見えやすい演奏と録音なんじゃないかと。例えば、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが、アレンジ上ではどういう関係になっていて、このCDではそれぞれがどこから聴こえてくるか…なんてところに注目するだけでも、このCDの凄さが分かろうというものです。ああ、あと、録音でいうと、それぞれの楽器のセパレートが凄く良くって、オケが全部でグチャッと鳴るのではなくて、楽器それぞれが何をやっているのかがちゃんと見える感じです。そういう意味でいうと、現代的なレコーディングという感じでしょうか。演奏が硬いと言えば硬いですが、もしかしたらエッジを利かせるためにわざとそうして、練り込んで録音に挑んだんじゃないかという気すらしてきます。実に鮮明な「春の祭典」なのです。
で、肝心の音楽です。ストラヴィンスキーは、かなり独創的な音楽を作る人です。クラシックというものをよく知らない頃、僕はクラシックといえばベートヴェンの「ジャジャジャジャン」とか、ああいうイメージが凄く強くて、どの曲を聴いても「クラシック」っぽい響きで、すごく無個性な音楽に思えていました。外人さんの顔が全部同じに見える現象に近いですね。だから、モーツァルトの曲を「これはベートーヴェンの曲だよ」と言われても信じちゃってたんじゃないかなあ。それが、ストラヴィンスキーとかの、個性の塊のような人の音楽に出会って、その考えは変わりました。ストラヴィンスキーの中で「春の祭典」は別格というか、「すげええ」という衝撃度は最大級でした。ちなみに、ストラヴィンスキーは時代によって作風を変えていくんですが、これは初期の原始主義なんて言われてた頃の代表作のひとつ。
このCDを聴いた頃というのは、ブレーズとかシュトックハウゼンとかも聴いていたので(順番が逆だろ…)、ストラヴィンスキーの「火の鳥」あたりだと、近代音楽特有の派手な色彩感は感じるんですが、その和声の響きがちょっと古典的すぎると感じたんですよね。のちに「火の鳥」は大好きな音楽のひとつになるんですが、最初に聴いた時は、とにかく「普通のクラシック」っぽく感じてしまって、つまらなかったんです。しかし、「春の祭典」はちょっと違う。響きもそうなんですが、それ以上にえらくパーカッシヴな音楽というか、もう従来のクラシックとは音楽のルール自体が違う感じ。
キング・クリムゾンを聴いているような扇情的な音楽なのです(キング・クリムゾンの曲の中には、「春の祭典」のアイデアをそのままパクったものがあります)。
大名曲なだけに、「春の祭典」をいまさら推薦するというのもナンなのですが、クラシックがつまらないという人にこそぜひ聴いてほしいと思う曲です。ロックやジャズのファンなんか、絶対に面白いと感じると思うんですよね。また、他の「春の祭典」の演奏や録音しか聴いたことが無い人には、一流とは言えない指揮者とオケのこの録音を、だまされたと思って聞いてみて欲しいと思ってしまうのです。これはいいと思うと思います(^^)。
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