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小説『完訳アンデルセン童話集1』 大畑末吉訳

Kanyaku_AnderusenDouwashu1_Oohata1.jpg 「ある母親の物語」を読みたくて買ったアンデルセン物語の第3集でしたが、これが深い読み解きを必要とする物語の数々で、宗教心を感じさせる話もあれば、マリ〇ァナでも吸いながら書いたんじゃないかというぶっとんだ話もあって、なかなか凄かった!というわけで、第1集にも手を出してみたのでした。以下、印象に残った話だけ抜粋して感想なんぞを書き残しておこうかと。

 「いたずらっ子」。大雨の日に、やさしい老詩人がずぶぬれになった子供を家に入れてあげてあげます。でもこの子が悪がきで、老詩人の心臓を矢で撃ち抜いてしまいます。このいたずらっ子は人をだますのがうまくて、みんなだまされて心臓を撃ち抜かれてしまいます。この子どもの名前はアモール(キューピッドの事)。

 「旅の道づれ」。何を言いたい話なのかは分かりませんでしたが面白かった!ある心のきれいな若者のお父さんが死んでしまいます。悲しんだ若者が父親の死体の近くで寝ると、父親が少女を連れて「お前のお嫁さんを見てごらん、世界一の美人だよ」と言います、でも目覚めると少女は消えしまいます。他に身寄りのない若者は旅立つ事にします。ある村で、死体を墓の外に放り出そうとした悪人を見て、「全財産をあげるから、その死体をお墓の中に反してあげてください」とお願いします。こうした善行を行ないながら旅を続けていると、旅に道連れが出来ます。ある大きな街に着くと、お姫様が王子を募集していました。しかし、お姫様の3つの質問に答えられないと、求婚した男は殺されます。ひどいお姫様だと思ったのですが、いざ見てみると夢の中で見たあの世界一の美人の少女でした。俄然やる気になった旅人は婚約者に立候補します。そして…ね?先が読みたくなるでしょ?面白かったです!

 「親指姫」。これは名前はきいた事がありましたが、内容を知ったのは今回が初めて。子どもの欲しい女が、魔法使いに相談します。すると種をひとつ貰い、それを育てると花の中から親指サイズの女の子が登場。そんなばかな、頭湧いているな…じゃなかったロマンチックだな。でもって、親指姫はみにくいカエルにさらわれ、カエルの息子と結婚させられそうになります。逃げ出して野ねずみに助けを求めると、野ねずみは親切にしてくれましたが、こんどはネズミのお隣さんのモグラと結婚させられそうになります。義理を欠くわけにはいかないのでげんなりしつつ運命を受け入れようとしたところで、今度はツバメに救われます。ツバメは親指姫が好きだし、親指姫もツバメが好きでしたが、今度は親指姫と同じ小さな人と出会ってめでたしめでたし。でも親指姫を救って、しかも両想いだったはずのツバメの気持ちは…。これって、向こうから勝手に幸せが飛び込んでくるシンデレラストーリーじゃなくて、昨日まで「あなたが好き」と言っていた女にわけも分からないまま振られる男の話なんじゃ…。

 「人魚姫」。これは深い話でした。人魚が人間の王子に一目ぼれ。魔女に相談すると、自分の魚のような尻尾を脚に変えてくれる薬を作ってくれるが、ひきかえに舌を切られて喋れなくなります。ついでに、その魔法は王子が自分を選ばず他の人と結婚してしまうと、自分は泡になってしまいます。結末は、自分より王子の命を選んだ人魚姫の悲劇で終わります。
 この話、アンデルセンの生命観があらわれているようで、そこに深さを感じました。人魚の世界では、「人魚は300年生きられるが死んだら泡になり、あとには何も残らない。だから、与えられた300年を楽しく暮らすのだ」「人間は私たちよりもずっと早く死ぬ。でも人間の魂は永遠で、死んだ後も魂が天に昇って行くのだ」というもの。前者が無慈悲な現実、後者はキリスト教が用意した死の恐怖を和らげる世界観。そして、人魚姫の臨死体験の描写が異様に細かいです。光が死のように冷たい泡をおだやかに照らし、自分は少しも死んだような気がせず、空中に無数のキラキラしたものが漂い…死ぬ時って、実際にこんなものなのかも。

 「皇帝の新しい着物」。タイトルは違いましたが、要するにこれは「裸の王様」でした(^^)。

 「しっかり者の錫の兵隊」。恥ずかしながら「錫」を読めませんでした(゚ω゚*)。この機会にしっかり覚えたいと思います。子どもにプレゼントされたおもちゃの兵隊が、紙で出来たダンサーに思いを寄せます。実はダンサーも兵隊が好きみたい。しかしひょんなことから兵隊は窓の外に落ち、紙の船に乗ってどぶ川を流されます。どぶの蓋の中に入るとネズミが出てきて「通行税を払え」といいますが、すずだから話せるはずもなくどんどん流されます。最後には魚に食われますが、その魚が釣られて食卓にあがると、なんとびっくり元の子供のもとへ。でも、子供のひとりが兵隊をつかんでストーブの中に放り込み、ついでに風に飛ばされたダンサーもストーブの中に入って、どちらも燃えてしまいました。最後には、ハートの形をした錫だけが残りましたとさ。…ぶっとんだ話だな(^^;)。

 「幸福の長靴」。履くと、その人が望むどの時代のどの場所にも行けるという長靴があります。これで色んな人がいろんな時代のいろんな場所に行ってしまうのですが、脱ぐと元の場所に帰ってくるという仕様。素敵だね。色んな人が長靴を履いていろんな世界を見てくるのですが、深かったのは最後のふたり。ひとりは警察署の書記係で、「詩人の心の中に入って、ああいう人になってみたいもんだ」と願います。すると、普段は感じないようなものの見え方がしてきます。植物学者が何時間も抗議してようやく説明できるような事が、そのへんにあった花を1分見ているだけで理解できます。水のしずくを見ているだけで、その中に入っている無数の生物に思いが馳せるようになります。おお、これは素晴らしい。。
 最後のひとりは大学生。大学生が「すべてのものの中で一番の幸福を」と望むと、大学生は棺の中に入り、棺の中で息を引き取ります。…いやあ、棺の中の永遠の眠りが一番の幸福という世界観がすごい。ちょっと考えさせられました。

 「野の白鳥」。11人の王子と1人の王女が幸せに暮らしていましたが、悪い魔女のお妃が来て、王女は貧乏な家に売り飛ばされ、王子たちは白鳥に変えられてしまいます。王女は兄さんたちを元の姿に戻したいと望みますが、その為には棘だらけのイラクサで鎧を11人分編まなくてはならず、またそれを編み上げるまで口をきいてはいけません。王女は棘で手から血を流しながら鎧を編み…まあこんな感じで、ファンタジーで面白かったっす(^^)。

 「パラダイスの園」。王子が森で迷子になると、年をとった女に助けられます。そして、女の4人の子供達が帰ってきます。ひとりは北風、ひとりは南風、ひとりは西風、ひとりは東風。それぞれ自分が行った世界の話をしますが、東風がパラダイスに行ってきたと話すと、王子はがぜんやる気満々。そして東風にそこまで連れて行ってもらうんですが、そこにある知恵の木の林檎にも触っちゃいけないし、仙女にキスしてもいけません。しかし王子は…
 ようするにこれ、旧約聖書のアダムとイブのいた失楽園の事ですよね。キリスト教圏ならこの話は意味が通りそうですが、日本だと子供に読んであげるにしても補足が必要だろうなあ。この話の中に、ひとつ印象的な記述がありました。それは、東風と一緒にパラダイスに向かう途中で、寒い世界を通り抜けるのですが、そこで王子が東風に行ったセリフ。「死の道を通ってパラダイスに行くんだね。」いやあ、「幸福の長靴」同様に、これは実にキリスト教的な世界観だと思いました。死の先を用意してない世界観って多いじゃないですか。でも、キリスト教では死の先に別の世界があるんですよね。

 3集は大人でもうならされる話が多かったですが、1集は子ども向けのファンタジーな童話が多かったです。含蓄のある話もあるけど、基本はいろんな世界を見たり、先が知りたくなるようなファンタジー。「しっかり者の錫の兵隊」や「裸の王様」あたりはその典型で、特に訴えたい何かを童話に託したわけではなく、人や子供が楽しんでくれるものを描いた印象です。でもこれ、子供の時に聴いたらワクワクするような話なんだろうなあ、紙の船に乗ってどぶ川を流されるのなんて、冒険談としてめっちゃくちゃワクワクしそうですし。この本、幼児が読むのは不可能。逆に中高校生にもなったらもうちょっと高度な文学を読みたいところ。じゃ、対象年齢はどれぐらいかというと…小学校中高学年、そして実は壮年期以上の大人が読む本なんじゃないかと。

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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