矢沢永吉さんのセカンドアルバム、1976年発表です!このアルバムから日本人プレイヤー演奏の日本録音になります。録音スタジオは六本木ソニースタジオと音響ハウス…おおー昔は「六ソ」とか「信ソ(信濃町ソニー)」なんていって、はなたれミュージシャンだった僕にはあこがれでした。10年ぐらい前、仕事でソニーの録音スタジオに行ったら「乃木ソ(乃木坂ソニー)」なんてスタジオになっていて、ムッチャ綺麗でビックリしました。地下3階4階に、スタジオがものすごくいっぱいあるんですよ!あれは感動したなあ。そして音響ハウス!これは銀座の近くにあったスタジオ(今もあるのかな?)で、ビルに録音スタジオがいっぱい入ってたんです。そのスタジオでピアノを弾く仕事をした時、休憩時間に共用ロビーでタバコ吸ってたら、ポンタさんと井上鑑さんが通ってビックリ。はじめて日本の産業音楽界に踏み込んだような気がして、「ポップスの仕事するなら、やっぱり東京に来ないとダメだな」なんて思ったものでした(^^)。
このアルバムから、4リズムにホーンセクション、曲によってストリングスのダビングという、CBSソニー時代の矢沢さんの音楽スタイルが出来上がります。でもまだメンバーが借り物で、演奏がやっつけ仕事的。やっぱり、スタジオ・ミュージシャンがチャッチャと済ませる演奏は既製品めいて駄目ですね(^^;)。アレンジの完成度にもばらつきがあり、方向も統一しきれてない感じ。でも、アレンジや演奏の完成度が高い曲もあり。その典型が「昼下がり」。曲自体はいいと思わないんですが編曲が素晴らしい。イントロのコードプログレッションを書くと、C#△9→B♭△9→A△9、そこからGm7→B♭で、曲頭がA7のドミナント、3小節目にようやくトニックのDmに繋がります。このソングライティング、ロックンロールバンドのベーシストのレベルじゃないでしょう。
他にいいと思ったのは、「最後の約束」と「A DAY」。この2曲は、普通に素晴らしい!ロック・ナンバーでは「気ままなロックンローラー」も「真っ赤なフィアット」もベースがヤバい…と思ったら、後藤次利さんでした。うまいわけだわ(^^)。
曲はいいのにアレンジが残念なのが、「トラベリン・バス」や「親友」。なんだよこのショボいホーンセクションにストリングスは。当時の日本のポップス界のホーン&ストリングスアレンジのレベルの低さは目もあてられません(^^;)。僕はロックバンドにホーンセクションは邪魔という考えの人間なのですが(BS&Tだけは別)、その理由はこういうダサいのをあまりに多く聴いてきたからかも。
そして、先の見えない
厳しい時代に迷う多くの若者を救ってきた、70年代の矢沢さんの素晴らしすぎる歌詞の数々!一度ドロップアウトした人にとっては、この言葉がどれだけ立ち上がる勇気になったでしょうか。
俺にも本当は分かってた 来ないお前を恨みはしない (「最後の約束」)
町に残した女を思って 黙りこくるあいつのそばでカードで遊ぶ寂しい笑顔
たまらないぜ、あのトラベリン・バスに揺られていくのは (「トラベリン・バス」)
二人ならばきっとうまくゆくさ (「A DAY」)
演奏やアレンジに完成度のばらつきがあり、方向性も定まりきっていない嫌いはあるものの、すでにCBSソニー時代の矢沢さんの音楽が固まりつつある1枚。う~ん、このアルバムはもう手放そうと思ったけど、久々に聴いたら色んなものが詰まっていてよかったなあ。そして翌年、矢沢さんはキャロルに続いてまたしても社会現象を起こすのでした。
- 関連記事
-
スポンサーサイト