
アメリカ黒人音楽のカバーばかりやっていたイギリスの
アニマルズが、本物の黒人ブルースマンのサニー・ボーイ・ウイリアムソンと共演したライブアルバムです。ところで1963年録音って、アニマルズのレコードデビュー前じゃないか!なるほど、デビュー前から評価も実力もあったバンドだったんだな。。こういうイギリスのR&Bバンドと黒人ブルースマンの共演って馬鹿に出来なくて、僕はフリートウッド・マックや
ローリング・ストーンズが本物の黒人ブルースマンと共演したレコードを聴いた事があるんですが、どれもなかなか良かったんですよ。なんでこれがレコードデビューするとショボい歌謡曲みたいになっちゃうんだろうかと思ったぐらいです。
さて、アニマルズとソニーボーイの共演と言っても、すべてが共演してるわけじゃなくって、アニマルズがメイン。アニマルズだけの演奏が半分ぐらい、ソニーボーイのどソロが数曲、残りが共演してる状態でした。でもって…
ソニー・ボーイがひとりでやってるやつが一番良かった(^^;)。歌もハーモニカも表現力がぜんぜん違う、やっぱりアコースティックって音色やデュナーミクのグラデーションが凄い。さらにサニーボーイのブルースハープはリズム面での表現もすごくて、これでは勝負にならないっす。
アニマルズも悪くはなくて、それどころか初期のスタジオ録音よりだんぜん演奏が良かったです。聴いていて思ったのは、アニマルズは黒人音楽をやるにはギターが弱いのが辛いのかも。バンドは悪くなくていいヴォーカリストも持ってるのに、ギターの差がフリートウッドマックや
ヤードバーズやチッキンシャックに勝てない所なんだな…。でもって、この時代のイギリスのバンドでは「黒くてすげえヴォーカルだ!」と言われるエリック・バードン。それは事実だと僕も思うんですが、ソニーボーイが歌うと力量差は歴然。ソニーボーイのヴォーカルをすごいと思った事はなかったんですが、こうやって並べて聴いてしまうと表現力が段違いなんですね。ブルースって形式は鬼のように単純だけど、その分だけ表現に重点が置かれた音楽なんですよね。という訳で、アニマルズに関してはソニーボーイがブルースハープなりヴォーカルで参加してくれてる演奏の方がよかったです。アニマルズだけだと並に聴こえてしまうところで、
ソニーボーイが「プオオオオオオ~~~ン!」ってハープを数小節吹くだけで「うおお~カッコいい!!」ってなるんですよ…って、やっぱりソニーボーイが凄いんだな。。
色々書きましたが、英コロムビア時代のアニマルズのレコードではこれが一番良かったです。黒人のバンドブルースはハーモニカ奏者が重要と思ってる僕ですが、白人ブルースではギタリストが重要だと痛感したレコードでもありました。ちなみに、『アニマルズはギターが弱い』という僕の感想は、次のデッカ時代で克服されるどころか、感動してしまうほどになったのでした。そうそう、このアルバムを買うならボーナストラック満載で収録時間が倍ぐらいになってるCDがオススメです(^^)。
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