
英コロムビアに2枚だけアルバムを残して、
アニマルズは英デッカに移ります。そして
デッカ時代からが、僕が大好きなアニマルズのスタート!アニマルズはデッカ時代に『Animalisms』『Animalization』というアルバムを2枚残していますが、たぶんUK盤とかUS盤とかの事情で収録曲が一部ダブってるんです。この『孤独の叫び』というアルバムは日本のテイチクが独自に編集したアルバムで、デッカ時代のアニマルズの録音をコンプリート!いやあ、なんていい仕事をするんだ、日本のテイチク素晴らしい!
若い頃の僕がこのCDに手を出した理由は、
グランド・ファンク・レイルロードがアニマルズの「Inside-Looking Out」(孤独の叫び)をカバーしていたから。
ヴァン・ヘイレンがキンクスの「You Really Gotta Me」をカバーするようなもので、「え?こんなハードな曲をビートルズ時代のバンドが書いてたの?」みたいに思って興味を惹かれたのでした。ヴァン・ヘイレンの時は、キンクスに手を伸ばしたら予想の斜め上をいってキンクスの方がカッコよく感じたんですが、さすがにグランドファンクの演奏は強力だったので、「朝日のあたる家」みたいなショボイ音で演奏していたアニマルズの方がいいなんて事はないだろうと思ったんです。ところがアニマルズの方が抜群によかった!エリック・バードンのヴォーカルが良いというならまだしも、アレンジが完璧、さらにアニマルズの弱点だと思っていたギターまでグランドファンクよりカッコよかった!いやあ、ギターもバンドも表現力がコロムビア時代とは段違いでした。
ギターの何が良くなったかというと、極端な言い方をするとコロムビア時代はコード押さえてジャカジャカばかりだったのが、デッカ時代は安易にストロークしてしまわずにヴォーカルに対するオブリを挟んでくるところ。そして、
ギターがソロ・アドリブになるとリズムが実にアウトしていて、これが絶妙の表現になっていて最高にカッコいい。こういう表現って、クラシックやジャズだと難しくて、ブルースやブルース系のロックならではのものだと思います。で、
ギターが変わるとバンドのアンサンブル自体が変わって、これでアニマルズの音楽が一気に進化したんじゃないかと。
初期の
ビートルズとか
ストーンズとかベンチャーズみたいな、低音がまるでなくって音の減衰がやたらと速い、ペチペチ音がする初期のエレキギターの音ってあるじゃないですか。あれってどうやって演奏しても音がショボいもんで恰好よくならないと思いませんか?でも、あの音でカッコいいソロを取ってしまった奇跡の演奏がいくつかあって、チェス・レコードにある本物の黒人ブルースマンの演奏を除くと、アニマルズの「孤独の叫び」と、日本のジャックスの「マリアンヌ」は凄かったんです。
「孤独の叫び」以外にも好きな曲(というより演奏)が結構あって、サビがカッコいい「炎の恋」、執拗に繰り返されるリフが黒くてヤバい「チーティング」や「モウディー」、
ニーナ・シモンとはまた違った暗さがいい「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」など、最高です。でもアニマルズなので、明るい曲ですらほの暗いですけどね。。
というわけで、初期アニマルズはこの英デッカ時代がブッチギリのかっこよさ。僕的には、
初期アニマルズはこれさえあればあとはいらない1枚です。そしてここでアニマルズはいったん解散。翌年からメンバーを一新してエリック・バードン&ジ・アニマルズとして再生するのですが、そこからのアニマルズはビートバンドだったなんて思えないぐらいにカッコいいです。その時期のアルバムに関しては、またの機会にでも!
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