There's danger on the edge of town, Ride the King's highway, baby. Weird scenes inside the gold mine, Ride the highway West. Ride the snake, Ride the snake to the lake, The ancient lake. The snake is long, seven miles, Ride the snake. He's old and his skin is cold.The West is the best, The West is the best... (街の外れは危険だ、王のハイウェイに乗れ 金鉱の異様な景色、王のハイウェイに乗って西へ向かえ 蛇に乗れ、蛇に乗って湖に行け、古代の湖に 蛇は長い、7マイル、蛇に乗れ… 蛇は年老いて、その皮膚は冷たい 西が最善だ、西が最善…)
また、1曲目"Break on through to the other side" も凄かったです。リムショットを使ったドラムのコンビネーションから、また見事なギターのサウンド。いやあ、ビートルズのようなチャカチャカしたギターでもなく、メタルミュージックのようなディストーションサウンドでもない、フェンダーのアンプから出したようなナチュラルな歪みとエコー感が暗く、そして美しすぎます。更に重なるドアーズ・サウンドの象徴であるオルガンの音!そして、またもや詩が凄まじい世界観で世界を切り抜きます。
The day destroys the night, Night divides the day Tried to run, Tried to hide Break on through to the other side... (昼は夜を破壊し、夜は昼を齎す 走れ、隠せ、あちら側へと突きぬけろ…)
なるほど、other side に突き抜ける境界にあるものとしてのドアなのか…と、当時は思ったものです。クラシックでもジャズでもポピュラー音楽でも果たせない、表沙汰にはしにくい暗部の役割を、ロックは背負えていたのだと思います。それに気づきながらも人が隠して来た、人間自身の本質的かつ闇の部分。ロックって、いつしか商業音楽の代表のような、あるいは英知も芸もない、恰好ばかりで中身の薄い二流文化の代表のような音楽になってしまいましたが、そうではない時代というものがあったと思います。その頂点にあったのが、60年代末から70年代前半だったのではないかと。ジム・モリソンという、もう詩人と言っても良いようなヴォーカルに、恐らくジャズ上りと思われるドラマー、聞いた事はありませんがもしクラシックを弾かせたら恐らくうまいんだろうなと思えて仕方がないギター、そしてドアーズ・サウンドの中心であるオルガンのレイ・マンザレク…メンバーがひとりでも替わっていたらこの音楽は出来なかったんじゃないかと思わせるようなバンドです。そして、丹念に作り込まれた詩・曲・録音、その全てが素晴らしい!これは、ロック史上のみならず、音楽史上に残る奇跡の1枚と思います。
ところが不思議な事に、これほどの作品をデビュー作品で作り上げておきながら、以降のドアーズのアルバムはみんなイマイチ。ライブは素晴らしいんですが、しかしそれも感動するのはやっぱり"Break on through" と"THE END"の2曲だったりします。ライブバンドというより、やはりこのファーストアルバムに凝縮された世界を作り上げた創造力こそがドアーズの魅力と思います。というわけで、僕はドアーズが大好きというよりも、ファーストアルバムのドアーズが大好きという事なのかもしれません。