
僕は貧乏な庶民だし、人生の時間も限られてるので、満足の行く録音や演奏に出会ったら、以降は同じ曲で「あっちの指揮者とオケの演奏はどんな感じだろう」なんて浮気をあまりしないのです。聴き比べてるひまがあったら、素晴らしかった演奏をもう1回聴いて感動したい、まだ聴いてない曲や音楽を聴きたい…みたいな。知らない国の音楽、読んでない本、観てない絵画などなどいっぱいあるのでね(^^)。
ところが、
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は苦労しました。大好きな曲なもんだから、好きな演奏は結構あるんだけど、なかなか100点にならないのです。ついつい欲が出て「もっとあそこをこうした演奏があるんじゃないか」「もっとオケが綺麗に響いた録音があるんじゃないか」みたいな。これで浮気の旅が始まってしまった…クラシックで散在する典型的なパターンですね(^^;)。なにより、切り札と思って買った
クレーメルで滑ったのが痛かった。クレーメルがまさかの1次リーグ敗退、
ミルシテインでイマイチ、アバドもマゼールもウィーンフィルも倒れたもんで、「これは変に狙わず、普通でいいんじゃなかろうか」と手を指したのがこの1枚、困ったときの
カラヤンです。交響曲4番も入ってたしね(^^)。
「ヴァイオリン協奏曲」、この盤でのヴァイオリンは
クリスチャン・フェラスさんです。この人、13歳でパリ音楽院首席卒業とかいう化け物。すげえ。そして、この人の演奏も凄かった。しかし凄すぎ、弾き過ぎでした(^^;)。どうもチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はソリストにとって相当な難曲らしく、弾けるというだけですごい事なのかも。またよく出来た協奏曲になっていて、ヴァイオリンとオケが抜きつ抜かれつですごいんですよ。もうそれで良い気がしてきました。フェラスさんとカラヤン/ベルリンフィルのこの演奏、デュナーミクの幅が広くて、すごい迫力です。有名なのは1楽章ですが、
弾きまくって一気に突進していく3楽章が強烈でした。そして、
猪突猛進の1楽章と3楽章に挟まれる事になるもんで、2楽章が美しく感じるったらありゃしません。音楽は抑揚ですね(^^)。
「交響曲第4番」。今回ウトウトしながら何度も聴いてたんですが、そのうちに「あれ、この曲って、
バロックのリトルネッロ形式じゃないけど同じフレーズが色んな調で繰り返されて出てくるんだな。もしかして和声進行から先に作ったんじゃないか?」な~んて思いはじめました。ウトウトしてたから、細かい所は聴いてないで、ザックリ聞いてたから、むしろ全体が見えやすかったのかも。寝ながら聴くのもいい事があるんだな(^^;)。そして、チャイコフスキーの音楽がポップに聴こえるのってなるほどそれなのか…と、今回思い至った次第です(^^)。もちろん、これはいい意味。クラシックの交響曲って、ハイドンの頃から何度聴いても覚えられないものって、僕の場合はいっぱいあるんです。感動した曲ですら、じゃあどういうメロディだったかというと口ずさめなかったり。この程度の音楽能力しかない僕の場合、これぐらい分かりやすい方がいいんですよ (^^)。
そうそう、2楽章のアンダンティーノは、白鳥の湖のようでした。チャイコフスキーめ、使いまわしたな( ̄ー ̄)。。
このCD、ヴァイオリン協奏曲でソリストがオケとのバランスを考えずに突っ走るのを認めるなら、もしかすると僕の不満は音だけなのかも。不満と言ったってそれほどじゃなくって、決して悪い音じゃないんです、むしろいい音かも。でもちょっとだけ空虚な感じ。高い方が強くて、低音が少なくて落ち着かないなと思ったら、ベルリンのイエス・キリスト教会の録音でした。やっぱり音楽専用に作られたホールというのは音の設計が凄いんだな…これはホールで録音して欲しかった、そうしたら一生モノの1枚になってたかも知れません。でも僕が聴いてきたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では一番なので手放しません。でもまた浮気しちゃうかも(^^;)。
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