
世の中には映画も音楽もバレエも芝居もありますが、僕は音楽をリスペクトぎみの人間です。そんな僕なので、
チャイコフスキーの事を、見事なシンフォニーもコンチェルトも描く純音楽作曲家と感じてます。でも、音楽寄りじゃない人にとってのチャイコフスキーは、バレエ音楽を書く劇伴作曲家なんじゃないかと。だって、悲愴シンフォニーやヴァイオリン協奏曲と言っても、音楽ファンですらメロディの浮かばない人が結構いそうですが、
「白鳥の湖」と言ったら、音楽を聴いてない人でもみんな知ってると思うんですよね。そんなわけで、チャイコフスキーを語るにバレエ音楽を避けるわけにはいきません。チャイコフスキーのバレエ音楽の代表作がこの「くるみ割り人形」です!
バレエはダンスの一種で、タイツ履いてポワントシューズ履いて踊る西洋のアレです。最初にロマンティック・バレエというのがあって、次にかの有名なクラシック・バレエが来ます。
クラシック・バレエには「3大バレエ」といわれる演目があり、その音楽を担当したのは3作ともチャイコフスキー。この「くるみ割り人形」は、3大バレエのひとつです。ちなみに、あとのふたつは「眠れる森の美女」と「白鳥の湖」。 バレエ音楽なので、シーンによって曲が変わっていきますが、特に有名なのは序盤に出てくる「行進曲」。でも、これは覚えやすいメロディが有名というだけで、名曲だと思ってる人なんて誰もいないんじゃないかと(*゚∀゚)アハハ。そして、これはバレエ音楽なので、あくまでバレエや物語との絡み(普通クラシック・バレエは物語の筋がある)があるので、音楽だけ取り出して聴くと冗長に感じるところも多いです。そりゃ仕方ないですよね、音楽じゃなくて物語ありきなんだから。そんな中、個人的に「ああ、これは素晴らしいな」と思ったのは、Act1 のラスト10分、前半のクライマックス部分です。CDでいうと、ディスク1の#7
「クララとくるみ割り人形」の後半の煽りと、#9
「冬の松林で」の情感の塊のようなクライマックスまで。これは素晴らしい、バレエ抜きにして音楽だけ引っこ抜いてもロマン派音楽の交響曲のクライマックスと言っていいほどの見事さ、大名曲だと思います。
そして、
くるみ割り人形らしいと感じるのは、これも有名曲の第2幕「花のワルツ」と、以降に続くバレエと見せ場パ・ド・ドゥの音楽でした。くるみ割り人形は、ある王子が誕生した時に、くるみ割り人形に変えられてしまった王子と、その人形を手にした少女の話。メルヘンチックなんですよね。そういう子どもの夢の世界のようなファンタジーを感じるのが、第2幕終盤のここでした。ハリー・ポッターの音楽で、チェレスタがキンコンなってる魔法の世界の不思議な感じな曲がありますが、あれはくるみ割り人形の第2幕のこのへんの曲です(たぶん…というのは、ハリーポッターをちゃんと見てない^^;)。ちなみに、
パ・ド・ドゥというのは、バレエの中で男と女がふたりで踊る、クラシック・バレエの最大の見せ場の事です。
ラトル&ベルリンフィルの演奏が素晴らしかったし、録音もすごくよかった!ラトル時代のベルリンフィルって、評判イマイチだし、時として僕もそう思っちゃう時がありますが、このCDはイマイチと思う所なんてまるでなし、それどころか「冬の松林で」みたいに「うおおお~すげええ」という所が随所にあって、見事な演奏でした。いや~これは僕の中で名演名録音、ケチのつけようがない完璧な名盤です(^^)。
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