チャイコフスキーの歌曲集です!ロシア歌曲をあまり聴いた事がなかったので手にしたCDでした。チャイコフスキーの音楽で面白くないと思ったものに出会った事がないですから、歌曲は有名じゃないけど内容は良いに決まってると思ったものでね( ̄ー ̄)。
いつもはクールな
アシュケナージの演奏がかなりエスプレッシーヴォな事もあるのかも知れませんが、すごいロマンチックじゃないか!国民楽派とかロシアとか関係ないな(「子守歌」という曲なんかはロシア民謡っぽかったけど)。歌曲と言えば
シューベルトですが、シューベルトの頃はロマン派もまだまだ初期で、シンプルでどこか朴訥。でも、ロマン派も後期になると、歌曲もとんでもなく情熱的な音の使い方がされるようになって、洗練もされてるし、しかも高度になってるという印象を持ってるんですが(
R.シュトラウスとか)、チャイコフスキーの歌曲も同様の印象でした。しかもチャイコフスキーは稀代のメロディメーカーですからね、いいものにならないはずがな(^^)。ハイネ詩「何故?」や、ゲーテ詩の有名な「いや、ただあこがれを知る人だけが」、それにチャイコフスキーの友人であるアプーフチン「かくも早く忘れるとは」なんて、どれもたった3分ほどの曲なのにすごく劇的なクライマックスを迎えて、グッと来てしまいました。ロマン派の音楽が心に刺さる時って、この劇性による所も少なくないと思ってますが、これは見事でした。それが劇的に聴こえるぐらいに、アシュケナージの演奏が素晴らしかったという事かな?
上記3曲以外でいいと思った曲は、農奴出身のウクライナの詩人シェフチェンコ詩「何故に?」(さっきのハイネの詩とは同名異曲)、これはインター部分でのピアノのメロが素晴らしかったです。
詩で心動かされたのは、ハイネ「何故?」の冒頭「何故、春に色あせたのだろう。美しく咲き誇っていたあの薔薇は」というところ。薔薇は比喩ですよね、切ない…。あ、そうそう、詩は、ロシア詩とは限らないんですがロシア語に翻訳されたものを使っていました。ゲーテやハイネの詩がロシア語になってる、みたいな。ロシアだと、トルストイの登場回数が多かったです。
このCDの解説によると、
ロシア歌曲は、ダルゴムイシスキー、ムソグルスキー、ショスタコーヴィチあたりが書いた朗誦のスタイルをとるリアリズム歌曲が有名なんだそうです。でもこのCDに入っていたチャイコフスキー歌曲は、
ロシア民謡っぽいのを除けばほとんどロマン派歌曲。しかもそれが素晴らしいからロシアはすごいと思ってしまいます。地理的に遅れてきたロマン派なだけに、ロマン派の極致ってやっぱりロシアだと思ってしまうなあ。まさかこんなに良いとは思いませんでした、チャイコフスキーばんざい!
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