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『モンテヴェルディ:歌劇《ポッペーアの戴冠》 ガーディナー指揮、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ』

Monteverdi_Poppea no taikan_Gardiner 生まれたばかりのオペラの世界で天才的な才能を発揮したモンテヴェルディですが、彼のオペラの楽譜が残っているのは3曲だけなんだそうです。ひとつ前に紹介した「オルフェオ」、「ウリッセの帰郷」、そして最後に発表されたのがこの「ポッペーアの戴冠」で、モンテヴェルディが76歳で他界する1643年に初演されたそうです。

 「オルフェオ」が神話を題材にした高尚で寓話的な物語だったのにたいして、「ポッペーアの戴冠」は背徳的でドロドロな人間の不条理劇です。領主オットーネは、辺境勤務を終えて帰ってみると皇帝ネローネの兵が寝ているので、恋するポッペーアが裏切ったのではないかと疑います。予想は的中、ポッペーアは時の皇帝ネローネとベッドでエロい一夜を過ごしていました(- -*)。ネローネは皇妃オッターヴィアと別れてポッペーアと一緒になる事を決意しますが、ネローネの師である哲学者セネカが「なに言ってんだこのエロ皇帝」とそれを諌めます。皇帝と一緒になりたいポッペーアは、セネカを殺すように皇帝を煽り、あわれセネカは自害。ポッペーアもネローネも最低のクズ野郎です。一方、皇帝と別れたくないオッターヴィアは、ポッペーア暗殺をオットーネにたきつけます…あ~あ、ドロドロです(^^;)。そしてこの物語、ダブル不倫の皇帝ネローネ&ポッペーアのクズカップルが愛を成就して富も権力も独占、一方まっとうな哲学者セネカは死に、不倫されたオットーネとオッターヴィアは損害賠償金を取るどころか悲劇の結末を迎えます。モンテヴェルディじいさん、なんで死の間際になってこんな背徳的なオペラの完成に執念を燃やしたんでしょうか。でもたしかに、今のハリウッド映画やテレビドラマを見るなら何倍も面白いストーリーとは言えるかも。まあでも、こんな不条理劇が成立したのは、実際のネロ皇帝の悲劇的な結末をイタリア人ならみな知っているから…なんでしょうね。

 「オルフェオ」のスコアは、当時にしてはかなり緻密に書かれたものだそうですが、「ポッペーアの戴冠」はモンテヴェルディ自身の書いたスコアが残っておらず、さらに残っている写譜がふたつあって、ついでに通奏低音なので色々なリアリゼーションがありえちゃうわけで、指揮者や楽団によって音楽にかなりの差があるそうです。でも貧乏な僕はポッペーアの演奏はこれしか聴いた事がないので、比較してあれこれいう事が出来ません(T_T)。その上で言うと、この演奏に不満に思った所なんて一点もなし、それどころかギターやチェンバロに任された和音の音色的な美しさは、古典派以降の管弦楽ではとうてい聴く事の出来ないもので、驚きました。アリア部分なんて、ソプラノとギターだけだったりするんですが、そんなオペラ、僕は聴いた事がありませんし、しかもこれが恐ろしく美しい。このオペラもまた劇の間にリトルネッロとシンフォニアが挟まれて形が整えられていますが、ガーディナーは他の指揮者がやったような過度な演出を控えて、恐らくモンテヴェルディが意図したと思われる器楽が歌声部に食いこまない形を忠実に再現したんだそうです。こうするとリトルネッロ&シンフォニア部分と劇部分の対比が鮮やかになってめっちゃ見晴らしがよくなると感じます。
 もしかすると僕がオペラ作家で一番好きなのは、ヴェルディでもワーグナーでもなくモンテヴェルディかもしれません。音楽部分だけ見れば、ガーディナーがアレンジした「ポッペーアの戴冠」も「オルフェオ」に劣らぬ大傑作。ただストーリーが僕には不条理すぎでした、かわいそうなオットーネ(・_・、)。。だいたい、このオペラで最初に出てくるセリフが「身をお隠し、美徳よ、すでに惨めに落ちぶれて信じるものとてない神よ」ですし。。

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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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