ヤナーチェク以外の近現代のチェコの国民楽派作曲家といえば、
マルティヌーが思い浮かびます。でもマルティヌーは近現代で随一の多作家でもあり(そんなにマルティヌーに傾倒してない僕でもディスク5枚も持ってる!)、時代によって作風も違うようなので、簡単に国民楽派と言ってはいけない人かも知れません。そんなマルティヌーですが、音大時代の先生が「
マルティヌーの作品をひとつだけ聴くなら二重協奏曲」と教えてくれて、それで買った一枚です。コンロンという指揮者さん、僕は知らなかったのですが、メトロポリタン歌劇場やケルン歌劇場の音楽監督を務めた事がある人だそうですので、歌劇に優れた指揮者なのかも。
チェコ出身とはいえ、マルティヌーはパリに長く住んでいた事があって(3カ月の予定が17年間!居心地が良かったんでしょうね^^)、
ナチのブラックリストにさえ載らなければアメリカに亡命せずそのままパリに居住し続けたかったらしいです。
認められたのもパリなので、半分フランス音楽と見做されているのかも。
「二重協奏曲」は1938年作曲、「2つの弦楽合奏、ピアノとティンパニのための」という副題がついています。3楽章制で、弦楽とピアノが協奏関係になるところもあれば、ふたつのオケがカノン風に絡むところもありました。作風としてはけっこう古典的というか新古典的というか。そして曲想が…けっこう暗いです、特に第2~3楽章。3楽章なんて、戦争の不穏さや恐怖そのもののように聴こえてしまいました。どうもこの曲が書かれたのが、ナチがチェコを併合する前後に書かれたらしいです。なるほど、そういう事でナチのブラックリストに入ってしまったのか…すごい時代でしたね、怖い。
「弦楽四重奏とオーケストラのための協奏曲」は1931年作曲で、これも3楽章制。マルティヌーはバロックのコンチェルト・グロッソの形式に傾倒した作品をいくつも書いたらしいんですが、これはその最初期のもので、プロ・アルテ弦楽四重奏団からの委嘱作だそうです。1楽章は躁状態のような狂ったようなバロック!妙な明るさが逆に怖い(^^;)。
2楽章は、まるで新ウィーン楽派のような際どい緩徐楽章ですが、これは好きだなあ。弦カル部分の精緻なスコアも耳に残った、若い人の書きそうな元気いっぱいの面白い作品でした。
「3つのリチェルカーレ」は、いくつかの楽器グループがアンサンブルするという内容の曲で、すぐに思い浮かべたのはヒンデミットの室内音楽。あっちほど響きが前衛的ではなく、むしろ古典的だとすら感じましたが、
聴きどころは構造。よくもまあこんな曲が書けるなあ、僕は構造がぜんぜん追えませんでした(゚∀゚*)アハハ。。ある意味で、2重協奏曲のひな形なのかな?
このCDに関して言えば、国民楽派というより
新古典派の音楽のようでした。響きが伝統的すぎる嫌いがあって個人的な趣味ではありませんでしたが、
構造がすごい。プロフェッショナルな作曲家としては信じがたいほどに優秀な人と感じました(^^)。
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