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Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

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『マルチヌー:ピアノ協奏曲全集 エミル・ライフネル(p)、ビエロフラーヴェク指揮、チェコフィルハーモニー管弦楽団』

Martinu_Concertos for Piano and Orchestra_Leichner_CzechPhil 前回は「マルティヌー」、今回は「マルチヌー」と書いてますが、書き方は統一されてないみたいです。僕が読んできた本では「マルティヌー」が多かったですが、チェコ語の発音では「マルチヌー」の方が近いそうです。そしてこのCDは、マルティヌーのピアノ協奏曲全集!全集ものを買う時って勇気がいりますが、買うとやっぱり満足感があっていいですね(^^)。マルティヌーはピアノ協奏曲をパリに移住した時から死ぬ1年半前まで書いたので、この全集を聴くと色々と作風を変えていったマルティヌーの変化を感じる事が出来て良かったです。

 まず、ピアニストのエミル・ライフネルという人は、チェコ人で、プラハ音楽院の教授にしてマルティヌー・ピアノ四重奏団の主宰者で、マルティヌーのピアノ全作品をほとんど演奏しているのだそうです。地元の名ピアニストという感じかな?ソフトなタッチで、上品なピアノを弾く人だと感じました。

 「ピアノ協奏曲第1番」「2番」は1925年と1934年作曲。マルティヌーの生年が1890年なので、35~44歳の時に書かれた事になります。いいなあ、技術も知識もついて、いちばん生き生きとしている頃ですよね。。それが音楽にあらわれているようで、後ろ向きな所がまるでなし、生気と幸福感に満ちあふれている感じの曲でした!どちらも3楽章形式で、あくまで古典派の様式をベースにしたロマン派音楽という感じ。すべての楽章が暗くなく爽やか、天気のいい日の大草原を見ているかのよう(^^)。明るさや爽やかさがマルティヌーのベースにある感覚なのかな?

 「ピアノ小協奏曲」は1938年作曲。第2次世界大戦がすぐそこに迫っている時期ですが、これは反ナチのユダヤ系ピアニストからの委嘱作なんだそう。なるほど、こういう作曲をしたからナチに目をつけられて亡命する事になったんですね。こうした経緯も影響してか、悲壮感も不穏な雰囲気も感じる音楽でした。1楽章の出だしがもうね。3楽章なんてもっとね(^^;)。当時のチェコの状況を考えるに、本当に戦争前夜の恐怖があったのかも。音楽の作りとしては、この辺まで来ると新古典っぽいでしょうか。大らかさや爽やかさを感じるストラヴィンスキーみたい…メチャクチャ言ってますね、僕(^^;)。素晴らしかったのはレントの第2楽章。いやあ、これは物悲しくも美しい。。始まり方がものすごく月光ソナタですが(^^;)、後半になってようやく出てくるオケがクライマックスを作っていき、主題が渡されていく構造も見事、これはよかった!

 「ピアノ協奏曲第3番」は戦争中に書かれ48年に完成。このあたりから「あ、作曲家の個性がはっきり出てきたのかな?」と感じました。もちろん作風はどんな曲だろうが常に作曲家の個性ですが、はっきりと自分の語法がにじみ出てきたのはこの辺から、みたいな。作曲の傾向は新古典、音楽は爽やかで明るい所がベースにあると感じるのは相変わらずですが、そこに深さが入ってきたように感じました。2楽章の冒頭はいいなあ。

 「ピアノ協奏曲第4番」は56年完成。2楽章制で、これはもうはっきりと新古典主義。作曲家の個性が音響構造自体に入り込んでる感じ。ピアノコンチェルト1~2番までは「このシーンはこういう絵の具で」みたいに、既製品のパッチみたいに思わなくもなかったんですが、ここに来ると絵の具自体を自分で作ってる感じ。マルティヌーのピアノ協奏曲の中では一番オリジナリティが強く、響きも構造もいちばん独特だと思いました。大きな所よりも小楽節単位での構造の創造性に耳を奪われました、これは素晴らしいな、真面目に分析したらいろんな発見が出来そうです(メンドクサイからしないけど^^;)。これだけ複雑にして難解ではなくなお爽やかに響くのは、名人芸と言っていいんじゃないかと。マルティヌーのピアノ・コンチェルトを1曲だけ聴くならこれだな。。

 「ピアノ協奏曲第5番」は57~58年に書かれたマルティヌー最後のピアノ協奏曲。これは1~2番のころに作風が戻った印象。僕自身がそうなんですが、20歳前までの若いころにいいと思ったものって、それ以降の善悪の基準になるのかも。または、晩年が近づいて若いころを思い出してこういうのを書いたのかな?

 というわけで、ピアノ協奏曲を聴く限り、国民楽派から現代音楽にかけての人だと思っていたマルティヌーさんは、古典派ベースのロマン派から新古典へと進んだ人のように聴こえました。この区分けだって、要するに「構造を重視する人で、好きな構造が安定した古典派時代の構造だった」といひと言で済むかも。多作家という事は、毎度クリエイティブな事をするわけでなく、ひとつの様式のバリエーションを作っているからいっぱい作れる、という事なのかも。

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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