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書籍『発声法の手引』 狩野了衛

Hasseihou no Tebiki_KanooRyouei ちょっと前に、あるヴォーカリストさんに曲を提供しまして、その流れでその曲の簡単な歌唱指導をする事になりました。作曲家が歌唱指導する事ってたまにありますが、あくまでメロディを伝える程度で、僕もそれぐらいのつもりでした。それって、ピッチやリズムやブレス位置の指摘程度のもので、それ以上は越権行為でもあるし、だいたい発声もろくに勉強した事もない僕に指導なんて出来るわけないっす(^^;)。でも今回のヴォーカリストさんはそういう訳に行かなかったんです。ピッチもリズムも発音(ちゃんとアイウエオになってるかとか、その程度の事なんですが)も、何回指摘しても直らないので、どうやれば治るのか、何が障害になってそれが出来ないのかまで入り込む必要が出てしまったのです。
 で、指導しているとだんだん分かってくる事があって、高低とか音を伸ばすとかだけでも、姿勢とか呼吸法とか色んな事が関わってるんだな…みたいな。これは発声法からやらないと修正出来ないんじゃないかと思いまして、発声法に関する本を何冊か読みました。7冊かな?これはその中の一冊です。ちゃんと学びたいと思ったので、ポップス系ではなく、クラシックの声楽を学んだ指導者か、ジャズならバークリーでメソッド化されたもの、そして初心者の僕にも分かりやすそうなものから選んだわけです。教科書を間違えるのがもっともやってはいけない事で、ここを誤るといくらやったってうまくなりませんものね。

 おお~これは分かりやすい、そしてものすごく的確!自分でやってみながら読んだんですが、こんなに違うものなのか、驚くほど効果てきめん…まあ、すぐに成果が出るという事は、自分がどれだけダメな歌い方をしていたかという事なんでしょうけど(^^;)。。

 内容は基礎に重点が置かれていて、以下のような構成でした。僕的には6章は不要なので、大事だったのは1~5章、特に2章がものすごく大事でした!

第1章 姿勢
第2章 呼吸法
第3章 構音(調音)
第4章 発声の方法
第5章 技術的な各種唱法
第6章 変声期の実態とこの時期の歌唱指導

 1章の姿勢。胸より上は完全に脱力して、下半身に乗せるような形でまっすぐ立つみたいです。で、目線は自分の目より少し上ぐらいが正解。当たり前と思うでしょ?でも、これが実際にやってみると簡単でない、舐めちゃダメ。出来る人には簡単なんでしょうが、ヴォーカリストでも出来る人は多くないのだろうし、つまりほとんどの人はこのベストポジションをキープするために何年も練習を続けるんでしょうね。。で、脱力しての姿勢が出来ないと、次の呼吸法が出来ないのです。いやあ、やっぱり教科書は読むべきだな、我流で太刀打ちできるものじゃないと1章にして痛感(^^;)>。

 2章の呼吸法、これが白眉!呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸がありますが、歌を歌う時には腹式呼吸で歌うという事。この腹式呼吸、シロウトの僕には出来てるんだか出来てないんだか自分で判断するのがとっても難しかったです。実際、腹式呼吸で歌えてない人は、ポップスやロックだとそれなりにいるんでしょうね。もちろん、ポピュラーなら腹式じゃないとダメという訳でもないんでしょうけど、僕が良いと思うヴォーカリストで胸式の人っていない気がするので、胸式だとやっぱり最初からある程度ハンデを背負うのかも。腹式って、はじめは腹や胃も動いてしまうけど(今回のヴォーカリストさんがそうでした)、練習しているうちに横隔膜そのものをコントロールできるようになるそうです。そして横隔膜を下げて支えを作り、横隔膜より上の胸や顔はとにかく脱力。いやあ、「支えを作る」という言葉は声楽の世界でよく聴きますが、実際にやってみて初めて何となく分かった気になれました。横隔膜で支えを作るという事なんですね。横隔膜を下げた状態でその部分だけ少し力を残し、ここで呼吸を制御する…なるほど、理屈は分かったしどうするかも何となくわかったけど、これがけっこう難しい。横隔膜が通常時より上に来た状態で歌うようでは全然ダメ、常に通常時より下に下げた状態で歌うのだそうです。
 横隔膜の下げ方は2種類あって、ひとつは下腹部に押し下げる方法、もうひとつは横隔膜を両脇腹の下に抱え込む形にする方法。どっちでも良いそうなんですが、自分では2つ目はどうやればそうできるか分かりませんでした(^^;)。。
 もうひとつ大事なことは、腹式呼吸で吸い込んだ息を留めておくことだそうです。
 腹式呼吸の具体的な練習方法。
 1. 横隔膜を中心に胴回り一帯に充分吸い込む
 2. 横隔膜を支えたまま呼気をいったん止める
 3. 上下の歯の隙間より「ス…」という音を、ムラのないように30~40秒をかけて出す。


 第3章の構音(調音)。まずは、のどの開き方。開くのが理想ですが、開きすぎはダメ(共鳴を失う)。じゃあどこがちょうど良いかというと、笑う時やあくびの時ぐらいがちょうどいいんだそうです。で、口腔(こうくう)と鼻腔(びくう)の両方に、腹から来る呼気を通すという事ですね。で、首や舌根に力が入ると、呼気が通りきらずに音がこもるので注意。こういうのが、読んでると何でもないんですが、ヴォーカルのレッスンをやっていて、歌い手さんの声が鼻づまりになる事があって、その原因はここなんじゃないかと思ったので、当たり前と思っても出来てない人は多そう。AKB なんてみんなこれですしね。。
 アイウエオ、この口の形をしっかり作って歌う。これも当たり前のようで、歌い手さんは「ア」が「エ」に近くて、口が横に広がるんです。これも当たり前のようで、ヴォーカルさんは何回指摘しても直せませんでした。基礎って大事だ。。

 第4章の発声の方法。これも「ム」と「ン」の発音方法とか、ものすごく勉強になりましたが、特に自分の勉強になったのは声区(声のレジスター)のところ。声区は、胸声、頭声、中声、ファルセット、地声、の5つ。頭声も言葉は知っていましたが胸声と何が違うのかぜんぜん知りませんでしたが、頭を響かせた声。頭声を作るには笑顔にして歌うと出しやすくなるそう…マジか?(ただ今実践中…)おお~本当だ、確かに胸じゃなくて頭を響かせてる感じがする!で、胸声~中声~頭声というのは明確に境界を作のではなく、低い音から高い音までを発音して境界を滑らかにしていく訓練をするんだそうです。ファルセットは西洋でいうと上頭声の事、地声は声帯自体が力で振動されている状態の発声だそうです。いやあ、まじで僕は何にも知らないんだなあ。理解が正しいかどうかは分からないけど、自分でやってみるとなんとなく分かった気がする。
 で、腹式呼吸の呼気で振動させられた声帯が諸共鳴腔に直行できるフォームを作る、と。で、「声帯の振動を自然にするために首筋や舌根に力を入れては絶対にダメ」、「横隔膜の支えで共鳴腔をひろげてやる」みたいな。

 5章は技術的な各種唱法。まずはピアノとフォルテ。この技術が簡単そうで一番難しいんだそうで。ピアノでも喉を詰めたり共鳴腔を縮小してはダメで、フォルテと同じように共鳴腔を開いておくんだそうです。マジか…。フォルテは、喉頭部や胸部を締め付けるのは論外、横隔膜から鼻腔までを一体として共鳴を目指すんだそうです。
 トリル。喉元の力をぬいて、うがいの要領で口蓋垂を震わせながら発生。ええ~そうやるの?!ちょっとやってみよう…なるほど~!!うまくはできませんでしたが、どうやるのかはじめて知った!!いずれにせよ、僕がカラオケで歌ってる歌い方はすべて間違いじゃないか…。
 メザ・ヴォーチェ。ごめんなさい、これだけは読んでも分からなかったです(^^;)。こういう歌唱法があるんですね、音楽ってどの分野も奥が深い。。

 この本が扱っているのは発声法の基礎の基礎だと思うんですが、それがいい加減じゃなくてきちんと根拠をもって書かれているのが素晴らしかったです。そして、実際にやってみると、すぐにはうまく出来なかったけど、なるほどこうやって歌うものなのかとちょっと感動。で、出来ない時は難しい事をやるんじゃなくて、基礎の何かが出来てないんでしょう、だからここがきちんとした教本がある事が重要なのかな、と。今回、発声法の本を7冊ほど読んだんですが、歌を始める人の最初の一冊として良さそうだったのはこの本でした!この本、ジャンル問わず使えると思います。超おススメ!

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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