
僕が歌い手さんへのアドバイスのために読んでみた本の中で一番高度なものが、これと『
うまく歌えるからだのつかいかた
』でした。たぶん、すごく良い本なんだろうと思います。ただ、この本は本格的に声楽を学んでいる人(しかも恐らく中級以上)のための本だったので、僕みたいな初心者にはハードルが高いかも。でも、声楽のレッスンってこんな感じなんだろうな、というのを垣間見れただけでも貴重な経験でした。
著者のエミー・ジットナーさんという方ですが、昔の音楽教師みたいに、けっこう癖が強いです。例えば、最初に語られているのは人間形成についてですし、「そうする事で宇宙に開かれる」みたいな表現も…こういう音楽教師の方って、僕も人生で何人も出会いましたが、先生が伝えようとしている事を理解するのが本当に難しかった。。でも、若い人がこういうのを「不思議ちゃんだな」と馬鹿にして読むのをやめちゃったらそこでオシマイ、だから先生が本当にただの不思議ちゃんなのか、それとも本当に素晴らしい人なのかを見極めたうえで、後者なら何とか理解しないといけない。この本を読む人って、きっと声楽で何らかの行き詰まりを覚えた人が読むのだろうから、先生がどういう事を言いたいのかを理解しようとする姿勢や能力が問われるんじゃないかな(^^;)。
こういう感覚的というか主観的な表現になってしまうのって、身体技術的なものではどうしても仕方がないと思うんですよね。たとえば「横隔膜を下げる」とか「鼻腔を広く保つ」といっても、どちらも目に見えるものではないので、体性感覚としてどんなイメージや感触なのかを伝えるしかない、みたいな。あくまで僕の印象ですが、この人がイメージして使ってる言葉って、実際にそれを出来た人の言葉なんだろうな、とは感じました。
で、本題。この本、声楽のいろんな発声に対してかなり具体的な対処を書いているんですが、ベースには「自然な体勢で」とか「力を抜いて」とか、あくまで基礎がメインになっているように感じました。それを守った上で、それぞれの対処について書いてある、みたいな。
で、
それぞれの指導ですが、ムチャクチャ実践的です。たとえば、
コロラトゥーラは「初めの音は十分に保つ」、「コロラトゥーラが続いている間は口の構えはずっと同じ」とか。僕は声楽のシロウトなのでぜんぜん知らないんですが、「へえ」って思いました。こういうのって、うまくできないで悩んでいる実際のプレイヤーにはものすごいヒントになると思うんですよね。声楽じゃないけど、僕はピアノでそういう体験を何度も何度もしたので、なんとなく分かる気がします。
で、
具体的な指導は、「高い位置による発声法」、「声の矯正」、「母音を均質化する訓練」、「頭部共鳴腔を広げる練習」、「フラジオを得る練習」、「高音を得るための練習」、「コロラトゥーラのための練習法」など。ね?初心者やポピュラーではちょっと高度すぎるでしょ?でも、クラシックの声楽家にとってはまさにここ!ってところのアドバイスなのかも。そして、すごく実践的なアドバイスだらけでした。しかも、
アドバイスは実践的だけど我流じゃなくて、ちゃんと科学的なものと参照しながら「科学的にはこうらしいけど、イメージとしてはこんな感じで…」みたいになってるのが素晴らしかったです。
エミー・ジットナーさんという方は、ウィーン国立音大などでも教鞭をとっていた優秀な指導者らしいし、この本も海外では名著と言われているんだそうです。声楽家じゃない僕が評価出来るようなレベルにはない高度な内容でしたが、クラシックの歌手で何か悩んでいる人には、読んでみると大きなヒントになるかもしれない本なんだろうな、と思いました。いやあ、まじで高度だった(^^;)>。。
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