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『バレンボイム他 / メシアン: 世の終わりのための四重奏曲』

Messiaen_Yonoowarino.jpg 子どもの頃、音楽一家に育ったわけでもピアノを習っていたわけでもなかった僕にとって、音楽家というのは畏敬の対象でした。野球やサッカーなら誰でも通り一遍は真似できるけど、楽器の演奏って、多少の努力程度ではちょっと真似できないですよね。で、音楽は大好きだったんですが、それを自分がやるなんてとても無理…そんな感じだったんです。それが、高校ぐらいになると本気で音大に行きたいと望むようになって、楽理や演奏を必死に学んで、小遣いも全部音楽書やCDに注ぎ込んで。そんな頃、とにかく衝撃の連続だったのが、フリージャズと現代音楽。こんなに凄い音楽があるのか…驚きの連続でした。まあ、驚くだけなら外連味だらけの音楽なんかいくらでもあるんですが、こと現代音楽に関しては正真正銘のホンモノと思えるものが結構あって、心から感銘を受けたものもありました。で、この『世の終わりの為の四重奏曲』というのは、そんな高校生の頃、あまりの素晴らしさに心を奪われ、何十回も聴き、楽譜も買ってきて研究して、そして作曲家であるメシアンの作曲技法を学びたいと思って以降の自分の進路選択にまで影響したという、僕にとっては至上の音楽。

 「世の終わりの為の四重奏曲」…タイトルからしてスゴイですが、クラシックジャーナルという本に連載されていたこの曲のための連載記事によると、直訳は「時の終わりに」ぐらいの感じらしいです。で、これは作曲家であるメシアンが、ナチ政権下のドイツに捕えられて強制収容所にいた時に、その収容所内で他の演奏家と出会い、そこで曲を書いて自作自演したとの事。凄い時代背景、これだけの状況であれば死もあり得るという所からの作曲行為になるでしょうね。。この曲、言葉で表現すれば従来の西洋音楽では想像できないような響き、透明感というか、冷たい感じというか、これがもの凄い。もう少し専門的に言えば、移調の限られた旋法とか、そこから引き出されてくる和声とか、そういうメシアン的な語法で出来てます。これって、かなり厳密にシステム化された技法で、「こういう曲想で音楽を作りたいから、今回はこの語法で行ってみよう」とか、そういうのではなくって、技法自体を作り上げて、そこから音楽を引きだしてくる。近現代に限って言えば、そして西洋の大学文化という音楽の最先端を行く作曲あという立場の人であってみれば、これこそが本当の作曲なのでしょう。僅かな調的重力をしか伴うことなく転調を繰り返しながら紡がれていく無限旋律的な曲とか…う~ん、「時の終わりに」というタイトルの意味するところが、何となく分かる気がします。

 この音楽に出会う事で、僕は人生自体が大きく変わってしまいました。メシアンの音楽語法なんて、音大の時の作曲課程での僕の専門になりましたし。僕が感銘を受けたのは、まずはそのリクツではなくってそのサウンドや音響構造に感銘を受けたからでした。メシアンって、リズムまでメソッド化して体系化しているんですが、こういうシステムそれそのものの中から、心を動かされるものを引き出してくるのが物凄くうまい作曲家と思うんです。現代音楽に関して言えば、リクツさえ通っていれば、心が動かされるかどうかなんて問題じゃない、という作曲家もいます。でも、僕にとってはそれは音楽じゃなくって、それでいいんだったら数学を追求した方がよほど面白いと思うんですよね。「構造が素晴らしい」という人だって、その構造がどのように素晴らしいかというのを判断するときに感情が関わることが無いという事は、ありえないと思うんですよ。人間と音楽という関係のうちでは、構造と感動というのは完全に別のものじゃなくって、コインの裏表というか、無関係でいる事ができない、重なる部分を含んでいるものだと思うのです。ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノ…この独創的な編成の中で、聞いていて鳥肌が立つような澄み切った音楽が鳴り続けます。高校生の時から中年になった今まで、ずっと心を震わせ続けている音楽です。必聴!!




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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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