
日本のロック黎明期の名グルーブ、ブルース・クリエイションのデビュー作、1969年発表です!60年代の日本でこれをやってたのか。
フラワー・トラべリン・バンドだってデビューは70年だし、
頭脳警察は72年、
外道は73年。グループサウンズの残党以外では、
はっぴいえんどに並ぶ日本最古参のロックバンドじゃないでしょうか。
ブルクリのデビュー作の特徴は3つ。
野太いブルースロック、ギターの竹田和夫さんの弾きまくりギター、布谷文夫(ぬのやふみお)さんのすっげえだみ声ヴォーカル、この3つじゃないかと。若い頃にはじめて聴いた時はムッチャしびれました。
なんという破壊力、古い日本のロックって聴いてなかったけど、こんなにすごかったのか…みたいな。
ロックといっても、サニー・ボーイ・ウイリアムソンやハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズのナンバーなど、すべてブルースのカバー曲です。ただ、その演奏がもろにシカゴブルースかというとそうじゃなくて、フリーみたいなロック色の強いホワイト・ブルースって感じ。ギターがワウやファズを使っていて、しかも弾きまくるもんだから、ポール・コゾフっぽく感じたんでしょうね。だから、ブルース「ロック」と言いたくなっちゃいます。
でも、洗練されずに泥臭く感じるのは、布谷さんのヴォーカルのためじゃないかと。いい意味でいうと、布谷さんがいなかったら単なる洋楽コピーバンドに過ぎなかったのが、日本的な泥臭さがある布谷さんがいるから、全部ブルースのカバーのこのバンドが「日本のロック」に聴こえるのかも。
僕は、先に布谷さんのいたブルースロックバンド「DEW」を聴いていまして、そのだみ声にしびれて、このアルバムにたどり着いたんです。だから、ブルクリのお目当ては「すげえ」という噂だった竹田和夫さんじゃなくて、布谷さんだったんです。やっぱりカッコよかったんですが、ダメだったのは、このアルバムは全部英語だったこと。発音が思いっきり日本語なんです(^^;)。僕は、英語を話せないレベルなら、英語で歌うべきじゃないと昔から思ってます。カッコつけて英語を使おうとすればするほどカッコ悪く感じちゃう、田舎ものがアメリカに憧れてるみたいに聴こえてしまって(^^;)。ブルクリを抜けてDEWを結成した布谷さんが、ほとんどブルクリと同じような音楽をやりながら、詞を日本語にしたのは正解だったと思います。
若い頃に聴いた時は、「うおお!」と思ったもんですが、いま聴くとさすがにあの頃の衝撃は薄れて感じました。初恋の人に30年ぶりにあったら意外と普通だった、みたいな。でも、ビートルズみたいな音楽ばかりやっていたグループサウンズの時代に、日本でこういうロックをやるグループが出てきたのは、大きな転換点だったんじゃないかと。感動が薄れたとはいえ、以降の数々の日本のロックアルバムよりぜんぜんカッコいいのも確か。超名盤だと思います!
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