
西アフリカのど真ん中、かつては黄金の産地で大帝国を築いたマリの音楽です!マリには
グリオという吟遊詩人がいて(グリオはマリに限らず西アフリカ一帯にいて、世襲制)、このCDはグリオの音楽集でした。このCDで歌っているウスマン・サッコは、
ジャリ(マンディング地方の世襲グリオのグループの事。マンディング地方の意味が分かりませんでしたが、マンデ諸語が話されている地域という事?
マンデ諸語は、マリ、ガンビア、セネガル、コートジボワールなど、西アフリカの内陸部で話されている言語です)の中でもトップクラスの有名人なんだそうです。英米のポップスやロックはマニアックに知ってるくせに、西アフリカのミュージシャンはトップクラスですら知らない自分の無知が恥かしい…。
聞いて最初にビックリしたのは、まるでアコースティック・ギターみたいな音が飛び出した事!…って、実際にアコギでした(^^;)。グリオというと、ひょうたんに棒を突き刺して作ったような「コラ」という竪琴を使うもんだと思っていましたが、今では大量生産のアコギを買った方が安上がりなのかも。そういえば、マリといえばサリフ・ケイタが西洋音楽型のポップスを演奏して世界で売れましたが、西洋化が進んでるのかな、マリってフランスの植民地だったし。
かんじんの音楽ですが、ものすごく心地よかった!!このレイドバック感は
ジャワ島の音楽なみ、ちょっとヤバいぐらいです。伴奏はアコギとアフリカの鍵盤打楽器楽器バラフォンで、基本になるフレーズを繰り返す部分(
クムベン)と、歌が休んでる部分での即興パート(
ビリミティン)で出来ています。この上に男女のヴォーカルがコール&レスポンス気味に重なります。ゆるくあったかい音で、執拗にリフレインが入るので催眠状態になるというか、異様に気持ちいい。。
ここで聴かれるグリオの音楽には、セグから取り入れた
バムバラと、ウスマンの故郷の
カッソという、ふたつのスタイルがあるそうです。
うち、バムバラのスタイルはスンジャタ時代のスタイルに近い5音音階で、グリオの音楽で最も伝統的な様式なんだそうで。
神への賛美の歌、パトロンを褒める歌(^^)、政治批判を含む社会風刺、愛の歌など、さまざま。ひとつ言えるのは、プロ音楽家でスポンサーありきなのは西洋や日本と同じなのに、歌手の歌う言葉がある種の文化人として機能している事でしょうか。今の西洋や日本で、こういうメッセージを伝えられている歌手なんて思いつきませんし、社会も歌手をそういうものとして見ていないでしょうしね。つまり、ある文化的な思想の伝達者という社会的な立ち位置でいうと、
ボブ・マーリーみたいな人に近いのかも。これは買って良かったと思えたすばらしい歌と音楽でした。
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