
友人の画家の女性が、「
シベリウスのフィンランディア好き!ムーミンも好き!北欧っぽくて好き!」なんて言ってました。たしかにフィンランドといえば湖、シベリウス、ムーミンですよね。僕にとってのフィンランドのイメージも似たようなものですが、1点だけ分からないところがありまして…
シベリウスのフィンランディアがフィンランドっぽいという感覚が、昔から理解できないのでした(^^;)。僕の感性が鈍いんですかね‥。というわけで、もう1回シベリウスを聴きなおしてみよう、そうしよう。
チェコの国民楽派の代表が
ヤナーチェクなら、フィンランドの国民楽派代表は間違いなくシベリウス。国民楽派についてはヤナーチェクさんの感想文で書きましたが、要するに19世紀末から20世紀初頭のフランスやドイツといったヨーロッパの資本主義の強国のブルジョアが、自分の利益を守ろうとして民族主義的な考えにどんどん傾いて、これが極端な国家主義や侵略主義・植民地主義へと発展し、これに反発する形で資本主義の風下にいた北欧や東欧の国の人たちが民族独立運動を起こして、それと連動した民族主義的な音楽、みたいな感じです。だから、クラシックではあるんだけど、どこかに「チェコ!」とか「フィンランド!」という主張が入るわけですね。でも、あらためてシベリウスのフィンランディアを聴いてみた結果…やっぱり「フィンランドだ!」って感じませんでした。そして、あんまりいい曲とも思わなかったりして(゚ω゚*)。。
でも、僕がはじめて
シベリウスを国民楽派だと少しだけ認識できた曲があります。それがこのCDに入っていた「悲しきワルツ」。ワルツではあるんですが、すごくしっとりとして、
ある意味暗いとすらいえそうな音楽、これはいい!途中に民族性の強そうな舞曲みたいな所が出てきますが、もしかしたらこれはフィンランドのカレワラとか民族舞曲から取っているのかも知れません。国民楽派とか抜きにして、素晴らしい後期ロマン派の小曲でした。
もう1曲入っていた交響曲第2番。これも国民楽派とかはよく分かりませんでしたが、いかにも20世紀初頭らしい、よく出来た後期ロマン派音楽。とくに第2楽章の幻想的な前半、そして雲がぜんぶ晴れて一気に明るい所に抜ける最終楽章へのドラマは良かったです!
ヤナーチェクにしてもシベリウスにしても
チャイコフスキーにしても、国民楽派と言われるものの、思いっきり民族性が強いわけでも、
バルトークみたいに音楽のシステム自体から根本的に作り替えるわけでもなくって、機能和声の中にちょっとだけ民謡のリズムやメロディや旋法をすべりこませる程度で、僕的にはほとんどロマン派音楽と感じます。というわけで、「フィンランディア」とか「交響曲第2番」を聴く限りだと、シベリウスは国民楽派というよりも後期ロマン派の巨匠と感じる僕なのでした(^^)。
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