ビバップの時代からハードバップの時代、そしてその後の時代まで生き抜いたジャズ・ピアニストの
ケニー・ドリュー のレコードです。1957年録音で、レーベルはリバーサイド、ピアノトリオによるスタンダード曲集でした。メンバーは、kenny Drew (p), Wilber Ware (b), Philly Joe Jones (dr)。
ビバップ~ハードバップ期を生きぬいた
バド・パウエル 系の50年代ジャズ・ピアニストというと、ケニー・ドリュー、ウィントン・ケリー、ソニー・クラーク、
エルモ・ホープ あたりが思い浮かぶんですが、このあたりは音楽へのアプローチや演奏のクセ、ついでに曲まで似ているもので、僕にはあまり区別がついていません(^^;)。このアルバムも、いかにもバド・パウエル系の黒人ジャズピアニストのピアノ・トリオという感じで、普通と言えば普通なんですよね。でも、聴いていて飽きることがなかったです。こういう50年代のスタンダード・ジャズやハードバップを聴く時って、「あ、こうやって演奏するんだな」「なるほどそうアプローチするのか」みたいにプレイヤー視点で聴いてしまうのですが、きっとそうやって聴く音楽なのだと思うし、またそうやって聴くと飽きることがないという(^^)。
このCD、ジャン・ユボーというクラシックのピアニストが演奏した
フォーレ のピアノ四重奏曲のあとに聴いたんですが、そのせいもあってタッチは雑だし、リズムも「乗らず」で危なっかしい、テーマをコードプレスで乗り切ろうとしたりするので「大丈夫かな、こんなアプローチで演奏していたらミスしちゃうんじゃないかな」なんてハラハラ。ところが、間違えそうで間違えない(^^)。そして、オープンになってからのツーファイブになると途端に華麗な指捌きを聴かせたりビバップフレーズが炸裂したりで、気がついたら演奏に引き込まれているという(^^)。いやあ、楽しかったです。
ケニー・ドリューって、80~90年代には、ジャケットに水彩画をあしらったようなイージーリスニングなシャンパンジャズのアルバムばかり出すようになって、ジャズ喫茶のおっさんに叩かれてましたが、たしかにこういう50年代の演奏を聴くと、ジャズ喫茶のマスターが小言を言う気持ちも分からないではないです。なんて事はない50年代によくあるピアノ・トリオの1枚ですが、このへんのピアノ・トリオ好きな人には思いっきりツボなレコードなんじゃないかと。なかなか楽しかったです。でも、僕が推奨するケニー・ドリューのアルバムは…それはまた次回!
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