
昨日亡くなった梅宮辰夫さんの代表作と言えば、僕の中ではダントツでこれ!高倉健の任侠ものと並ぶ、やくざ映画の代表作、『仁義なき戦い』です!ついでに言うと、松方弘樹さん、菅原文太さん、伊吹吾郎さんの代表作もこれです。この俳優さんたちの俳優人生の一番輝いていた時期が、この映画には詰まってるんじゃないでしょうか。
ビデオ屋のやくざコーナーに行くと、『仁義なき戦い』という名のつく映画がずらっと並んでいて、どれを見ていいのかさっぱり分からないと思うんですが、面白いのは最初の5作品で、ここまでで仁義シリーズは一区切り、あとは観なくていいです(゚∀゚*)エヘヘ。でもって、初期5部作は2作目『広島死闘篇』だけが外伝的な扱いで、あとは話が繋がっています。というわけで、仁義シリーズの王道を見るならまずはこれです。
『仁義なき戦い』の5部作は、戦後に広島で起きた「広島抗争」というやくざ同士の抗争事件を描いた実話です。中心人物として描かれるのは菅原文太演じる広能昌三さんというやくざですが、広能以外にも細かく描かれている人物が何人もいて、そのヤクザを演じる役者の演技が素晴らしすぎるのです。
個人的に演技が素晴らしいと思ったのは、梅宮辰夫(男気あってカッコいい)、伊吹吾郎(ドスの効いた声がすごい)、松方弘樹(貫録あり過ぎ)、渡瀬恒彦(彼だけ幹部クラスでないヤクザ役なんですが、それを演技で感じさせるのがすごい。渡瀬さんだけチンピラらしく狂犬っぽく危なっかしくてヤバい)。いずれ主演作が何本もあるような売れっ子俳優さんたちなのに、4人とも生涯ベストの演技はこの映画だろうなというぐらいの名演技が揃っているのです。
梅宮さんなんて、この映画のために本当のヤクザにあって演技の参考にしたと言いますから、それがあれだけの迫力ある演技に繋がったんだな、みたいな。
そして、
裏切りやだまし上等というやくざ社会の話の経緯が相当にややこしくて、それがえらく話に深みを与えていて、見れば見るほど面白いです。途中で刑務所に入ってフェードアウトするヤクザとか、親分を失って別の組に吸収されるヤクザとか、時間経過で組織図まで変わっていく複雑さ。主要人物だけでも10人以上出てくる映画でこういう複雑な展開をするもんで、1回見ただけだと名前を覚えるのですら追いつかない状態。これが2回3回と見るたびに、「あ、こういう事だったんだな」と分かってきて病みつきになるのです(^^)。文字で書いてもこの面白さを伝えづらいのが悔しいぐらいに面白い。
とはいえ、これはやくざ映画。ホラー映画みたいなもので、万人向けとは言えません。2作目の『広島死闘篇』だけは名画としてどんな人にも薦めたいけど、それ以外は女性やお堅い人には薦められない、まして彼女と一緒に見ては絶対にいけませんね(^^;)。でも、かつての日本映画で抜群の人気を誇っていたのがやくざ映画だった事も確かで、人気が高かっただけのことはあるとんでもない面白さでした。たぶん、見る前は「やくざ映画か、なんかキワモノっぽいな」という印象じゃないかと思うんですが(僕がそうでした)、見た後は「おいおい、こんなに面白いのか?!」と変わるんじゃないかと。大好きな映画、
日本の戦後風俗史を知りたい方や、血の気が多い人はすぐに見るべし!
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