『矢沢永吉 / E'』

yazawa_E.jpg 矢沢永吉さんという人は社会現象だったと、何かの記事で読んだことがあります。キャロルというバンドでデビューし、黒のライダーススーツにロックンロールという、イギリスのモッズのようなカウンターカルチャーとして、社会現象にまでなったようです。これが、暴走族全盛期の日本の文化と結びつき、ライブにはヤンチャそうなな若者がわんさとつめかける状態に。さらに、ソロデビュー後も日本人初の後楽園スタジアムワンマンライブ、あまりに不良が押し掛けるため会場側がライブを拒否するなど、良くも悪くも社会現象としての側面が矢沢永吉さんという人の知名度をあげる一因となったようです。ところが私は、もう少し後の世代であったので、そういう事情をまったく知りませんでした。それが良かったのかもしれません。何の先入観もなく、このアルバムを聴くことが出来たのです。

 サウンドを含めたアレンジのセンスが抜群で、驚きました。そこにあるのは、不良だとかカリスマだとかそういうものとは切り離された、まったくのプロフェッショナルの仕事だったのです。日本のポピュラー音楽という机上で、松任谷由実さんや山下達郎さんのはるかに先を行く人だと、正直のところ思いました。ニュー・ミュージックという音楽が流行していたころ、友達も、また友達のお兄さんやお姉さんも、音楽と言えばみんなニュー・ミュージックを聴いていました。そんなものですから、自分で買ったり借りたりしなくても、それらの音楽は随分たくさん耳にしていました。その中で最も優れたアルバムを挙げるとすれば、私はこのアルバムを推薦したいです。

 洋楽指向が良い事かどうかは分かりませんが、フォーク・ミュージックの時代が過ぎた70年代後半から現在までの日本のポピュラー音楽は、常に洋楽の机上にあり続けた音楽だと思います。その歴史の中で、70年代後半から80年代半ばあたりまでが、もっとも洗練を極めた時期だと思うのですが、これはその頂点に立つアルバムだと思います。矢沢さんは次に『YOKOHAMA 20才まえ』というアルバムを出すのですが、これは兄弟のような作品で、このアルバムを気に入れば、そちらも良いと感じるかと思います。
 以降の日本のポピュラー音楽は、バンドブームが起こり、ダンス音楽の乱造が起こり、子供向けのアイドル・グループの押し売りが始まり…というように、産業としてはどんどん大きくなっていきながら、音楽そのものはどんどんとアマチュアなものになっていってしまいました。そんな状況を横目に、私はいつしか日本のポピュラー音楽を聴かなくなっていきました。


関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
フリーエリア
検索フォーム
リンク
最近気になってるCDとか本とか映画とか
 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
これまでの訪問者数
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
アド