実は、タイトル曲「ホテル・カリフォルニア」をいいと思ったのは後の話で、最初聴いた時は好きじゃなかったんです。暗いし、ギターソロが書きソロで「こんなのソロじゃねえだろ」と思ったり、諸々ありましてね(^^;)。むしろ虜になったのは、2曲目の「New Kid in Town」。うっすら鳴っているオルガンとエレピ、その前に綺麗な音のアコギ、素晴らしいコーラス…美しすぎるジャケット写真と合わせて、アメリカ西海岸の幸福感が音にぜんぶ出ているような心地よさでした。アメリカ西海岸の音楽と言ったら、その前はサイケかビーチボーイズというイメージだったので、イーグルスの『呪われた夜』とこのアルバムのふたつがウエスト・コースト・サウンドの分岐点になったんじゃないかと思ったほど。あの泥臭かったドゥービー・ブラザーズですらこういうサウンドになりましたし、このへんでLAに何かが起きたんでしょう。80年代以降のLAサウンドはメタルでさえこんな感じですもんね。。 以降、「Life in the First Lane」はポップロックでカッコいい、ピアノとストリングスから始まる「Pretty Maids all in a Row」なんてあまりの美しさにゾクッと来てしまいました。「Wasted Time」のストリングス・アレンジ版も、ちょっと前のカントリーとフォークをやっていたイーグルスからは考えられないほどの洗練のされ方、まるで映画音楽を聴いているかのようでした。
そして、「Hotel California」です。この曲を本当にいいと思ったのは、なけなしのお金をはたいて高いオーディを買った時で、音の良さがすごかった!!「うわあ…」と、しばらく絶句したほど。この素晴らしい音はいいオーディオでないと楽しめない。でも、曲の真ん中のブレイクで音がふっと消えて、編集した事が分かってしまったのもその時で、聴こえなくていいものまで聞こえてしまった(^^;)。画質の良すぎるテレビで女優を観たら肌荒れが見えてしまった、みたいな感じ。良いオーディオも良し悪しですね。。でも、「ホテル・カリフォルニア」の音の良さに気づいた瞬間、実は「Pretty Maids all in a Row」と「New Kid in Town」も、実は音の美しさに感動していたのではないかとはじめて気づいたのでした。
イーグルスをめちゃくちゃ好きだったことはないんですが、たまに聴きたくなるのがイーグルスです。