で、このアルバムです。当時の日本タイトルは「イタチ野郎」。…素敵です。このアルバム、音楽的にも、読み解き的な脈絡からも、本当に面白いアルバムなんですが、ちょっとそれを説明し切るのは難しいかも。ここでは、フリージャズ、アヴァンギャルド、現代曲、皮肉…こういう分かり易いキーワードだけに注目して聴き始めてるだけでも、相当に楽しめるんじゃないかと思います。例えば、冒頭の"Didja Get Any Onya?"。リズムチェンジを繰り返す、ロックのハウスバンドの上を、フリージャズばりのサックスが疾走します!で、突然ブレイクしたかと思うと、オカマ口調で「んあ~~ん」。で、現代音楽ばりの不協和音パートに突入し、その後ろでいきなりコントラバスが4ビートのウォーキンベースを刻んで、詩の朗読が始まり…だいたいマザーズの音楽性というものが、そろそろ伝わったんじゃないかと思います。で、この『いやち野郎』は、分かり易く言うと、ザッパがデビューしてからしばらく結成していたマザーズ・オブ・インベンションというバンドの中では、フリージャズ方面の傾向が強く出たアルバムなんじゃないかと。初期のザッパのレコードの中では、いちばん好きな1枚です。