
ひとつ前の記事で書いたように、フランク・ザッパというのは、色々な要素を持った音楽を作る人なので、定義しにくい人だとは思うのですが、高く評価されている事のひとつが、ギタリストとしての才能です。実際、ソロ・アドリブという点からいうと、ジミー・ペイジとかエリック・クラプトンというギター・ヒーローよりも、明らかにレベルが高いんですよね。テクもそうなんですが、使える音のバリエーションが比較にならない。ソロの発想が凄いんです。ジェフ・ベックなんかにも感じる事なんですが、どういう発想をしたらこういうソロを組み立てられるんだろうか…というソロを弾いちゃうんです。で、このアルバム、タイトルを直訳すれば「黙ってギターを弾け」ですか。。いやあ、凄いです。
フランク・ザッパのライブのビデオを見た事があるんですが、ライブでザッパは、必ずインストの即興演奏をしてます。で、ここでギターを弾きまるんですが、これが凄い。インプロヴィゼーションというのは、プレイヤーは結構やりたくなる事のひとつで、普通の曲を演奏していると、クラシックでもロックでも、既にあるものをうまく再現する事ばかりになっちゃうんですよね。で、即興性が強いと思われているジャズですら、実は再現音楽という点に変わりなかったりする。こうなってくると…プレイヤーって、「何も考えずに、思いっきり自分の演奏をありったけ弾いてみたい!!」とか思っちゃたりします(僕がそうでした)。で、ライブも片っ端から録音していたというザッパは、そいういうインプロヴィゼーション色の強いパフォーマンスから、最良のギターソロだけを抜き出してアルバムを作ったという訳です。それがこれ。CD2枚組(レコードはなんと3枚組だった!!)、いやあ、凄いです。
実は、ザッパは似たようなコンセプトのアルバムを他にも作っているんですが、パフォーマンスのまとまりの良さは、これがベスト。よくぞこれほどまで曲想を変えられるものだなと思えるほどに、実に良く出来ています。で、プレイも、ロックやジャズによくありがちな、ワン・パフォーマンスに使うスケールがお決まりのアイオニアンとかドリアンとか、そういうありふれたものばかりじゃなくって、実に多彩。マジで、これはフュージョン・ギターの教科書としても使うべきという完成度です(って、僕はギターはろくに弾けないんですが^^;)。
というわけで、ギタリストとしてのフランク・ザッパの凄さを聴きたいなら、これが最適のアルバムじゃないでしょうか。また、ロック/フュージョン・ギターの大名盤としても語り継がれてしかるべきアルバムだと思います!
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