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書籍『メルケルと右傾化するドイツ』 三善範英

Merukeru to ukeikasuru doitu これもヨーロッパやアメリカや日本など、なんで今世界の先進国が右傾化してるのかを知りたいと思って読んだ本です。『EU騒乱 テロと右傾化の次に来るもの』がかなりフランス視点での本だったので、ドイツ視点の本も読んでみたいと思いまして、「ドイツ」「右傾化」でググったらこの本がヒットした次第(^^)。グーグルやアマゾンでの検索を考えると、本のタイトルって重要ですね。著者の三善範英さんという方は、読売新聞で長年にわたってベルリン特派員を務めていた方だそうです。

 タイトルから「メルケルによって右傾化していったドイツ」という事が書かれてるのかと思ったら、それ以上に「メルケルの話」と「右傾化するドイツの話」でした(^^;)。首相になる前のメルケルのプロフィールだけで7章中4章が割かれてましたが、この部分はわざわざ本を買わなくたってウィキペディア見れば充分だった(゚ω゚*)。
 というわけで、「右傾化するドイツ」、の理由を知りたい僕にとっては、1~5章は前提の理解のためには読まないわけにはいかないけど、内容は薄かったかな?読むべきは6~7章でした。メルケルさんは才女で、あのEUが吹き飛ぶんじゃないかという危機を乗り越えたのも、原発停止を決断したのも、シリア難民の受け入れを決断したのも全部メルケルさん。

 ただ、この本の主張は、メルケルさんが周辺国に気を使わずに決断するので、ドイツとは違う状況のEU加盟国までドイツの決断に引きずられてしまってそれは倫理的独裁だ、というものでした。難民を救うはいいけど、人道的見地だけで判断して制限なしに受け入れたもんだから、治安は悪化するわテロは起きるわ財政は圧迫されるわで、それに反対する形でヨーロッパ各国で極右政党が票を伸ばしちゃったじゃねえか、という事でした。なるほど、ひとつの正義だけでものを判断してはうまく行かない事もあるという事か、一理あるのかも知れません。

 まあとにかく、起きた事をどうとらえるかは個々人が判断すればよい事だと思いますが、EU危機がどのように回避されたか、難民受け入れの経緯、ここ10年でヨーロッパ各地で次々に起きている実態などなど、ヨーロッパやドイツがこの10年でどう動いているかを知る事が出来たという意味で、良い本でした!



以下、自分にとっての「右傾化するドイツ」に要点を絞っての備忘録としてこの本の要点を箇条書きにしておきます。自分の為の備忘録で読み手の事は考えておらず、長くもあるので、興味ある人だけ眺めて下さいね(^^)

 

(序章 危機の震源地ドイツ)

  2017年ドイツ総選挙でもっとも問われたのは、メルケルが行った難民受け入れ対策に対する判断。シリア難民を中心とした100万人超の流入は、テロの発生、犯罪の増加、受け入れのための財政など、ドイツ社会に大きな負担を強いた。

  難民危機は国民世論を分断し、難民受け入れに強く反対する右派政党AfD(ドイツのための選択肢)が議席を占めるようになった。

  AfDは、難民受け入れ制限、ユーロ離脱、歴史教育の見直しなどを掲げており、ナチの贖罪を判断基準のひとつにしてきたドイツにとっては許されない内容の右派勢力だった。しかしそれがついに市民権を得た。

  ヨーロッパを襲うこの10年の危機の連鎖:ギリシャ債務危機(2009)、ウクライナ危機(2013)、クリミア併合(2014)、難民危機の深刻化(2015)、パリ同時多発テロ(2015)、イギリスEU離脱が国民投票で採択(2016)。

  ヨーロッパの危機は3つの位相であらわれている。ひとつは国内、ひとつはヨーロッパ国家間、ひとつはヨーロッパとヨーロッパ外。

  国内のヨーロッパの危機:おもに、テロの続出と、右派政治勢力の台頭。

  現在、ヨーロッパの多くの国で反難民・移民、反EUを掲げる右派政党は、2030%の支持を占めるに至った。パリ同時多発テロ(215.11.13、死者130)。フランス大統領選で国民戦線のマリーヌ・ルペンが決選投票に進出。オランダの2017年総選挙では、ヘルト・ウィダース党首率いる自由党が第2党になった。オーストリアは2017年の総選挙で難民規制を訴えた中道右派の国民党と右派の自由党が躍進し、連立政権を発足させた。イギリスで、EU離脱決定に英国独立党(UKIP)が果たした役割は大きい。

  ヨーロッパ各国間の危機:第1は西と東の考えの違い。それはロシアに対する脅威認識の違いや、国家に対する根本姿勢の違いとなって現れる。第2は南北差で、経済差や社会システムの違い。例えば、ドイツがギリシャに緊縮財政や徴税強化を求めても、官僚システムが十全に機能しない。

  ヨーロッパとその他地域の関係:第1に、ロシアとの関係悪化。2014年のロシアのクリミア併合とウクライナ東部への軍事介入に対して、EUが経済制裁。第2にトルコとの関係悪化。レジェップ・タイイップ・エルドアンの強権政治を批判、トルコ政府によりドイツ国籍のジャーナリストの長期興隆に抗議。また、トルコがEU諸国にいるトルコ人に自国の選挙に動員した事で、ドイツやオランダがトルコ政治家の自国での政治集会開催や入国禁止などの報復措置に出た。

  3つの位相は深く関係している。例えばユーロ危機の際は、経済基盤の弱い南欧諸国の経済が窮地となり、高失業率などを通じてギリシャ、スペイン、イタリアなどの政情が不安定化した。

  メルケルの果たした大きな仕事は、ユーロ危機に対する対応の素晴らしさ、ウクライナ問題でのミンスク和平合意での主導的役割、トランプの逸脱した行動へのけん制など。一方、倫理性を重んじて帰って問題を起こす事もある。対ロシア外交でのロシアとの関係悪化、2011年の脱原発決定、2015年御難民御上限なしの受け入れ決定。

 

(1~3章)

  メルケルは西ドイツ生まれ、しかし東ドイツ育ち。牧師の上で育ち、基礎物理学者だった。

 

(4章 首相への階段)

・日本で平和主義というと、いっさいの武力行使を否定する「絶対的平和主義」だが、ドイツではジェノサイドを防ぐためなら武力行使も辞さない「人道的平和主義」が優勢。

 

(5章 第1次政権)

  価値外交(民主主義、人権、自由といった西側世界の価値)の普及を掲げてスタートしたのがメルケル外交の特徴のひとつ。

  西ドイツ時代はナチへの贖罪から財政負担を担って「ヨーロッパの金庫番」と言われてヨーロッパ統合を支えてきたドイツだが、この姿勢は徐々に色あせた。コール時代はヨーロッパ連邦抗争がすすめられたが、メルケル時代になってドイツは国益を主張する事にためらいが少なくなった。

 

(6章 第2次政権)

  ユーロ危機:2009年、ギリシャ債務問題の発覚、ユーロ危機。ドイツの銀行は総額430億ユーロのギリシャ債権を抱えているとされており、ギリシャが債務不履行となればドイツ経済もただでは済まない。 *結局EU首脳会議でギリシャに対する財政支援計画と欧州金融安定基金(EFSP)発足が決定。

  脱原発:ドイツの脱原発方針は、もともとシュレーダー政権が電力業界と2000年に合意し、原則として2022年に脱原発というものだった。メルケル政権になって紆余曲折あり延長。しかし2011年に福島第1原発事故があり、メルケルは2022年までの原発廃棄を決定。

  アフガニスタン平和維持活動でのNATO不信:NATOがアフガン全土に展開するにともなって、ドイツ軍医犠牲者が出始めた。NATOのイメージ悪化はアメリカに対するイメージ悪化につながり、ドイツの西側世界との距離の拡大とロシアへの接近の遠因になっている。

 

7章 世界の救世主か破壊者か)

  ウクライナ危機:2013.11、ウクライナのヤヌコビッチ大統領がウクライナとEUの協定交渉の先送りを決定。それをきっかけにウクライナ国内で親EU派による反政府活動が激化、2014年にヤヌコビッチはロシアに亡命。これに対してクリミア半島で独立派がロシアの援助を受けて独立を宣言。これと並行してウクライナ東部の2州で親ロシア派が独立を宣言。以後、2018年時点までにクリミア半島やウクライナ2州のロシア支配の既成事実化は進んでいて、解決のめどは立っていない。

  移民問題:201510月、ノルトライン・ヴェストファーレン州の自治体の首長200人が連名でメルケル宛に、施設の収容が限界に来ており、難民支援に携わる人の疲労していると手紙を送った。同州の市営プールで難民による女性への性的嫌がらせがあり、男性難民の入場を一時禁止する事態となった。難民同士の抗争、排外主義者による難民収容施設への放火事件も多発した。それでもドイツ全体としては難民を受け入れる空気があったが、その風向きが変わる事件が起きた。2015.12.31、西部ケルンの大聖堂前広場で、難民を中心にした集団女性暴行事件が起きた。2016.7、南部ヴュルツブルグなどでISから指令を受けたと見られるテロ、ミュンヘンではイラン系ドイツ人による集団殺傷事件が発生。2016.12.19、ベルリンでトラックが突っ込んで12人が死亡するテロ発生。

  AfDの台頭:難民問題などのメルケルの政策への拒否感の受け皿になったのが、右派政党「ドイツのための別の選択」(AfD)。

  合衆国やヨーロッパの右派政党の台頭の理由のひとつに、所得格差の拡大があげられる。例えばドイツでは、鉄鋼業の中心地ノルトライン・ヴェストファーレン州ルール地方は、産業構造転換に苦労して失業率が高い。ここで、AfDの得票率が高まった。

  ヴェーバーの論:政治家に必要なものは責任倫理(ある行為がどのような結果をもたらすかを予見し、適切な手段をとる事)。心情倫理(己が正しいと信じることを行為する事)ではない。

  中国への接近:2016年、ドイツ最大の貿易相手国は中国になった。

  現在、100万人以上の難民が国内に残っている


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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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