
日本シリーズ史上最高の戦いとの評判もある
1992年の森西武vs野村ヤクルトは、翌93年にまでもつれます。
野村ヤクルト、あと一点に泣いた92年のリベンジなるか?!この93年の日本シリーズも最終戦までもつれる激闘になりました。これもすごかった!夢中になって見ていた10日間でした。。 驚くのはヤクルト側の投手陣。前年は岡林がエースで大車輪の活躍だったのに、この年は岡林無し。そして、去年はいなかった川崎と西村という投手が先発の柱。いやあ、強いチームってすごいエースや4番が決まってるから強いんだと思ってましたが、
主力選手を入れ替えながら2年連続でリーグ制覇したのか、やっぱり野村さんって凄いんだな。。 そして、7戦をとおして、
力はヤクルトの方がちょっと上と感じました。前年度は西武が圧倒的なところをヤクルトが色んな策を講じてもつれにもつれましたが、93年はその逆。
それでももつれた原因は、西武がヤクルトの古田を封じた事。逆に
ヤクルトは西武の秋山を封じます。短期決戦では主力打者の誰かを封じて打線を分断してしまうのが戦術の柱になるなんて言いますが、両軍ともそれに成功したもんで、戦力差があっても打線が分断されて点が入りにくいのでもつれたのかも。いやあ、こういうのは知将同士だからこそ見る事の出来る戦いなんでしょうね。。 ただ戦うだけでなく、策を講じて勝ちに行くのが、シロウトの僕にもわかりやすかったのは、例えば
第2戦の西武・郭泰源の攻略。前年の日本シリーズで郭にぴしゃりと抑えられたヤクルトは、絶妙のコントロールをもつ郭にはやく追い込まれて、最後はスライダーで料理されていました。その
郭のコントロールの良さを逆手にとって、絶好球じゃなくても1球目からカウント球を打ちに行きます。これで郭はヤクルトの作に気づく前に4失点。いやあ、ただ茫洋と戦ってるんじゃなくて、本当に策に策を講じて戦ってるんですね。。
弱小球団ヤクルトの選手を改革に行った野村監督の成果は、随所に出てきます。
第3戦は1対0の投手戦をヤクルトが制するんですが、その1点が池山のライトへの犠牲フライ。池山と言えばどんな時でも振り回すバッターだったのが、ここは一点でいいとフライをあげに合わせに行きました。これがあのブンブン丸がやる野球か、変わりましたね。。

同じく1点を争う展開になった
第4戦は、
8回に、今も伝説になっているセンター飯田の奇跡のバックホームが炸裂!1対0のワンアウト1・2塁で強打者鈴木健。外野が前進守備にしてしまうと抜かれた時に一気に逆転になってしまうので、中間守備か深めが定跡だと思うんですよ。でも
飯田はここでチームの指示に背いて前進守備をとり、走者を本塁で刺します。なんでこうしたかというと、この試合の西武のピッチャーの石井丈裕はシーズンMVPの上にこの試合は絶好調。だから、ヤクルトが勝つためには虎の子の1点を守る以外にはない…みたいに考えたんじゃないでしょうか。これは勝手な憶測ですけど(^^;)、こういう事を考えながら観ることが出来るから、戦略系のスポーツは面白いです(^^)。ファインプレーの裏には頭脳があるんですよね。それにしてもこれは鳥肌が立つ驚異のバックホームでした。
このDVDでは細かい説明はなかったんですが、
第7戦、
1点差でもつれた展開での3塁走者古田の走塁も見事なID野球。前年の第7戦でそっくりなシーンがあって、内野ゴロが飛んで広沢が本塁で封殺されたんです。内野ゴロが飛んだ時、3塁走者は普通は自重なんですが、前年度の反省から編み出した「状況によっては、ダブルプレーや本塁憤死のリスクを負ってでも3塁走者は打った瞬間に突っ込む」というギャンブルスタートを古田はここで仕掛け、内野ゴロで本塁生還!いずれのプレーも、ただすごいピッチャーとバッターを並べるだけの王ダイエーや長嶋巨人の野球とはまったく違う、見事な野球術でした。
そして、この日本シリーズは運もヤクルトに味方した印象。先発の枚数もそろい、抑えも3枚持っている西武の豊富な投手陣に比べて、ヤクルト投手陣のやりくりは厳しくて、伊東昭光というワンランク下の投手を先発に使って捨て試合を作るほど。そんな時に第6戦が雨で順延となり、これでエースの川崎を最終戦に使えることになります。ずっと不敗、連覇連覇の西武相手に精神面で「やっぱり西武には勝てない」という心理があったように見えたんですが、最終戦の川崎先発の試合でヤクルトが勝ったのは野球術を含めた力の差だったように見えました。そして、この時の
川崎の投球の凄まじさは、今度は頭脳や戦略でなく、全身全霊という感じで、見ていて痺れるほどの命がけの投球。これは感動しました。
ヤクルトは前年の借りを返して悲願の日本一!!
いやあ、
音楽でも野球でも、エンターテイメントよりプロフェッショナルの凄さ深さを見せてくれるものほど感動が大きいと僕は思うんですが、92~93年の西武vsヤクルトは野球のプロフェッショナルを見せてくれた凄い戦いでした。野村監督や森監督というという指揮官だけでなく、状況を見ていちかばちかで前進守備を選択した飯田、ギャンブルスタートを選択した古田といった選手の野球術もすごい。野村監督、こんな素晴らし物を見せてくれて、本当にありがとうございました。この激闘の10日間を、僕は一生忘れないでしょう。
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