心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > 日本のロック・ポップス   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『ICE / We're In The Mood』

ICE_WereInTheMood.jpg 1996年発売の、日本のポピュラーのアルバムです。でも、ポピュラーという言葉で想像できる音楽には括りにくいというか、当時大流行だったクラブ系のサウンドに、ロック、ブラック、あたりの音楽が混じっている感じで、…う~ん、音楽を知らない子供向けの商業音楽じゃなくって、20代前後のあたりのイケてる系の人が、同世代の人相手に作った音楽、という感じです。ブルースのジャンルにアーバン・ブルース(都市ブルース)なんてジャンルがありますが、アーバンなんですよね。車乗ったりクラブ行ったりして、夜は彼や彼女とセックスしているような、そういう20代前後の人が持っているような世界観の中に成立する音楽って感じ。

 ICEというのは、宮内和之というミュージシャンと、国岡真由美というヴォーカリストのユニットみたいです。実質的には、宮内さんの音楽を実現するグループなんじゃないかと。作曲、演奏(ギターとかベースとかプログラミングとか…)、ディレクション…こういったものはぜんぶ宮内さんがやってます。で、曲もカッコいいし、サウンドの方向性も、ぜんぶ宮内さんの手の中。で、黒いカッティング系のワウ・ギターに、エレピ…これがけっこうICEの音楽のトレードマークのひとつになってるんじゃないかと。ファンクのチョッパー・ベースとか、ワウ・ギターって、それだけでひとつの芸になってしまうというか、ずっと聴いていたくなっちゃいますよね。。で、ヴォーカルの国岡さんは…まあ、こういうお姉ちゃんって、当時のクラブにいくらでもいたよな、って感じ。。歌はうまくないんですが、それなりに遊んでそうな感じで、でも音楽やりたくって努力はしてるんだけど飽くまでそれなりで、夜形の店で働きながらボンヤリ生きてるような。昔の彼女がそんなだっ(以下略)。しかし、ここが重要な所なんじゃないかと。音楽だけだったら、やっぱりこのユニットも他の日本のポピュラーと同じで、向こうの音楽で自分が好きなヤツをあれこれ混ぜてやってるだけという事になっちゃうんでしょうが、こういう音楽をリアルな日本の都市文化の枠の中で成立させているという所が、すごくグッと来たんじゃないかと。いっても若者文化なわけで若いといえば若いんだけど、こういう美的感覚って実は大好きで(笑)、「おおっ!」って思っちゃいます。例えば、ジャケット写真のサングラスとかって、「ダセえな」と思う人が多いと思うんですよね。でもそれって、当時もそうだった気がします。でもね、これを格好良く着こなす人っていると思うんですよ。なんというのかな、測る土俵を変えるんですよね。「カッコ悪い」という人は、それを自分の持っている世界観で測るからそう感じるんじゃないかと。例えば大学生だったら、自分が通っている大学でこのサングラスをつけたら…と考えるからカッコ悪く感じる、ってかんじかな?でも、夜のクラブで、はっきり言っちゃえばいい男掴まえて今日だけセックスしたいみたいなムードのところで、あの暗がりだと、無難なカッコしてるやつの方がダメというか、セックスアピールのないやつなんか無価値なわけです。で、そういう若いやつの都市文化みたいなものが、音楽と上手くリンクしているように感じるんです。1曲目"GET DOWN, GET DOWN,GET DOWN"なんて、カーティス・メイフィールドとかあの辺の黒いサウンドの上に、例の20代不良系の世界観がモロニ被さる感じ。ほかにも"I'M IN THE MOOD"(これもエロいタイトルだな)とか、"BABY MAYBE"とか、すごくいいです。

 このアルバムが出た頃、僕はもうポピュラーはとっくに卒業した20代中ごろになっていたんですが、何とか音大も卒業出来て、ポピュラー音楽業界での演奏の仕事もちょっとだけ貰えていた頃。生活はデタラメだし、彼女とセックスばっかりしてるし(^^;)、遊びといっても夜中のクラブとかで不健全なものばかりだし、でも実は将来が不安で不安で…みたいな頃でした。で、当時のポピュラー音楽産業界というのは、子供向けの産業音楽(いまでいうAKBみたいな感じかな?)が真ん中にドカンとあって、そういうのは実は音楽はよく分かっていないレコードメーカーの大卒ディレクターとか広告代理店の人とかプロダクションのエラそうな事をいう癖に何も知らないような人とか、ミュージシャンでも職業おっさんミュージシャンとかが作ってました。しかし、若いディレクターとかミュージシャンみたいな、リアルタイムでその手の音楽を作っている作り手のコアにいる人たちは、全員が全員そっちとは違う方を向いていて、そのキーワードはクラブだったんじゃないかと思います。ロックでもブラックでもポピュラーでも、クリエイターが繋がっているのはクラブというキーワードを通して。当時の気の利いた音楽を聴くと、みんな同じ方向を向いているように聞こえるし、またそれはどれもこれもけっこう格好いい。でも、どれもこれもインディーズに潜っているというか…。で、ICEというユニットは、言ってみればそういう当時のリアルな20代の不良系の(というか、そこにしか若いミュージシャンは活路を見出す糸口が無かった)音楽が向いていた方向を音にあらわした典型だったんじゃないかと。都市型で、カッコいいんです。20代というのは苦い思い出が随分あって、僕はあんまり当時のことを思い出したくないんですが、僕はこのアルバムを聴くと、なんか当時の自分が持っていた理想とか苦しさとか美観とか、そういうものを思い出してしまいます。例えば、車乗りまわして、女にもてて、彼女とはセックスばっかりして、一発稼いで六本木にマンションでも買って、代官山あたりでデートして、斜に構えながらバカな大人を笑い飛ばして…リスキーでうわっついた夢なんだけど、見ている間は楽しい夢、みたいな。
 あの頃、レコードメーカーが広告代理店やプロダクションの宣伝力の方ばかりに尻尾を振らず、クリエイターの方を向いていたら、今のポピュラー音楽シーンの惨状は起こらなかったんじゃないかという気がします。



関連記事
スポンサーサイト

Comments

09 2017 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
検索フォーム
アド
これまでの訪問者数
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS