70年代に小林まことさんが書いた漫画
「1・2の三四郎」 は、ずっと僕の中で小林さん最高傑作でした。以降の小林さんの作品は「
I am マッコイ 」も「
ホワッツ・マイケル 」も面白かったものの、三四郎のあの夢中になる面白さには届かず。あれがキャリアハイだったのかな…な~んて思っていたところで登場したのがこの漫画、『柔道部物語』でした。今では、
小林さんの最高傑作はこれ だと思っています!
主人公は高校に入ったばかりの三五くん。中学の時は吹奏楽部だったのですが、部活を決める時に、柔道部の先輩から「この高校の吹奏楽部はつぶれた」とだまされ、その気にさせられて柔道部に入ってしまいます。楽しいと思っていたのは最初の数日だけで、ある日を境にいきなり先輩たちから地獄のようなしごきを受け、頭も強制的に丸刈りにされてしまいます。大勢入った新入部員も、あまりの厳しさにあっという間に数名にまで減り、三五も筋肉痛で家に帰りつけないほど。でもある日、街で喧嘩に巻き込まれると、怖いと思っていた不良のパンチがよく見え、相手を投げ飛ばしている自分がいました。毎日の厳しい練習を受けている間に強くなっていたのです。そして、ある日の道場での練習で、先輩の相手をすることになった三五は…
ストーリーは単純、柔道の初心者が強くなっていくというものです。ただ、これがかなりリアルで、筋トレの仕方、技をかけるタイミングの指導などなど、柔道って本当にこうやって練習するんだろうなと思えるものでした。小林さんは実際に柔道部だったらしいですが、その経験が漫画に行かされてるんですね(^^)。
成長物語も良く練られていて、1巻では先輩にケチョンケチョンに負けていた自分が、街で喧嘩になると相手が隙だらけに見えるようになっていたところで終わり。2巻では柔道強豪校との共同合宿で柔道の厳しさを知りつつ、柔道に惹かれて終わり。3巻では指導者の先生との練習の末、共同合宿でコテンパンに負けていた強豪校に勝ち…と、
成長が分かりやすく描かれていきます。これがのめり込む! この漫画、読んでいて爆笑してしまうんですが、よく読むとそこまでギャクをいっぱい詰め込んでるわけじゃないんですよね。面白いと思っていたのが、ギャグ以上にこのストーリーだったことは、今回読み直して気づいた新たな発見でした。
そして、少しだけ挟まれるギャグがやっぱり面白いです。さすが僕が日本一のギャグ漫画家だと思ってるだけのことはあります(^^)。でもそのちょっとがスパイスとしてすごく効いていて、ともすれば厳しいスポ根ものになってしまいそうなドラマを、ユーモアのある作品にかえているように感じました。
僕的には、小林まこと最高傑作!日本のオリンピック代表になった柔道の選手の中にも、「この漫画で柔道にのめり込んだ」と言っている人がいました。それぐらい、柔道マンガとして面白いのです。同時に、日本のギャグ漫画の上位作品であるとも思ってます。個人的なお気に入りは名古屋くんと鷲尾先輩です。このふたりが絡むギャグは、今でも腹を抱えて笑ってしまいますね(^^)。
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