
レッド・ガーラントや
ビル・エバンスの後釜ピアニストとして
マイルス・デイビスのバンドに参加し、一躍ジャズ・ピアノの中心人物となった
ハービー・ハンコックの初リーダー作、1962年録音です!メンバーは、Herbie Hancock (p),
Freddie Hubbard (tp), Dexter Gordon (ts), Butch Warren (b), Billy Higgins (dr)。2管ですが、サックスにデクスター・ゴードンを使うところに、レーベルの意向が見えますね(^^;)。
基本的にはジャム・セッション・アルバムでした。このアルバムで有名なのは「ウォーターメロン・マン」で、ジャズ1001にも載っているような超有名曲ですが、ハードバップ時代に大量に作られた変則ブルースと何が違うのかちょっと分かりませんでした。トニック・セブンスのスリーコードしか使ってない曲が何で名曲なんて言われるんだ?みたいな。音楽もソロ・オーダー通りに順番にアドリブしてるだけですし、そのアドリブもそんなに冴えてるとは思えませんでしたし(^^;)。このアルバムで「ウォーターメロン・マンが~」とか言っちゃうのはシロウ(以下略)。。
ところが、このアルバムがそれで終わらないのは、
モーダルなアプローチがちらほら出てくるところです!その典型は「Three Bags Full」で、これが個人的には大好きです(^^)。マイナー系のモード曲で、プログレッションはDm7とBb13#11を繰り返して、曲の最後で半音上への転調を2回して、最後にオリジナルキーのツーファイブをやって戻すものです。チョロッっと短2度を使うとか、モーダルなアプローチをできるようにするだけでこれだけ独特なムードが出せちゃうんだから、この作曲センスは秀逸というか、こういうアイデアだけでここまで新鮮になってしまうんだから、音楽って面白い。それも、ちゃんとモーダルにアプローチした演奏をしているからこそなんでしょうけどね。というわけで、この曲があるだけでもう 新主流派の匂いがすでにあるところがいいです!
このアルバム、全曲ハンコックさん作曲なんですが、少ない小節数のメロディと和声進行を作ってあるだけの曲がほとんどで、要するに
モードなアプローチでアドリブする枠だけ作ったセッションなんだと思います。だから、ボッとして聴いてるとなんてことないハードバップのジャムセッションのように聞こえるんですが、よく聴くと「あ、なるほどね」みたいな。といっても、ミの旋法やロクリアンみたいな極端に印象的な音階は使われておらず、ハードバップとの違いはほんのちょっとなので、プレイヤーじゃないと聴いていてもそんなに面白く感じないかも。62年というと、マイルスのバンドに参加する前年になりますが、もしかしてこのアルバムが招集のきっかけになったのでしょうか。モードをきれいに演奏するピアニストって、当時はそんなに多くなかったですもんね。それにしてもデビュー作がいきなりブルーノートとは、デビュー以前から実力の認められていたピアニストだったんですね、ハンコックさんは(^^)。
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