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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『Herbie Hancock / Speak Like a Child』

HerbieHancock_Speak Like a Child お金もなかった若い頃は、ひとつのアルバムを舐めるように聴いていました。幸運なことに僕は音楽を勉強させてもらえたので、好きな曲があるとアナリーゼしたり、素晴らしい演奏があると真似して弾いてみたり。少なくとも、ジャズならコードぐらいは攫わないと聴いたとは言えないと思ってました。でも、大人になって昔よりは経済的に余裕が出来て、ネットの聴き放題サービスなんかで音楽がいくらでも聴けるようになった今、ミュージシャンが渾身の思いで作っただろう素晴らしい音楽でさえ、上澄みだけ掬うようにサラッと聴いてしまって、その素晴らしさに触れる前に通り過ぎてる気がする事もチラホラ。物があふれて過剰消費を強要される時代が果たして幸福かというと、決してそんな事ないんじゃないかと思うわけです。でもって、このアルバムは、もし「上澄みだけ掬う」ような聴き方をしてたら、僕はその素晴らしさに最後まで気がつかなかったアルバムです。久々に聴いた今も、朝から何回リピートして聴いているでしょうか。しまいには、仕事を中断してピアノの前に座って音を拾い始めちゃったし(^^;)。。

 1965年に傑作アルバム『処女航海』を作っておきながら、ハンコックさんはその後にしばらくリーダー・アルバムを作りませんでした。マイルス・デイヴィスのバンドでの活動が忙しすぎたのかな?で、満を持して発表された次なるリーダー作が1968年発表の6作目『スピーク・ライク・ア・チャイルド』です。メンバーは、Herbie Hancock (p), Jerry Dodgion (alto fl), Thad Jones (flugelhorn) , Peter Phillips (bass trb), Ron Carter (b), Mickey Roker (dr)、というわけで3管セクステット。間違いなくハービー・ハンコック傑作アルバムのひとつです!

 このアルバム、A面とB面の最後がどちらもご陽気で軽妙なナンバーなので、最初に聴いた時はあまりその印象がなかったんですが、実は曲も演奏も実に耽美的で得も言われぬ美しさのアルバムでした。試しにこの2曲を抜いてこのアルバムを聴くと…うわあなんだこの耽美さは?!マイルスのバンドで突っ走りまくって鍵盤を叩いていたピアニストは思えません。

 それでいて、新主流派的というか、モード通過後のモダンジャズのカッコよさ満載の「Riot」がアルバムの冒頭なんです。つまり、ムードと表現だけのジャズじゃなくて、芸術性も失ってない所がマジでかっこいい。この曲、特に3管のアレンジが見事です。ハンコックのピアノって、モード的な曲が多い割にはアプローチがスケールじゃなくて和音寄りなんですよね。だから、それでも組み立てが意外と和声アドリブ的で、これが崩れていったところでいきなりホーンセクションがカウンターラインをアンサンブルで決めてきます。いやあ、60年代ジャズの大傑作じゃないか、これは!そして、2曲目「Speak like a child」になだれ込んだ込んだ時のため息と言ったらもう…。

 このアルバム、『Takin' Off』から『Maiden Voyage』まででは感じられなかったタッチを含めた演奏表現の素晴らしさを感じました。「Goobye to childhood」の演奏なんて、ビル・エヴァンスじゃないかというほどの耽美性と表現力で、マジで素晴らしい。成熟とはこのこと、演奏家としてのハービー・ハンコックのキャリアハイってこの時だったんじゃないかと思います。「Riot」、「Speak like a child」、「Goodbye to childhood」の3曲は、マジで多くの人に聴いて欲しいです。背筋のゾクゾクが止まりません。これだけの境地にたどり着いておきながら、なんでハンコックさんは「ヘッドハンターズ」なんていうガキくさい事をやっちゃったんだろう…。

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Comments
 
A面の「Speak Like a Child」、B面の「Goodbye To Childhood」の2曲をひたすら聞いていた記憶があります。
ビルエバンスのそれとはまた異なる耽美的美しさ。
JAZZ初期にこのあたりを聞いてしまったので、スイングのりのりイェー!
という好みにはついぞならずに、今まで来てしまいました。
ECMあたりにのめりこんだのも、自然な流れだったかも知れませんね。
ハンコックさんのアルバムでいちばん耽美な1枚かも 
AKISSH さん、書き込みありがとうございます。

モードとか4度和音とか、そういう事ももちろんいえるのでしょうが、このアルバムの耽美さを支えているのはタッチを含めた音色のコントロール、表現だと感じます。そのあたりは、リヴァーブでフワーッと飛ばしてみんな同じ音にしちゃうECMの耽美とは大違いだと思うんですが、どうなんでしょうね。あ、今のECMはそうでもないのかな?そういえば数年前にECMのエンジニアさんが死んじゃいましたね。

それにしてもこのアルバムが好きとは、気が合いますねえ!!僕も大好きで、何回聴いたか分からないほどに聴き込みました。いいですよね、美しくて、少し影があって、いつ聴いてもゾワッと来ちゃいます。

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Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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