
これは
メッチャクチャうまい津軽三味線だ、もう
高橋竹山の頃から時代は移って、津軽三味線はどんどん進化しているんだな…90年代前半にはじめてこのCDを聴いた時、そんな感想を覚えました。80年代の津軽三味線ではトップのひとりだったのではないかという山田千里(やまだちさと)さんのCDです!
10曲が収録されていましたが、すべて歌なしのインストで独奏!主に津軽三味線の有名曲で、「津軽じょんがら」は、旧節、中節、新節のすべてを収録。即興演奏も2曲入っていましたが(「津軽恋情曲」と「津軽響奏曲」)、これがCのマイナーペンタで調もリズムもしっかりしていて、手も津軽三味線の技巧のままに聴こえたもんで、立派な曲に聴こえました。というわけで、まずはCDを通して曲がムチャクチャいい!!
さらに、
津軽三味線独特の豪壮さもありつつ、ものすごいテクニカル!最近、テレビで何となく耳にした若手の津軽三味線の人は(名前を忘れた^^;)、これよりさらにうまかったんですが、豪壮さがなくて、手先だけで演奏してるみたいでなんとも軽かった(^^;)。山田千里さんは津軽三味線を革新していった人として知られていますが、ああいう軽い演奏を見てしまうと、
あくまで津軽三味線にあるあの重さや激しさを踏まえたうえで進化させていこうと思った人だったんじゃないかなあ、な~んて感じたり。
昔、東京に「モダーンミュージック」という超マニアックなレコードショップがありまして、そこが『G-Modern』という同人音楽誌(?)を発行していたんです。で、その第10号に、なんと山田千里さんのインタビューが載ってたんです。僕が山田千里さんを知ったのはその時が初で、その記事で、山田さんが地元の青森で津軽三味線を聞かせる店を経営してること、奥さんが超有名な民謡歌手の福士りつさんである事などを知りました。そこには山田さんの津軽三味線に対する考えや思いが外連味なくいっぱい書かれていたんですが、この音はもうインタビューのままという感じ。久々に聴いた今も、すっごくよかった!
中古屋さんで投げ売り同然の値段で売られていたこのCDは、純邦楽のCDによくあるジャンル名と演奏者名が列記してあるだけのぞんざいさ。80~90年代というと、日本のレコード会社は「しかたなく」純邦楽のCDを作っている感じで、マジで愛を感じませんでした。でもやっているミュージシャンは、今みたいにあるスタイルをアスリートのようにコピーしまくる状況ではなく、すごい熱量で音楽に取り組んでいた人がまだまだいたんですよね、まだ60年代や70年代の熱が残っているというか。ジャケットの安っぽさに騙されちゃいけない、これは津軽三味線の歴史に名を残した一流ミュージシャンの一流の演奏を記録した、素晴らしいCDと思います!
- 関連記事
-
スポンサーサイト