
これも中国雲南省の音楽、こちらは
『春城の歌垣 雲南イ族の音楽Ⅱ』と違って、色んな少数民族の音楽を集めていました。このCDには管楽器の独奏だけを収めた第2集もあるのですが、このCDは合奏ものの音楽に絞ってありました。収録されていたのは、ナシ族、バイ族、ヂンボ族、タイ族の音楽でした。
ナシ族は、13世紀にフビライが雲南に攻め込んできたときに協力したとして、フビライから音楽隊を贈られたことがあるんだそうです。そんなわけで、
ナシ族の音楽は古いモンゴル音楽だという学説もあるそうです。なるほど、いつか
モンゴルのオルティンドーのCDを聴いたことがありましたが、あれによく似ていました。ただ、中国音楽にまったく詳しくない僕にとっては、漢族の音楽とモンゴルの音楽ってそっくりに聴こえるので、違いはよく分かりませんでした。なんというか、宮廷音楽的で、保守的で堅苦しい感じなんですよね。。
バイ族は、ナシ族とは反対にフビライに対抗して攻め滅ぼされ、最終的に中国に帰属することになったそうです。バイ族の音楽は、
哨吶(スオナー)と呼ばれる管楽器を使った音楽でした。
スオナーって、要するにチャルメラのことなんですが、チャルメラという言葉はスペイン・ポルトガル語起源なので、中国では使われないそうです。ナシ族の音楽と違って民間音楽色が強く、スオナーのうしろでデンデン太鼓と金属系の打楽器が伴奏している、みたいな。でも、結婚式や祈祷のときに使われる音楽らしく、やっぱりフォーマルな感じ。
ヂンボ族はビルマ寄りの地域で生活しているそうで、ビルマにもいるそうです。ただし、ビルマではカチン族と呼ばれるんだそうです。う~ん、地続きの大陸で生きる民族地図って難しいです。なるほど、これは漢族の音楽からは遠く、たしかにビルマの音楽に近いかも。ビルマでは仏教音楽以外だと竪琴を使った音楽を聴いたことがありますが、なんかほんわかしてるんですよね。このCDに入っていた音楽は、「やっとこ、やっとこ」みたいなリズムの上で笛がゆったりと演奏していて、ほっこりしてしまいました。打楽器の音も中国みたいに「バシャーン」みたいにけたたましくなくて、むしろ
東南アジアのゴングのようにあったかい音で落ち着きがあって僕の好みでした。これは良かったです! タイ族の音楽、これがメチャクチャよかったです!!リード付きの横笛である「バウ」という管楽器の音色が、すごくまろやかで魅力的!うしろで月琴のような音の弦楽器と、オルガンのような音がする楽器(笙かな?)、それにやっぱり東南アジア系の太い音がするゴング系の打楽器が伴奏をしていて、実に心地よい音楽でした。
というわけで、これは中国の少数民族の音楽というより、中国、ビルマ、
タイ、ラオス、
ベトナムあたりの真ん中にある音楽という感じでした。このへんの音楽だと、僕は漢族系の宮廷音楽より、タイやビルマ寄りにある農民が持っている音楽のほうがほっこりしていて好きみたい。あのあたりに生きている農民の方って、政治的につらい思いをしていそうだけど、大地と一緒に生きている感じでいいですよね(^^)。
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