
CD
『照葉樹林の響き』と同じく、中国雲南省の少数民族の音楽のCDです。雲南省にしかいない少数民族も15ほどいるそうで、それ以外を合わせるとどれぐらいの数なんでしょうね。このCDには、9種族の音楽が収録されていました。イ族は少数民族とは言え国民国家を作っていてもおかしくないほどの人数なので、このCDには入っておらず、そういう事情で前々回に感想文を書いたCD『雲南イ族の音楽』にまとめられたんじゃないかと。
民族は違っても
すべて笛の独奏でしたが、これが素晴らしかった!! 漢族の音楽に近いもの、日本の横笛に近いものなど、多少の色の違いはあれど、どれも中国らしい、ゆったりというかレイドバック系というか、そんな音楽でした。漢族の音楽はプロのバカテクが多いですが(大道芸的な見せ物にする事が多いからテクニックを聴かせに行く機会が増えるのかも)、民間音楽となると実にゆったりしたものが多くて、このCDもそんな感じでした。
笛は僕的なジャンル分けでは普通の笛、ドローン声部を同時演奏できる笛、ダブルリード系の笛の3種類。ドローン声部を持つ音楽はバグパイプの音楽っぽくて、もっと
タイのモーラムに近づいても良さそうなものですが、このゆったり感が中国を感じさせるのだなあ、みたいな。
でもって、個人的にノックアウトされたのは普通の笛の演奏。特に、ハニ族のM1「吟尼山歌」にタイ族のM7「マンホワンの歌」(中国の大河っぽい雄大さ!)、ヂンボ族のM3「守山調」(前半はまるで日本の笛のような澄んだ情緒感)、これらが素晴らしかったです。中国感はゆったりしたテンポや表現の傾向だけじゃない気がするなあ、な~んて思ってちょっと音階に注目してみたところ、ハニ族の1曲目は、1、長2、完全4、完全5、長6。7曲目は1、長2、長3、完全4、長6。というわけで、どちらも
5音音階でスペースが広く、マイナーな響きも三全音もどこにも含まれていない事が雄大さに繋がってるのかも。 このブログで中国音楽を取りあげるのは初めての気がしますが、中国主要民族の漢族の音楽じゃなくってすみません(^^;)>。でも、今回感想を書いた雲南省の少数民族の音楽は、漢族の音楽に共通するもの…というか、漢族の地方民謡のひとつという感じのものが多くて、すごく良かったです。中国や韓国は政治的に揉めてる事もあって、心理的に敬遠したくなっちゃう時があるんですが、こと音楽に関してはそんなこと関係なしに素晴らしいです。揉めてる国や部族との交流を文化から始める事が多いのも分かる気がします。
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