
こちらはブーレーズ指揮によるシェーンベルク「グレの歌」です。これがまた
すごかった、音楽に感動するとはこういうことだ…。オケのランクとしては
アバドが指揮したウィーンフィルの方が格上かと思いますが、しかしブーレーズ指揮のBBC交響楽団の演奏と、恐ろしいほどいい音で収録された録音が素晴らしかった!!
「グレの歌」の内容はひとつ前の日記でいっぱい書いたので、ここではブーレーズ&BBC交響楽団の演奏と録音に関する感想を。
音のキレが凄かった!録音は、オケのステレオ感が凄くて、チェロは思いっきり右、第1ヴァイオリンは思いっきり左みたいにパッカリ割れてました。そして、弦の響きの美しさといったらありませんでした。あったかいのではなく、ハイがきれいな感じですが、かといって細いわけでもなく、これだけの巨大オーケストラをこんなに分離よく良い音で録音できちゃうんだ、みたいな。でもアバド&ウィーンフィルほどの感動を覚えなかったです。ちょっと冷たい感じなのかな…いやいや、昔聴いた時にはむっちゃくちゃ感動したので、きっとアバドの後に聴いたというのもあるかも。ブーレーズを先に聴いていたら、こっちの方がいいと思ったかも。僕はそういう所があって、先に好きになったものを基準に物を見つめちゃうんですよね。。
「声楽とオーケストラのための4つの歌曲」作品22。作品22という事は、
「月に憑かれたピエロ」の次ですね。
シェーンベルク無調時代の音楽で、この次あたりから音列技法に入るのかな?すべて演奏しても12分ほどなんですが、これがよく出来ていて、聞き入ってしまいました。ただ、無調系の音楽は、以降こういうサウンドがレギュレーションになったもんで、ぼんやり聞いていると「またこういういかにも現代音楽なサウンドか」と思ってしまう所が注意かも。だって、現代音楽に似せたんじゃなくて、こういう曲の追従者が増えたから、これがレギュレーションになったんですもんね。
でもって、詩は4つのうち3つがリルケ。
リルケもユダヤ系オーストリア人なので、シェーンベルクにとっては同調できる言葉が多かったのかも。リルケも、新ロマン主義から、
汎神論という20世紀前半という当時のドイツ/オーストリアの時代風潮の中で戦った人ですしね。
録音は「グレの歌」が1974年、「声楽とオーケストラのための4つの歌曲」が1981年。録音年代が違うのに違和感を感じませんでしたし、こんなに良い音で録音できちゃうという事にびっくり。でもこの中域のすっきり感がソニー・クラシックスっぽいというか、ここは昔のグラモフォンみたいな中域があったかい演奏が好きな人だと苦手に感じるかも。色んなことを書きましたが、いま
『グレの歌』の規範となっている指揮と演奏と言ったら、ブーレーズ&BBC響のこの演奏なんじゃないかと思っています。大名盤として知られているのも納得、間違いなく推薦!
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