「ギターの
コルトレーン 」なんて異名がついていた事もあるジャズ・ギタリストの
パット・マルティーノ 、1967年のデビュー作です!このCDは完全にジャケ買いでした(^^)。だって、すごく良いギターを弾きそうな雰囲気がジャケットから出るんですもの。
でも、ジャケットで想像していた硬派なジャズだったかというと、
半分ぐらいは意外とクラブジャズっぽい雰囲気 でした。少なくとも、最初に聴いた時はそう思ったんですよね。というのも、オルガン(トゥルーディ・ピッツ)は入ってるし、ラテンパーカッションは入ってるし、
ジルベルト とジョビンの共作ボッサ曲「Once I Loved」は入ってるし、1曲5分ぐらいでサラッと終わっていくし…というわけで、印象だけでなく、実際にクラブジャズと感じて不思議ではない要素が入ってるんです。
アル・クーパー や
ジミー・スミス みたいなクラブミュージック的な雰囲気の曲もありました。でもそれは決して悪い意味じゃなくて、これはこれで気持ちい音楽だな、みたいな。
そんな中、パット・マルティーノがほとんど単旋律しか弾いてないのが最初は不満でした。コードを弾いたのは、最後の「Just Friends」でのオルガンソロのバッキングのところだけじゃないかなあ。あとはテーマもアドリブもぜんぶ単旋律なんですよ。僕は旋律だけ演奏するフュージョン系のギタリストが苦手で、ギターならジャズだろうが何だろうが、和音も旋律も一人で演奏しないとギターじゃないじゃん、ジャズだってジョー・パスやジム・ホールみたいな旋律も和音もひとりで演奏できる先人がいるんだから、これはちょっと…と思ったんですよ、最初は。
ところが、アルバムが進んでいくにしたがって、
不満だったはずのパット・マルティーノの単旋律だけのアドリブに引きずり込まれていく自分がいました 。2曲目のツーファイブ・フレーズで「お、いいフレージングだな」と思い、3曲目で「ああ、リズム感がメチャクチャいい人なんだな、単旋律のアドリブでもこれだけ聴かせちゃうんだな」となり、アルバムの最後までたどり着いたころには、自分もギターを持って一緒にアドリブしているという(^^)。で、聴き終わったらすぐにまた1曲目から流して一緒に演奏して、2周聴き終わった頃には、完全にパット・マルティーノの虜 (^^)。
パット・マルティーノの演奏って、ツーファイブモーションにしてもオクターブ奏法にしても、
ウェス・モンゴメリー のコピーから始まったんじゃないかと感じました。そしてこのセッションに関して言うと、クラブ・ジャズのバンドの中で、パット・マルティーノだけがお客さんを楽しませるんじゃなくて、ひたすら旋律的ソロに夢中で取り組んでました。メロディアスに歌わせるんじゃなくて、ギターでどうやって旋律的なアドリブを取る事の出来るシステムを作り上げるかという事に夢中になっている、みたいな(^^)。
15歳の時にはすでにプロ・ミュージシャンとして活動していたそうですから、その時の人脈のバンドで演奏したんだけど、マルティーノさん自身はまわりのミュージシャンと思っている方向がちょっと違っていて、アドリブの追及に夢中、みたいな感じだったのかも。これはギターでアドリブしたい人が聴いたら最高に面白い1枚でしょうが、そこに興味がない人が聴いたら軽いジャズ・セッションしか聴こえない可能性もあるかも。個人的には、お気に入りのアルバムです。
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