
デビューアルバム
『El Hombre』と同じ1967年に発表された、パット・マルティーノのセカンド・アルバムです。サックスとピアノを含むクインテットで全5曲。1曲だけラテンパーカッションが入っていました。
最初と最後がラテンジャズ調なので、
アルバム全体の印象はラテン・ジャズ調で、しかも軽く感じました。モントゥーノっぽいところがありますし、1曲目「Strings」に至っては実際にラテン・パーカッションが参加してましたし。やっぱり、デビュー当時のパット・マルティーノは、プレスティッジからしたらクラブ・ジャズ方面のアーティストとして売ろうとしていたんじゃないかなあ。
ところが
実際には熱く燃え上がる曲と演奏が真ん中にドカンとあって、これが良かった!2曲目「Minority」や3曲目「Lean Years」はアドリブがビシバシ入るアップテンポでアグレッシブなナンバーでした。
表現も難しい楽理も追求せず、シンプルな循環コードの上をシンプルに熱く疾走、これが最高にカッコいい!!こういう難しくせずに、アドリブの熱さだけを伝えようとするジャズって、60年代にあったじゃないですか。フュージョンとは違うけど、
パーカー、
マイルス、
コルトレーンと続いてきたジャズともちょっと違う、みたいな。あの雰囲気です。
和声づけは完全にピアノに任せているので、バンドはサックスとギターとピアノのアンサンブルというより、2管セクステットのよう。しかもソロ・オーダーの1番手がマルティーノではなくサックスなので、まるでサックスのジョー・ファレルのリーダーバンドみたい(^^)。それにしても「Lean Years」ではなかなか登場しないマルティーノですが、
いざ自分のコーラスになるとアドリブソロがすげえ…ほとんど単旋律なんですけど、それでここまでのめり込まされるジャズギターを体験したのは、マルティーノさんの他ではジミー・レイニーぐらいしか思い出せません。ギターをちょっと弾いて真似してみましたが、16分音符の連続を切れ目なくここまで演奏できる思考回路が理解できません、途中で僕はどうやったって考えて止まっちゃう、指だけでなく頭が追い付かなかったです(^^;)。またこんなに正確なリズムではとても弾けない…。ウェス・モンゴメリーもそうですが、ジャズ・ギタリストって独特にスクエアなリズム感を持った人が多いと感じます。メカニカルに考えないととても演奏できる楽器ではない、という事なのかも。
デビュー時のマルティーノさんはプレスティッジから5枚のアルバムを連発して出しました。僕にとっては、最高にお気に入りのミュージシャンというわけでもないけど、でも1~2枚聴いたらもういいやという人でもなく、中古屋で見つけるたびに買っていたら、プレスティッジの5作全部をコンプリートしていたのでした。
プレスティッジ時代のマルティーノは、どのアルバムも聴くのは音楽よりもギターのアドリブで、「ギターでフルピッキングのアドリブでこれはすげえ…」なーんて聴いているうちに、あっという間に時間が過ぎちゃうんです。…好きなんですね、やっぱり(^^)。
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