スティーヴン・フォスターを取りあげて、この人を取りあげないわけにはいきません、
ヘンリー・クレイ・ワーク!「大きな古時計」の作曲者です。19世紀のアメリカの作曲家と言っても特に感慨は湧かないのですが、
活動年が思いっきり南北戦争とかぶっていると考えると、ものすごく感慨深いものがあります。でも、ヘンリー・クレイ・ワークの作品集ってあんまりない上に、あっても妙にブルーグラスっぽかったり、ジョニー・キャッシュあたりがカッコよくフォークで歌って原曲とかけ離れちゃったり、はては平〇賢がR&Bみたいにコブシまわしまくって歌っちゃったりして、「これは!」という音源が少ない(- -*)。そんな中、人に教えたくないぐらいの決定打がこのレコード、メゾ・ソプラノのジョアン・モリスが唄ってます!1975年録音です。これ、手に入れるのに苦労したんですが、そうするだけの価値はある素晴らしさでした(^^)。
このレコードで演奏している
メゾソプラノのジョアン・モリスとピアノのウィリアム・ボルコムはアメリカ人の夫婦です。他に、バリトンのクリフォード・ジャクソンと、男女混声合唱が入ってます。ソプラノとバリトンが一緒に歌う事はなくて(多分、男声歌と女性歌で分けている)、基本はピアノ伴奏の歌、それにサビや2コーラス目になると合唱がつくというアレンジでした。ソプラノもピアノも一聴して明らかにクラシックを修めていますが、この夫婦デュオのレパートリーって、このレコード以外でもキャバレー・ソングや、それこそヘンリー・クレイ・ワークスや
ジョージ・ガーシュウィンみたいな古いアメリカン人作曲家の書いたポピュラー・ソングが中心なんですよね。一貫して古き良き合衆国の歌を唄ってるわけで、さすがにこういうのをやらせたらめちゃくちゃ素晴らしかったです。
ぜひ聴いて欲しいのが、H.C.ワークスの代表曲のひとつ
「Come Home, Father」。このシンプルでレイドバックした雰囲気、これこそアメリカン・ソングです!スティーヴン・フォスターの「ケンタッキーの我が家」や「故郷の人々」に並ぶ大名曲。そしてそれを
雄大かつ美しく歌い演奏するジョアン・モリスとレイドバックした演奏をするウィリアム・ボルコムが素晴らしい、合唱も泣けてきちゃう。。技巧どうこうじゃないんです、歌ってこういうものだよなあとジ~ンと来ちゃうんですよね、これぞアメリカン・アーリーミュージックの素晴らしさ。
一方、「大きな古時計」は、アップテンポでけっこう楽しげに演奏していて、あんまりしっとりしてませんでした。この曲、アメリカのフォークシンガーやブルーグラスバンドも、明るく演奏することが結構あるので、実はこういう演奏スタイルが普通で、しっとりやるのは日本風なのかも。
超がつくほどのおすすめ盤で、ジョアン・モリスとウイリアム・ボルコムが組んだレコードでは、僕が聴いた中ではこれが一押し、マジで素晴らしいです。問題点は入手がとっても難しいこと。アメリカから中古LPを輸入すれば今でも買えなくもないみたいですが、逆にいうとそれぐらいしないと日本で見つけるのは難しいかも…。そうそう、曲単位であれば、このアルバム収録曲のいくつかはダウンロードして買えるようです。
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